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「私とやらせなさい」

 

ひゅううううう・・・・。

ユズハの不審発言に、部屋が静まり返る。

しばらくして、ハクオロはおずおずと口を開いた。

 

「・・・・・・・何を?」 (汗

 

愛と幻想のふぁしずむ エピソード3(第22話)

逆襲の殺ァ - Vol.2 -


「そんなの・・・・私が、ハクオロ様に望む事なんて・・・一つに決まってじゃないですか」

 

頬を朱色に染めつつ指の関節をポキポキ鳴らすユズハ。

それとは対極にハクオロの顔からは血の気が引いていく。

 

「私を骨の髄まで愛でて下さい・・・あわよくば念願の御子を・・・・」 ポッ

 

まさに血と骨

ギリギリギリギリ・・・・・・

!?

 

「おわッ!?」

 

何の異音かと思えば、何故か血涙を流すオボロの歯軋り音。

妹狂いのオボロにとっては何とも辛い現実を突きつけられているのであろう。多分。

(泣くほど辛いなら妹止めろよ・・・・・!)

 

「ふむぅ〜?おと〜さん、ゆずち〜は何を言ってるの?」

 

クィクィと膝元から袖をひっぱるアルルゥ。

思わず扇子を手落としかけて我に返った。

右隣に座るカミュに救援の視線を送るが、彼女はカタカタと小刻みに震えながら顔を反らす。

仕方なく、不気味なジェラシーの炎を燃やすオボロに向きなおした。

 

「・・・オボロ、これはどういう事でおじゃるか?」 (カクカク

「あ、あ、兄者が悪いんじゃああああーッ!」 クワッ

「おわッ!」 何故に本●ひろし調ッ!?

「兄者が、兄者が、ユズハとの約束を、約束を破るからッ!」

「へ・・・・・約束??」

「兄様ッ!!」

 

それまで沈黙していたユズハが突如一喝。オボロはそれっきり俯いて塞ぎ込んでしまった。

―― ロクでもない事に巻き込まれている悪寒!

ハクオロは飽く迄平静を装いつつ扇子を扇ぐ。

 

「おっほっほwユズハ、突然どうしたでおじゃるか?いきなり勝負しろとか勝ったら抱けとか・・・」

「逃げるのですか?」

「は?いや、逃げるもなにも、そもそもまろは何がなん・・・」

「うちはこれに命かけてるんや・・・・漢やったら四の五の言わずに2P台に座りぃや!!」

「!?」

「それとも何やの?これ以上説明せなアカン訳?女にここまで言わせてまだ満足せぇへんの?

 ほんっっっま酷い人!!でも・・・そんな男に惚れたうちが悪いんやけどな・・・

 ・・・かまへん、気にせんでええねん・・・うちかて大阪の女やし、辛い事には慣れとる・・ブツブツ

「・・・・・・・」 (汗

 

(ふむ・・・こりゃマズイ事になったでおじゃるよ)

震える手でお茶をすすりながら状況を整理する。

最早ユズハとのまともな話し合いは不可能だ。

そもそも部屋に入った時、彼女の目がトンでいた時点で結果は見えていたが。

命懸けてると言う割りには、こっちは負けたらえらい事になるが、

そっちは負けても何もねーんぢゃねーディスカ?とツッコミたい気持ちで一杯だ。

だが、これ以上下手に刺激すると逆上したユズハに首を折られるかも知れない。

そうまでいかなくてもワンダフルなメキシカンコンボや、

ベルウッドなスペシャルコンボが待ち構えているのだ。

仕方なく今は話を合わせる事にした。

 

「分かった分かった・・・では、何で勝負すると言うのでおじゃるか?」

 

ユズハが合図を送ると、オボロがそそくさと部屋中央にある謎の物体を触り始めた。

前回(※約1年2ヶ月以上前orz)から気になってしょうがなかったもの・・・まさかそれが今回の?

 

「兄者・・・今から何が起こっても絶対にこの部屋から出るなよ」 カチャカチャ

「おいおい、それは一体何なんだ?」

 

ゴクリと生唾を飲み込み、オボロが一拍置いて物体の中心にある赤いボタンを押した。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!

禍々しい音と共に物体に亀裂が入り、中から光が漏れる。

 

「これは、俺達一族に古くから伝わる呪われた宝具―!」

「私達の祖先は物事を決定付ける場に於いて、これを用いデュエル(決闘)を行ったそうです」

 

オオオオオオオオオオ〜〜〜トレェェスオォォォン〜〜〜。

物体の亀裂の隙間から風が噴出し、物体だったものはやがて大きく四方に展開していく!

 

「デュ、デュエルだとッ!?ま、まさかそれは数百年前、遊戯皇と呼ばれた皇が嗜んだ伝説のカードゲー・・

「「ハクオロ様(兄者ッ)、これが亜苦死図です(だ)ッ!!」」

 

・・・・・・・。

 

・・・・・・・・・・。

 

― 皇都大壱海港 ―

 

「・・・・・・まったく、一体何時の間に撮られたのか―」

 

港に下ろされる積荷。遥か夕焼けの水平線の彼方に浮かぶ船団。

一陣の潮風が吹き抜け、ベナウィの手に持たれた写真が大きく揺らいだ。

 

「・・・ケル・・・オムツィケル(侍大将)?」

「―うわッ!」

 

慌てるベナウィの真横には、皇都港の役人が佇んでいた。

 

「オムツィケル。先程から御呼びしてますが・・・・」

「し、失礼した!」

 

そそくさと手に持っていた写真を胸元にしまい、取り繕うように咳払いする。

 

「で、何事ですか?」

「えぇ、本日最後の船が入港しましたので、それをお伝えにと」

「そうですか・・・了解しました。すぐ向かいますので先に向かってて貰えますか?」

「承知致しました」

 

去り行く役人を見送ると、再び胸元から先程の写真を取り出し溜息をついた。

写っていたのは耳まで真っ赤にしたサクヤを抱きしめているベナウィ本人。

 

「・・・・ふぅ・・・参りましたね・・・・・ん?」

 

第6感が働いたのだろうか?ふと何気なく皇都の方角に目をやると、

皇殿の上空に禍々しい黒雲が渦巻いているではないか。

局所的に現れた不気味な黒雲は、海峡の荒々しい渦を連想させ、不自然に目立つ。

それを見てベナウィは血相を変えた。

 

「・・・・ッ!?―あれは・・・まさかッ!」

 

・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

 

「おぉ、こりゃあ美味そうな酒だな〜!」

「そりゃクンネカムン・コンティと謳われる極上の酒ですからね」

 

ビュンッ!

積荷の酒を眺めてご機嫌のクロウの横を、疾風の如くベナウィが駆け抜けた。

 

「うおッナンだ!?って大将じゃねーすか!どしたんすか血相変えて・・・」

 

杭に引っ掛けた手綱をほどき、ウォプタルに跨ったベナウィが叫んだ。

 

「クロウッ!私は先に皇殿に戻ります!」

「ええ〜ッ!?後でセクシーキャバクラに行くんすけど!?」

「そんなところ独りで行きなさいッ!」 (怒

 

クェクェエエエーッ!

雄叫びを上げ、白銀のウォプタルが疾走を始めた。

(もし本当にアレならば・・・クッ!誰ですか!?あれは・・・あれは危険過ぎる・・・!)

 

「亜苦死図(あくしず)ぅ〜?w」

 

一体どんなとんでもないモノが出てくるのかと思いきや、

ハクオロの前に現れたのは、見る限りただの双六。

 

「なんだぁ〜?この人生ゲームのパチものみたいなのは・・・」

 

小馬鹿にしたように、うりうりと人型の駒を転がし倒すハクオロ。

四方に展開された得体の知れないボードゲームもどきは、怪しげな発光を続けている。

 

「待っておじ様、迂闊に触らないで!」

 

突然カミュが大声を張り上げた。

 

「どうしたんだい?カミュ。いきなり大声で」

「カミち〜?」

 

ほぇ?と首を傾げるハクオロとアルルゥ。

 

「ちょっと何なのこれぇ・・・・・これが宝具ぅ〜?これじゃまるで、呪物じゃないの〜w」

 

カミュは汚物を見るような目で亜苦死図から遠ざかった。

何故か悦に浸るユズハを眺めつつ、儚げな表情を浮かべたオボロが口を開いた。

 

「・・・・あぁ。まさに呪物と言っても過言ではない」

「ブッ!呪物でおじゃると!?そ、そんなものでまろは勝負するでおじゃるくぁっ!?」

 

口に含んでいたお茶を噴出しかけて、ハクオロが立ち上がろうとすると・・・

突如体全体に凄まじい圧力がかかる!

 

「うおおお!?フズベー!?」

「クスクス・・・無駄ですよ・・・・」

 

!?

冷酷かつ妖艶な表情を浮かべたユズハが微笑みかける。

 

「もうハクオロ様は重力に魂を縛られてしまったのですから・・・クスクス」

「きゃ〜〜〜!人は同じ過ちを繰り返すというのか〜!?w」

 

歯なしにならねぇぇーッ!と逃亡を企てていたカミュも、ジタバタとその場で虚しくもがく。

 

「ちょ、ちょっとちょっと〜!何で私まで動けない訳〜!?(>_<)ノ」

「クスクス・・・だってカミュちゃん。手伝うって言ってくれたじゃない」

「え〜〜!そりゃそうは言ったけど、こんな危険なの聞いてないよ〜〜!w

 万一呪われでもしたら、おねえさまにブッ殺されちゃうぅぅぅ」

 

カミュの姉、ウルトリィはオンカミヤムカイ國の賢大僧正(オルヤンクル)である。

そのウルトの妹がこんな下らない事で呪いでもかかったと知れたら激怒するに違いない。

 

火遊びが過ぎちゃいました。じゃ済まないよぉ〜!;;;;」

 

嘆くカミュ。しかしユズハは無視。

 

「オボロ、これは本当に大丈夫なのか?」 (汗

「さぁな、俺も実際に亜苦死図を紐解いたのは初めてなんだよ」

「はぁ!?マジディスカ!?www」

「兄者・・・愛とは危険なものなのだ。我が愛する妹の為ならば、俺は・・・・鬼にならねば!」

「・・・・お前いっぺん病院行ってこい」

 

シュンシュンシュンッ!

亜苦死図の盤上で突如人型の駒が勝手に動き出し、

「すたあと」と書かれた箇所へ一斉に並ぶ。

 

白の駒 (白皇)
赤の駒 (クライベイベーユズハ)
黄の駒 (朧月夜)
緑の駒 (大庭詠美)
 ←!?

 

「ちょ・・・・!私の名前だけ違ッwwww

 

【白皇さんの番です】 ちゃり〜ん♪

 

「ひっ!?」

 

どういう仕掛けかは分からないが、突然空中に浮かび上がった文字とスーパー●リオのコイン音。

 

「さぁ、ハクオロ様。サイを投げてください」

 

ヒュッ!パシッ。

ユズハが投げたサイコロを空中で掴み取ると、ハクオロは大きく溜息をついた。

 

「・・・・やれやれ、こっちも引くに引けなくなったな。後悔するなよ?ゲームとはいえ、手加減はしないぞ」

「・・・・・・・望むところですわ。約束をすっぽかした事、存分に思い知らせてあげます」

「おとーさん・・・・・眠くなってきちゃったよぉ・・・・むにゃむにゃ」

 

ハクロオの膝元に抱きついていたアルルゥがコックリコックリ舟を漕ぐ。

そんな彼女の頭を優しく撫でた後、指先でサイを弾いた。

シャッ!

シャアアアアア〜〜

激しい回転を続けるサイを見つめ、ハクオロは先程のユズハの言葉を反芻する。

(・・・はて・・・約束・・・・すっぽかす??)

シャアアア・・・・

(・・・すっぽか・・・・・んッ?!)

カラカラカラ・・・・カランコロン・・・

 

「あ”〜〜〜〜〜〜!!!!wwww」 ←約束忘れてた事を思い出した

 

コロン。

サイコロの数字の目は1。

 

「おいおい、1かよ兄者・・・」

 

苦笑するオボロを尻目に白い駒は何か不思議な力に操られ、独りでに盤上を進み始める。

スス・・・ピタッ。

最初のマスに止まるなり、突然亜苦死図から喧しい効果音。

パラッパラパ〜〜ン♪

・・・・スーパーひ●し君没収?

 

【イベント発動(エンゲージ)!ウィツァルネミテアカードを引いてください】

 

プレイヤーを誘導するかの如く浮かび上がる文字。

 

「ウィツァルネミテアカード?」

 

ハクロオの目の前にカードの束が出現し、蝶の様に空中を漂った。

 

【わきを締めて、抉りこむように・・・引くべしッ!引くべしッ!】

「こ、このカードを引けばいいんだな?」

 

恐る恐るカードを引いて見ると・・・

 

とこしえのうたをきけ
虚世の小鳥の羽は
大なり小なり兼ねる


 

「・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

書かれていたのは意味不明なうた。

 

「どうしたんだよ、何が書いてたんだ?兄者」

「いや、何か良く分からない詩が書いてるだけでサッパリ・・・・」

 

カッ!

突如カードから眩いばかりの閃光が発せられる。

 

「うおおお〜〜〜!?」

「な、なんでおじゃるくぁー!?」

「あわわ!だ、だから止めようって言ったのに〜〜ww」

「・・・・・・・・・・」 ←目が見えないので良く分からない

 

し・・・・ん・・・・。

 

「う”・・・・何が起ったんだ?」

 

しばらくすると光は消え去り、元の静かな部屋に戻っていた。

既に陽は沈んでしまったのか、全体的に薄暗い。

 

「みんな無事でおじゃるか?・・・って、無事でおじゃるね」

「なんだ、脅かしやがって。何もないじゃないか」

 

ふ〜。と冷や汗を拭ったオボロがカラカラと強がって笑う。

 

「良かったぁ〜・・・いきなり魂抜かれたらどうしようかと思ったよぉ;;;;」

 

ズシ・・・・・。

ハクオロの脚に鈍い痺れが来る。

(・・・う、脚が痺れる・・・・そう言えばアルルゥを膝に乗せていたか)

取り合えずアルルゥを何処か近場の寝床に寝かせてやらねばと思い、部屋の見回した。

 

「もう夜だな・・・・流石に部屋が見づらくなってきた」

「・・・・カミュちゃん、後ろの方に火種があるはずなので、取ってくれませんか?」

「ん?コレの事かな?」

ゴソゴソとカミュが手探りで背後にあった物をユズハに手渡す。

『ロマンス★マッチ』と書かれた小さな箱。

ユズハは箱から1本のマッチを取り出すと、指の上で華麗に回し、シュっと火を灯す。

やがて、火のついたマッチで行灯を灯した。

・・・・・・・・本当に盲目なのか激しく疑問だ。

行灯がぼんやりと部屋を染めていく。

手前に座っているユズハの顔がとても可憐で美しく見え、ハクオロはしばし魅入ってしまった。

パチン。

突然部屋が物凄く明るくなった・・・。

 

「ユズハ、こっちの方が明るいだろう?」

お前何まどろっこしい事してんの?と言いたげなオボロが部屋の電気のスイッチに指をかけていた。

「〜〜〜〜〜」 ワナワナ

「ど、どうした?ユズハ?」 (汗

「兄やッ!!」

「ハ、ハィィ!!」 ビシィッ

「そうやって雰囲気を大事にせぇへんから、モテへんのや!!

 場の空気読みぃ〜や!Read Airや!Read Air!!」

 

ガビ〜〜〜ン。

オボロは妹からの厳しいツッコミを受け、フラフラと自分の座布団にヘタレ込む。よく見ると半泣きだった。

 

「さてっと、部屋が明るくなったし、取り合えずアルルゥを寝かせてあげないか?」

 

苦笑しながら、ハクオロはよっこらしょとアルルゥを抱きかかえようとするが・・・・

ズシィ・・・・

 

「う”・・・・アルルゥ・・・・重くなった・・・・・な・・・・・・?

 

アルルゥを見てハクオロは硬直した。

先程までアルルゥがいた自分の膝に、見知らぬ美女がクゥクゥと寝息を立てている・・・!

 

「キャ〜〜〜〜〜!棚からボタ餅ッ!?」

 

ビキッ!

ご機嫌ナナメのユズハがオボロの腕の間接を取り合えず外してみた。

 

「ギャ〜〜〜〜〜!何で俺ッ!?」 プラ〜ンプラ〜ン♪

 

つづく




この物語はフィクションであり
登場する人物名、団体名等は
実在するものとは関係ありません