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愛と幻想のふぁしずむ

カルラ、その愛ゆえに ―その2―

 

 

日が頂より若干傾きかけた頃、

今日の政事が終わり、人々が去っていく。

内殿は静けさに包まれ、鳥のさえずりが響き渡る。

・・・・が、どこからともなく咀嚼音が・・・・。

 

「うぅ〜!折角・・・折角・・・・某が良い人形の店を見つけたのにぃ〜!」 ムシャムシャ

 

「聖上の・・・・バカぁ〜!」 ガツガツ

 

それはトウカが広間にドカリと腰を下ろして果物を貪り食っていた音だった。

ハクオロに邪険にされて御機嫌斜めなのか?

ブツブツとグチをこぼしながら、次から次へと果物を頬張る。

ピタリ。

 

「政事も大切だけど・・・・少しは某にも・・・・。」

 

「・・・・・・けぷっ」 ←ゲップ

 

「・・・・・・・・。」

 

「ど・・・どうせ・・・某は・・・刀ばっかり振ってる

 魅力の無いエヴェンクルガの女ですよ〜だッ!!」

 

ガツガツ!

 

「・・・・・食べながら喋るとは、器用ですね。」 (汗)

 

そこへ、ベナウィが呆れた顔をしながらやってきた。

 

「某も・・・好きで・・・喋ってる訳では・・・・ない!」 ムシャムシャ

 

「どうやら御機嫌斜めのようですね・・・・。」

 

ガツガツ!

 

「よ、よく・・・そんなに熟れてない甘露樹の実ばかり食べられますね・・・・。」

 

もしゃもしゃ 

 

「な、何故か分からぬが、・・・・某は最近これを食べたくて食べたくて・・・・

 

もしゃもしゃ

 

「宜しければ・・・・ベナウィどのも食べまするか・・・?」 もぐもぐ

 

「い、いえ・・・結構です。そんなすっぱいもの食べられません・・・・。」

 

「残念・・・・このすっぱさが堪らない・・・のに・・・・ってあれ?」 ぴたり

 

「・・・・・?」

 

「そう言えばベナウィどの、もう午後の政事の御時間では?」

 

「え?今日はもう終わりましたが・・・・。」

 

「ほぇ?」

 

「トウカ、何を言ってるんですか?

 そもそも朝に聖上の御予定を教えたではありませんか。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・あの野蛮女・・・・斬るッ!」

 

―ちょ〜どその頃―

 あぁ妹よ
   君、死にたもう事なかれ
     君の乳房に触れてもいいかい?

  でも、それはちょっとソフ倫的に
   やばくないかい?  

 あぁ妹よ
   君、兄者にぞっこんなのかい?
     お兄さんは悲しいぞ?

  いつまでも、いつまでも
   俺の青い鳥でいてくれよ
 まい すい〜と しすたぁ ユズハ
  

   ふぉ〜えばぁ らぶ

                  オボロ

 

オボロが回廊に佇み、何故か遠い目で空を見上げながら

墨と筆で意味不明な1句を詠んでいた。

 

「・・・う〜ん、今いち・・・しっくりと来ないな。

 そうだな・・・・出来れば『穴兄弟』って言葉も入れておきたいよなぁ・・・。」

 

何やら一人で妙な悦に浸りながら、筆を硯に近づけた矢先、

 

「・・・・ん?・・・チッ、墨が切れたか・・・・。

 参ったな・・・・まだ俺のソウル(たましひ)を紙に叩き込み足りないのに・・・・・

 さて・・・・どうしたのもんか・・・・。」

 

舌打ちして暫らく頭を掻いていたオボロだが、

 

「おっ?そう言えば、カルラの部屋の机の上に・・・・・。」

 

急に何かを思い出したようで、カルラの部屋の前へとやってきた。

 

「おーい、カルラ〜、ちょっと墨貸して・・・・なんだ、居ないのか。」

 

ドカドカと勝手に入り込んで、そこらに転がっている酒樽を

蹴飛ばしながら、カルラの机の前で屈み込んだ。

 

「あったぜあったぜ!・・・チッ、生意気に上等の墨使ってんじゃねーか

 ったく穀潰しの分際で・・・・おや?」

 

ふと気が付くと、墨の直ぐ横手に赤色の刺繍が施された

何やら高価な書物みないなものが目に付いた。

オボロはその分厚い書物を手にとると、表紙には「愛の家計簿」と書かれている。

 

「なんだこりゃ?」

 

ポリポリと頬を掻きながら、ひっくり返して裏を見ると

 

『見るべからず!』

 

と、殴り書きされている。

・・・・・・・・・。

 

「クックックッ、見るなって書かれると余計に見たくなるもんだぜ。」

 

鼻歌を歌いながら上機嫌でその書物をパラパラとめくるオボロ・・・・。

 

「・・・・何なんだこりゃ?」

 

書物にはなにやら曲線がうねうねと上がったり下がったり

その下には等間隔で日付が綴られていた。

 

「・・・・・この日付は、先月だな。」

 

更に上下に変動する曲線には、丁度拮抗した個所に

水平の線が一本引かれている。

その線の両端には何故か「はあと」マーク。

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

オボロはしばらくその謎のグラフらしきものを見つめていたが、

 

「・・・・・・まさか・・・。」

 

突如何かに気が付いたように、慌ててページをめくる。

最後に書き込まれたであろうページには

今日の日付が書いてあり、「はあと」マークと曲線が交差していた。

・・・・そして

 

『ハンターチャンス』

 

と、やたら気合の入った文字が・・・・。

 

「・・・・・・・・・・ッ!!」

 

その時、

 

「ハクオロさぁ〜ん?」

 

回廊の方からエルルゥの声が聞こえてきた。

 

「ハクオロさぁ〜ん?・・・・もう、何処へ行ったのかしら・・・。」

 

ドタドタッ!

 

「エルルゥの姉御ッ!」

 

「わっ!オ、オボロさん。どうしたんですか?」

 

「あ、あ、あ、兄者の危機だッ!!」

 

「??」

 

・・・・・・・・・・・。

 

「ベナウィどの!あの痴れ女と聖上はどちらにいらっしゃいますかッ!?」

 

「せ、聖上でしたらカルラに引き摺られて市の方へと行かれましたが・・・・。」

 

「〜〜〜!某とした事が!」

 

悔しさで顔を歪めながら刀を手に取ると立ち上がるカルラ。

ドタドタドタドタッ!!!

内殿にけたたましい足音が響き渡る。

そして、血相を変えたオボロとエルルゥが走り込んできた。

 

「ベナウィッ!!兄者は何処へ行ったぁ〜!!?」

 

「ベナウィさん!ハクオロさんはッ!?」

 

「・・・・あ、貴方達はもう少し落ち着いて行動すると言う事が・・・・

 

「やかましいッ!兄者の危機なんだよ!」

 

「ハクオロさんは、ど・こ・で・す・かッ!!」

 

「・・・・・・・。」 (汗)

 

2人のあまりの迫力にベナウィも言葉を失った。

 

「せ、聖上が如何なされたのだ?」

 

おずおずとトウカが訊ねると

 

「これを見て下さいッ!」

 

ズイッ!

エルルゥが例の書物を出す。

 

「・・・・?」

 

「・・・・これは?」

 

「カルラさんの部屋にあったんですッ!」

 

ベナウィとトウカがしげしげと見つめるが、トウカはまだ理解出来ない。

ベナウィはどうやら理解したらしく

溜息をつくと・・・・。

 

「トウカ、非常に言い辛いんですが・・・・どうやら

 ・・・・ごほんっ。・・・・これはカルラの明るい家族計画のようです。」

 

呆れたようにベナウィが言った。

 

「な、ななななな!?」

 

「ほら、御覧なさい。これが・・・・おほん!

 ・・・・その・・・・アノ日かと思われます。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「な?ばっちり今日だろ!?」

 

鼻息荒く、オボロが言う。

そこへエルルゥが冷ややかな顔をしながら一言。

 

「・・・・どうしてオボロさんもベナウィさんも知ってるんですか?」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

 

「さ、侍大将ともあろうものは・・・・知力、体力、時の運というものが・・・・

 

「お、おおおお、俺は・・・・その・・・なんだ!ユズハがいるからな!!

 ハハ・・・ハハハハ!」

 

「キ〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

 

びくっ!Σ( ̄口 ̄;;)!! ←3人

突然、トウカが奇声をあげる。

 

「あ、あ、あ、あの女ぁ!!許さぬ!

 エヴェンクルガの名にかけて・・・・き、斬るッ!!」

 

そう言うと、物凄い勢いで外に飛び出して行ってしまった。

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

・・・・・・・・・・・・・。

 

「ちょ、ちょっと待てよ!」

 

「わ、私も行きますッ!!」

 

「やれやれ・・・・仕方ないですね・・・・。」

 

残された3人も後を追うのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・。

 

―市―

ざわざわ

 

『さぁ〜、新鮮な野菜だよ〜!』

『はい、タソガレは如何ぁ〜?今ならたったの100円

 たったの100円だよ〜!!』

 

「ハ、ハ、ハ、ハクションッ!!

 ・・・・・な、何か今、悪寒が・・・・。」 ぶるる

 

「あら?大丈夫ですか?あるじ様♪」 ぎゅ

 

「カ、カルラ・・・もう少し離れてくれないか?

 こうひっつかれては歩きにくくて仕方が無い。」

 

「イヤですわ。折角、久しぶりに2人きりになれたんですもの〜。」 ぎゅぅぅ

 

「何を言うか、昨夜も2人きりで呑んでいたではないか。」

 

「それとこれとは別ですわ。うふふ・・・・。」

 

「ま、まろは・・・今日はまったりと過ごそうと思ったのに・・・。」 ぶつぶつ

 

「何か言いまして?」 ギリギリ

 

「ッ!い、痛いでおじゃる!!関節技はやめるでおじゃる!!」

 

ブチッ。

 

「あ・・・・!」

 

「?どうかなさいまして?」

 

「は、鼻緒が・・・・切れた・・・・。」 (汗)

 

 

つづくッ!!