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愛と幻想のふぁしずむ エピソード2(第13話)

クーヤ・シェイカー ―Vol.3―

 

 

トクトク・・・・。

美しい磁器に注がれた野菜ジュース。

やけに縦長のテーブルの上には御馳走が並べられ、

少し薄暗い室内はほのかな蝋燭の炎で照らし出されている。

何処からともなくゆっくりとした調子の音楽が聞こえてくるなか、

余は部屋の中央に備えられた大きなテーブルの前に

ぽつんと座りて、遅めの昼食(るぁんち)をとっていた。

 

『本日は、クンネカムン湾沖で採れた海胆と山菜の付け合わせ、

 あと、黒豚を山羊乳と茸でじっくりと煮込んだスープがメインで御座います。』

 

ターンAみたいな髭を生やした料理長が得意げに解説してくる。

 

「・・・・・うむ、美味い。」

 

『有り難き幸せ・・・。』

 

・・・・・確かに美味しい。

・・・・・裕福な食を余は享受していると思う。

・・・・・だけど、何かが物足りない。

カリッ。

・・・・これは?

 

「・・・・・料理長、この山菜は何だ?」

 

『は、それはトゥスクルから輸入された、向こう特産の山菜で御座います。確か名は・・・

 

・・・・・トゥスクルか・・・。

・・・・・ハクオロ・・・元気でおるだろうか・・・?

余は・・・・またあの時のように皆と楽しく食事がしたい・・・・。

ポリッポリッ・・・・モグモグ・・・。

じょび〜〜ん♪←ギターの音

 

「ブーッ!!」

 

何時の間にか、ハウエンクァが余の隣に腰掛けて、ギターを担いでいた。 (汗)

 

「ゲホッ・・・!ゲホゲホッ!ハ、ハウエンクァ・・・!お主、ここで何をしているのだ!?」

 

「・・・ふっ、聖上が物悲しくショクジーをしてる姿が・・・俺のハートをドキュソとさせたからさ・・・。」

 

 

「な・・・!?なななッ!?」 かぁぁ〜

 

「図星だったかい?・・・ベイベー?」

 

フッと気色の悪い流し目で余を見つめたハウエンクァは、懐から薔薇を一輪取り出して口に咥えた。

・・・・一体何がしたいのだ・・・この男は・・・。

 

「ぶ、無礼者ッ!まるで余を子供扱いしたいような言い草だなッ!」 ダンッ!

 

「子供扱いですか・・・チッ、チッ、チッ。それは心外だな・・・。

 ・・・・1人のレディとして俺は話しているのですよ・・・。」

 

「は・・・はぁ〜!?」

 

「いやはや・・・怒った顔も美しい・・・。」

 

・・・・余は今すぐにでもこの男を死罪にしてやりたいと猛烈に思うぞ・・・。

 

「クッ・・・・で、何のようだ!」

 

「フッ・・・・何だかメランコリーな貴方に俺のソウル(たましひ)を吹き込んであげ・・・

 

「いらんッ!!」

 

「まだ話してる途中だぜ?・・・せっかちさんなんだから・・・フッ。」

 

「だまれ!食事中に貴様のしょっぱい唄なぞ聞きたくないッ!」

 

「では、俺のスローバラードの代表作・・・85年作、『ムギムギめざせ!まる金』を。」

 

「よ、余の話を聞いておるのかッ!?」

 

じょび〜ん♪じょびぃ〜〜ん♪

 

「・・・・・・・・。」 ゲンナリ

 

「うぅ〜〜〜・・・あぁ〜〜〜〜〜♪」 バンッ!ツカツカツカツカツカツカ

 

「ムギムギ買ってぇぇ〜〜♪牛乳忘れたぁ・・・」 バキャッ!!

 

「うぅ・・・ホーリーランド・・・。」 バタッ

 

絶妙のタイミングで入室してきたヒエンが、無言のままハウエンクァの後頭部を一蹴。

 

「聖上・・・申し訳御座いません。今すぐこやつの死刑許可を。」

 

「お主も苦労するな・・・。」 (汗)

 

ズルズル・・・。

ヒエンが疲れた表情でハウエンクァを引き摺って行こうとした。

 

「ま、待て・・・!」

 

「はい、如何なさいましたか?」

 

「せ、折角だし・・・お主達も一緒に食べていけ・・・。」 かぁぁ

 

ヒエンは一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに微笑むと

 

「分かりました。御一緒させて頂きます。」

 

と一言言うと、私の隣の席に腰を降ろした。

 

「・・・フッ・・・素直じゃないんだから・・・。」

 

ハウエンクァがぷるぷると震えながらそう呟く。

 

「だまれ、馬鹿野郎。」 ゲシッ!

 

「・・・・あぷす。」

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

ザッ、ザッ、ザッ・・・。

余とヒエンとハウエンクァ。クンネカムンを代表する面子が渡り廊下を歩いていた。

 

「シケリペチムめ・・・突然従者を送って来るとは・・・どういうつもりだ?」

 

ヒエンが苦々しく毒づく。

 

「フッ、今更この俺の才能に気付いてツアーに来てくれって懇願しに来たんじゃないの?」

 

「いや・・・それはありえんな。」 (汗)

 

ハウエンクァの余りにも電波な発言に思わず余もつっこみを入れてしまった。

・・・しかし、ここ数年國交断絶状態であったシケリペチムが一体・・・・。

 

「あ、あのぅ・・・その事なんですが・・・クーヤ様・・・。」

 

余たちの背後にぴょこぴょこついて来ているサクヤがおずおずと話し掛けてくる。

 

「ん?如何したサクヤ?」

 

「じ、実は・・・・。」

 

!?

 

バンッ!!

ヒエンが皇接の間の扉を荒々しく開くと、そこには2人の屈強な男が座していた。

 

「お・・・お前たちは・・・!!」

 

その男達を見た途端、ヒエンの表情が険しくなった。

 

「ッ!!」

 

驚いた事に、使者だと聞かされていたがいざ蓋を開けてみれば・・・・

シケリペチム副参謀長、ルーツ

シケリペチム陸戦部隊長、ティアソギャレ

が、不敵な笑みを浮かべていた。

・・・二人ともシケリペチム皇、ニウェの側近ではないか・・・・!

余たちは動揺を極力面に出さぬよう、静かに席へと着いた。

 

「お久しぶりで御座います。クンネカムン皇。」

 

品の無い顔をニヤつかせながらルーツがそう切り出した。

 

「・・・・どういうつもりだ。貴國は我がクンネカムンと断絶状態に等しかったはずだが?」

 

ヒエンが淡々と切り返す。

 

「いやいや・・・断絶とは心外な。大國クンネカムンとはこれからも友好的に接したいと

 我が皇、ニウェは常日頃考えておられますぞ?」

 

と、ティアソギャレがのたまう。

・・・・ふん、心にも無い事を・・・。

 

「シケリペチム軍上層部が来るとあらば、よもや貿易の話ではあるまいに!」

 

苛だちを隠せないヒエンを制し、余が初めて口を開く。

 

「単刀直入に聞こう・・・・ニウェ皇は何をするつもりだ?」

 

「ククク・・・・さすがはクンネカムン皇。話が早い・・・・。

 では、私達も遠慮無く要点を言わせて頂きましょう。」

 

「・・・・・・・・。」

 

途端、ルーツは眼を獣の様に輝かせる。

 

「・・・・・我がシケリペチムは、今年中にも近隣諸国へ侵攻を開始致します。」

 

「・・・・!!」

 

「なっ!?」

 

「〜♪ここでCマイナーを押さえて・・・」

 

「はわわ・・・!」

 

皇接の間が静まり返る。

 

「・・・・正気か?」

 

「我が偉大なる皇ニウェは、未だ乱立する弱小勢力に痛く御立腹であーる!」

 

ティアソギャレがカッと眼を見開き大きな声でそう言い放つ。

 

「ククク・・・その為にも是非、クンネカムンには御支援願いたく参上つかまつりました。」

 

・・・ぴくっ。

 

「・・・・支援?・・・余たちが支援だと?」

 

「左様で御座いますよ。・・・我が皇が近隣諸国を平定し、平和と栄光を勝ち取った暁には

 それ相応の対価をクンネカムンに還元すると・・・

 

ダンッ!!

 

びくッ!←サクヤ

 

余は力の限り、テーブルに拳を叩きつけた。

 

「・・・・ゲンジマルが居なくて命拾いしたな。今すぐ國へ帰るがよい。」

 

「・・・・それはどういう意味ですかな?」

 

「本気で我が國が手を貸すと思ったか!?片腹痛いわッ!

 理解して申しておるのか?貴様らの行為は、ただの侵略と略奪だ!!」

 

「聞き捨てなりませんな・・・・皇。我が國を愚弄するおつもりか・・・・?」

 

ルーツの表情に殺気が宿る。

皇接の間に緊張が走った。

 

「・・・呆れ果てた國だ・・・今この平和な時が見えぬというのか?」

 

「力で平定してこその平和ですぞ?・・・とても軍事大國クンネカムンの皇の御言葉とは思えませんな。」

 

「勘違いするな。クンネカムンは我らシャクコポルの安住の地。

 シャクコポルは自らの平和の為にオンヴィタイカヤン(大いなる父)に

 与えられた力を致し方なく使用しているだけだ。

 貴様らのように己の覇権の為の軍事力と同じにされると不快極まりない。」

 

「し、し、し、失敬なーーッ!どこまで我が國を愚弄すれば気が済むかぁーーーッ!!」

 

単細胞そうなティアソギャレを制しつつ、ルーツがどす黒い瞳で余たちを睨みつけた。

 

「・・・・残念だ・・非常に残念ですよ・・・・。

 貴方が我らに跪く日が楽しみで仕方がありませんよ・・・・。」 ビキッビキィッ

 

ポロロ〜〜ン♪

突如ギターの音が鳴り響いた。

ハウエンクァ以外はおらぬがな・・・。

 

「う〜ん。人生は・・・ラブ・アーンド・ピィーースだねぇ・・・。」

 

「あ?」

 

「なぁ・・・ヒエン、聞いたかよ?こいつら・・・おめでたい事にクンネカムンに

 勝てるって言ってるように聞こえたけど・・・俺の気のせいかな?」

 

「いや・・・・俺もそう聞こえた。」

 

「ふぅ〜ん。まぁ、いつでもかかってきなよ。」

 

ハウエンクァは、いつのも間抜けな表情は消え去り、恐ろしく冷酷な瞳がギラギラと輝いている。

 

「そうだな。丁度退屈してた事だしな。」

 

ヒエンも獣のような目付きでシケリペチムの痴れ者どもを睨みつけた。

 

「よいか、貴様ら。クンネカムンを・・・シャクコポルをどう思おうが貴様らの勝手だが、

 余の國を蹂躙するつもりならば・・・その時は容赦はせぬぞ・・・・。」

 

冷たく言い放つ余の言葉に、流石に2人とも気押されたのか

 

「・・・ぬ!・・・ぐぅ・・・!!」

 

「くぅ・・・!!」

 

それ以上は何も言おうとはしなかった。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

 

「ったく、おととい来やがれッ!」

 

「ちっ・・・一曲歌えば良かったぜ・・・。」

 

「クーヤ様、格好良かったですぅ〜♪

 もう最高でしたぁ〜♪」

 

「そ、そうか・・・。」

 

はぁ・・・・つ、疲れた・・・。

予想外の来訪者に、精神的にドッと疲れが来てしまった。

 

「サ、サクヤ・・・済まぬが船団長との会合は休ませてくれぬか?」

 

「はい・・・そうですね。分かりました。」

 

サクヤはそう言って苦笑したが、

その直後、何かを思い出したかのように耳をピンッと突き上げると、

 

「あっ!そ、そう言えば・・・忘れてました・・・・。」 (汗)

 

「ん?何をだ?」

 

「さ、先程の・・・シケリペチムの使者から個人的にクーヤ様に手渡してくれと・・・・。」

 

そう言うと、サクヤはおずおずと書簡を手渡してきた。

 

「は?どういう事だ?」

 

「えっと・・・その・・・どうやらシケリペチム皇からみたいなんですが・・・。」

 

「・・・・ニウェがッ!?」

 

「せ、聖上!毒薬が塗ってあるかも知れません!!」

 

「大げさだぞヒエン。どう見てもただの書簡ではないか。」

 

余は苦笑しながら書簡を開く。

・・・・にしても、何故個別に手渡す必要があるのだろうか?

しかも・・・・シケリペチム皇直筆だと・・・?解せんぞ・・・?

ぺらぺらと折り畳まれた書簡を開き終わると、そこには豪快な毛筆で一言・・・・

 

『嫁に来い。 ニウェ』

 

「・・・・・・・。」←ヒエン

「・・・ララァン。」←ハウエンクァ

「・・・・・・・。」←サクヤ

 

「・・・・・・アホか。」 (汗)

 

くしゃくしゃ・・・ポイッ。

 

次回予告

・・・・ひとつ、聞いておく。

世間とはおよそ関わりのないえちぃゲーを殺るとき…、

お前は一体何を考え何を感じているんだ?

次回 クーヤ×クーヤ・・・・

『火萌え×血糖×命の代償』

死で償えッ!