亜苦死図は全66コマで構成される

現在の状況(以下プレイ順)
ハクオロ:1+4で現在5コマ目
ユズハ :6+50で現在56コマ目
カミュ  :3で現在3コマ目
オボロ  :4で現在4コマ目

愛と幻想のふぁしずむ エピソード3(第25話)

逆襲の殺ァ - Vol.5 -

 


「・・・・絶対、契る」

ゴゴゴゴゴ

嫉妬の炎を背に漂わせ、ユズハがボソリと呟く。
最早逆セクハラを突き抜けて、DV(ドメスティックバイオレンス)の領域へ・・・・。

「ひぃっ!あ、あの、ユズハ?さっきのまろの発言、
 あれはまろが亜苦死図にある事ない事言わされたでおじゃるよ?」(カクカク

必死に言い訳するハクオロが見苦しい事この上なしw
既に彼の信用度は姉葉一級建築士よりも低いだろう・・・・。
そんなハクオロの言葉など痴れた事よ。と言わんばかりに、
ユズハは賽を強く握りしめ、可愛らしい口元をグニャリと歪ませた。

「うちは既に@10マスや。対するハクオロ様はまだ5マス目・・・・
 このままいけばうちの勝ちや」

「頑張れユズハ!ゴー☆ゴー☆YUZUHAッ!!」

ちょっとdでる妹に暖かいエールを送る馬鹿兄貴オボロ。
何時の間にか体が元に戻っているのは日頃のイジメ 鍛錬の賜物なのだろうか?
そして無理矢理参加を強いられたカミュは、
まるで3日徹夜で麻雀させられてるような表情で、その目からは生気が失せていた。

「もう止めたい。このゲーム・・・もうちゃん様呼ばわりでもいいからぁ・・・w」

意味不明な言葉をボソボソ呟きながら、自らの腕にヒロポン?を打とうとする。
精神的過負荷の為か?はたまたガン牌でもするつもりなのだろうか?w
すかさずハクオロがその腕を掴んで、そっとカミュに耳打ちした。

(・・・もう少しの辛抱だ。カミュ。私が何とかしよう)

それを聞いたカミュがふみゅーんとした顔で今にも泣きそうになる。

(なんとかするってどーするのよぉ〜?おじ様まだ5マス目じゃん)

(フッ、所詮ゲームだ。ゲームである以上、行うのもまた人間さ)

(ふぇ?)

ヒュンッ!!!

「おわッ!!」

ガツッ・・・・しゅぅぅぅぅ

ユズハが降ったサイコロが物凄い速度でハクオロの頬を掠め、背後の柱に突き刺さる。
柱から剥き出しになった賽の目は1。

「・・・・チッ」

ゴールまであと少しなのに、最少数の1が出るという結果に舌打ちするユズハ。
対面のハクオロは賽で切られた髪がハラハラと落ち、頬から出血。

(契る云々以前に殺されるんじゃなかろうか・・・)ゾォ

渋々自分のコマが進むのを待つユズハに、これ機とばかりにハクオロが声をかけた。

「待った」

「なんですの?将棋やないんやから、待ったなんてナシやで」

「いや、今のは賽がちゃんと床に転がってないだろう?
 だから仕切りなおしじゃないかな?」

「・・・・・・・・」

言われてみれば亜苦死図が反応しない。
ノーカウントなのだろうか?
ユズハは怪訝な表情を浮かべつつも、ハクオロの提案に賛同する。

「フフッ・・・わざわざ御自分が不利になるのに、そんな提案して構へんの?」

「あぁ、事実亜苦死図も反応を示さないからな」

そう言うと、ハクロオは柱にめり込んだ賽を力一杯引き抜いた。

絶好の好機―!!

キラリーン☆

ハクオロの挙動を見守っていたカミュがハッと息を呑む。

(―ッ!お、おじ様、まさか!!)

つばめ返しッ!!(フワァッ

ササッ!!

すかさずハクオロは手に隠し持っていた別のサイコロとすり替えた。

(うわwww本当にやったwwwwwwww)

(恐らく呪物は亜苦死図本体。まろの予想が正しければ、これ自体はただのサイコロでおじゃる)

冷や汗を流しつつハクオロはユズハの様子を伺うが、どうやらバレてはいないようだ。
曲者のオボロも欠伸をしていたのか、目を擦りながら暇そうにダレている。
アルルゥに至っては既にムックルの横っ腹を枕にスゥスゥとお休み中。

(よし!)

ハクオロは心の中でガッツポーズ。
何食わぬ顔でユズハに偽のサイコロを手渡した。

(曲りなりにも呪物だ。そう簡単にゴールはさせてくれぬだろう。なら、私にも勝機はある!)

ハクオロがすり替えたサイコロには細工がしてある。
微妙な力加減で賽の目を調整するもので、
その加減が分からない者が振った場合、数字の目は必ず1になる。

(普段持ち歩いていたサイコロがよもやこんなところで役に立つとはな・・・)

ちなみにこのサイコロ、ゲームでトウカをおちょくる時や、
カルラから理不尽な賭けを持ちかけられた際に大活躍しているのは内緒であるw
ハクオロが残りの賽の目全て6を出せば、まだ逆転の可能性はあるかも知れない。
インチキサイコロを掴まされたユズハが再び賽を振った。
やはり先程までは多少感情的になっていたのだろうか?
今度は打って変わり、静かにサイコロが転がる。

カランカラン―ッ。

しかし、そんなユズハの心構えとは逆に賽の目は無常にも再び1。
してやったりとハクオロが破顔する。

「ありゃりゃ、ユズハ。こりゃ災難だt
「おい」

ビクッ!

ありえねーくらい怖いユズハの声に一同硬直。

「サイコロの音色ぉ、変わったなぁ?」

そう言うと、険しい表情でユズハが面を上げた。

!?

し・・・・ん。

「な、何言ってやがんでいッ!」(滝汗

「ちょ、ちょっとユズちゃん、因縁つける気?」←涙声

余りの恐怖におしっこをチビリそうになるも、
飽く迄強気にハクオロは反論した。が、直後。

― ヒュンッ!!

ユズハが壁に立てかけてあった仕込み杖で一閃。

「ザトゥーイチッ!?」 おしっこジャー

パカッとサイコロは見事に切断され、中から精巧なギミックが壊れ落ちた。
オボロは顔に縦線を入れながら、もう何も見ていない事に決め込む。

(アホか兄者・・・ユズハにそんな下手な嘘通用しねぇよ・・・)

カチンッ。

固まったまま身動き取れない一同を尻目に、ユズハは刃を杖に納めると
再び優雅に身なりを整える。

「ハクオロ様、私を甘く見過ぎておりませんか?
 目が見えなくても私にはお見通しですわよ?」

クスクスクス。と滑稽だと言わんばかりにユズハはしばらく笑った後、声色を変化させた。

               バラ
「次やったら殺すで?」
「は・・・はい」 ガクガク

あっさり自分の過ちを認めたハクオロがすごすごとギったサイコロを差し渡す。
そして賽は三度振られた。

コンコロロロ〜

出た目は何と6。
ゴールまで残すは@4コマ!ハクオロ大ピンチッ!

(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!)

まさか奥の手がこうもあっさりと見破られるとは、
流石、戦闘一族。改めてユズハの潜在能力に驚愕させられた。
このままいけば、マジでゴールインは目に見えている。

(やばいでおじゃるwww隕石でも落ちてこないと、このままでわ!)

亜苦死図の勝者は「世界を革命する力」を得るとユズハは言った。
もしこのままユズハが勝ってしまえば、いくらハクオロが拒絶したところで、
ユズハを寵愛させられるハメになるのは必至。

(・・・・まぁ、別に抱いてやっても構わぬが、
 どうも無理矢理ってのは気に喰わないでおじゃる)

ガリガリと頭をかきながら、溜息をつく。
ユズハが自分を慕ってくれているのは痛い程分かる。
だが、ハクオロはユズハ自身の体が心配で止まないのだ。
もともとユズハは幼い頃より病で寝たきりの生活が続いていた。
そんな彼女にとって、ハクオロは最初に出来た話相手であり、
また、兄以外に初めて親しくなった異性でもあるのだ。
そこに特別な感情が沸くのは致し方無い事かもしれない。
色白に華奢な体。それでも女子の性だろうか、
日々丹念に櫛を通している黒髪は美しく、
まだあどけない可憐な姿は、また周囲の女とは違った華を感じさせる。

(ユズハはまだ若い。それに、まだ目が治る可能性だってあるかも知れないのだ。
 私如きに執着せず、まずは己の体を労わって欲しいのだが・・・)

・・・と、思っていたのは恐らく最初だけであろう。
最近は、本当に病気なのか?と言うくらい元気な気がしてならない。
と、言うか、既に人間を超越しているのではないか?としか思えない。

(もしかしてあの閉じてる目は魔眼(キュベレイ)で、開けたら周りが石化するとかか?w)

などと馬鹿な事を考えているうちに、ユズハの駒よりイベントが発動された。

カッ

出崎Airは名作です。
AirじゃないけどAirです。
お前の事、見てられねぇッ!って
そりゃこっち(観客)の台詞だYOw
だけど、私は劇場版が好きです。
家族で一度は見て頂きたい。
感じて欲しい。
触れてみなければ分からない事もある。
あれこそがAirの最終章なのです。
そこの貴方、騙されたと思って見てください。
ちなみにクレームは送ってこないで下さいね?
Thank you DEZAKI and you.


「「「「・・・・・・・・・」」」」


意味不明な言葉が流れる。
その場にいる者全員の顔が

('A`)ハァッ?

ピカーンッ!!!

一際眩しい光が辺りを包み込む。

しゅう・・・・・

「・・・・今度はなんだ?」(汗

「ふぇぇぇ・・・もうこれ以上トラブルは勘弁してよぉw」

「また兄者が暴走するとかじゃないだろうな?」

「おいおい、これはユズハの番だろ?また私は勘弁してくれよw」

「・・・・・・・あ」

ひらひらひら・・・

「・・・・みなさん、静かに・・・」

!?

ユズハの言葉で一同が口を噤んだ直後、何かが天井から舞い降りてきた。
どうやら紙切れのように見えるが・・・

「なんだこれは・・?」

― パシッ

落ちてきた古紙をユズハが空中で掴み取った。

「・・・・・・この手触り、紙のようですが・・・」

スッスッとユズハが指ざわりで確かめる。

「どうやら何か書かれているみたいですが・・・・〜〜」

目の見えない事に苛立つユズハの様子がいじらしくて
ハクオロが優しく声をかけながら手を差し出した。

「見せてみなさい」

ゆっくりとユズハから紙を受け取る。確かに文字らしきものが書かれていた。

「―ふむ、どれどれ・・・・」

「ハクオロ様、なんて書かれているのですか?」

「えっと・・・・・ご利用ありがとう御座いました」

「は?」

唐突な出だしにオボロが呆けた。

「・・・またのご利用御待ちしております・・・って何だこりゃ?」(汗

「おじ様、何言ってんの?w」

怪訝な表情でカミュもわきから覗き込む。

「いや、私は書いてある事をそのまま読んでいるだけだが・・・」

「ホントかよ?」

「おじ様、まだ続きが・・・」

「あぁ、そ、そうだな。・・・えっと・・・誠に恐れ入りますが
 お客様のヨド○シポイントは累積されていらっしゃらなかった為、
 今回は支払いの代価としてスタート地点に・・・戻って頂きますぅ?!」

「はぁッ!?」

クワッとユズハが目を見開いた。

「ちょ・・・ハクオロ様ッ!何言ってんのよぉ!!」

そう言うや否や、ユズハはハクオロの首を絞める。

「ぐがっ!ちょwwww待っwwww」

「う、うちが目ぇ見えへんから言うて、何フカシこいてんねんッ!!」

顔を真っ赤にしてユズハが激昂。

「いやwwwだって・・・ほんt・・・ぐええええw」

「嘘やッ!見せてみぃや!!」

「ほ・・・ほら!」

呼吸困難に陥るハクオロが必死でユズハの手を振りほどき、紙を差し出した。
それを奪い取るように手に取ると、食い入るように見つめるユズハ。
わなわなと肩を震わせながら、しばらくして、ボソッと力の抜けた声を発した。

「・・・・ほんまや」

―カッ!!

その直後、イデが発動したかと思うような、光が亜苦死図から発せられる。
そして・・・何時の間にかゴール直前まで来ていたユズハの駒が、
スタート地点にぽつんと戻されていた。

し・・・・ん。



 ― 観金令 「見てるでしょ?」
 ― 彳主人 「あぁ・・・見てる」
 ― 観金令 「見ないで!」
 ― 彳主人 「だってもう見ちゃったぜ?」
 ― 観金令 「だから見なかった事にしといてください」


「・・・・・イエスッ!!!!!」

思わずガッツポーズを取るハクオロ。

ギロッ

即行ユズハが睨みつけてきた。
折角作ったガッツポーズは行き場をなくし、
路頭に迷いながら意味不明な上下反復運動を繰り返す。

「えええ〜!?あそこまで来てやり直しなのぉ〜!?wwww」

ふにゃふにゃとカミュは脱力。
もう彼女にしてみればこの悪趣味なゲームをさっさと終らせたかったのだろう。

「〜〜〜〜!」

顔を紅潮させながら悔しさで肩を震わせるユズハ。
まぁあと少しで勝っていたのにいきなり振り出しなら当然だろう。
まるで小学生が作ったかのような理不尽of理不尽w
ますます勝負の行方が分からなくなってきた。

「うぅ・・・@少しだったのに残念だなぁユズハよッ!」 (ブワッ

ハンカチを噛み締めながらオボロがユズハに抱きつこうとするが・・・

バキィッ!

「路上のカリスマッ!?」

見事な左ストレートを喰らって吹っ飛んだ。

「・・・・フンッ!まぁええわ。状況は最初と変わってへん。
 またうちがイベントで追い越せばええねん!」

負け惜しみを言いながらマス目を睨みつけるユズハにハクオロは苦笑する。

(―ん?・・・・ちょっと待てよ?w)

【次の番〜、セイセイセイ!大庭詠美〜〜?】

「うるっさいわねぇ!分かってるわよ!!www」

ガーン。と亜苦死図を蹴っ飛ばしながらカミュがサイコロを振るう。

出た目は5。

ゴクリ。とカミュが息を呑む。
既に髪の毛は緑色にされている。
これ以上何が来るのだろうか?

カッ!

【イベント発動(エンゲージ)!】

そういやマジカヨ!?アンティークってやってませんでしたね。
全く以って忘れてましたよ。
・・・今更ヤル気起きるのでしょうか?www
さてここで問題デス。
主人公スフィーの特技は以下のどのコマンドのうちどれ?

【ウィツァルネミテアカードを引いてクレーチョ】

    「大きくなれる」
  「小さくなれる」
  「そのまま大庭詠美」
→ 「ダークサイドのフォース」

ちなみに全く本編と関係はなかった。
突然訳の分からない選択肢が4つ提示されるが、明らかに一番下はダウトくさい。
しかも、いきなり選択が一番下にデフォルト設定されている。
無論、選べという事だろうか?w

「ちょwwwwなんで私の時だけいつもこんなのなのぉ〜!?」

「ぬぅ・・・こりゃ初めてのパターンでおじゃるなw」

(―ハッ!?)

カミュの脳裏に閃きが起る。
ぐしゃっと手元の同人誌に力を込めた。
そう、彼女の手元には髪の毛を緑色にされた時、
何故かマジカヨ!?アンティークの同人誌を貰っていたのだw


(ちょっと待って、アルちゃんは大人になった・・・
 さっきこの同人誌を読んだらマジカヨ!?アンティークの事が描いてあったじゃない・・・
 もしかして・・・私もお姉さまみたいに・・・hehe)

1秒間の葛藤の末、カミュが選んだ選択肢は・・・・

→「大きくなれる」
  「小さくなれる」
  「そのまま大庭詠美」
  「ダークサイドのフォース」

【プレイヤーが選択肢を決定しました】

「む!即決でおじゃるか!?」
「おーほほほほ!これで私もボインボインよぉ!」

既にボインボインなのにこれ以上ボインボインになってどうするのだろうか?

カッ―!!

ズズ・・・ズズズズ

!?

突然カミュの「体」が、文字通り「大きく」なっていく・・・・。

「ウォイ!wwwwは、歯なしにならねぇ――ッ!!!wwwww

「おわ―ッ!?ちょっと待て、何処まで大きくなるでおじゃるか!?」

「カミュちゃん。ちょっと、このままだと私の部屋が・・・!」

「おいおいマジかよ!?」

メキメキメキ・・・バキャァ!

・・・・・。

・・・・・・・・。

「おーい、オボロ、ユズハ、生きてるか?」

「あぁ・・・なんとか」

「私は平気です」

束の間の後、天井が突き破られ、埃まみれと木片が散らばったユズハの部屋。
ハクオロは寝ているアルルゥを抱きとめ、なんとか木材の隙間に身を潜め、
オボロは頭に木片を突き刺しながら一句詠んでいる。
そしてユズハは片手で倒れてきた柱を支えていた。

「うちの部屋、ボロボロやん・・・」

「ふえぇぇぇぇぇぇん!!!」

「うわッ!五月蝿いでおじゃるwww」

「やかましい!大きな体で泣き喚くな!w」

巨大化したカミュがとうとう泣き出した。
全長10m以上のカミュの鳴き声は最早怪獣の咆哮と変わらない。

ドタドタドタドタッ

「ちょ、ちょっと何ですか!?今の音は」

「ハクオロさん、今度はなんですか!?」

余りの騒々しい音に、夕飯を拵えていたウルトリィとエルルゥが駆けつけてきた。

「おねえさまぁああああああ」

「―ひッ!?」

巨大化した我が妹を目の当たりにして、ウルトは硬直。。。
カンカランカーン・・・←おたま

「おねえさまぁたすけてぇぇぇぇ」

「・・・・・・・・・」

「あ〜、ウルト、これには訳がだな・・・」

「・・・・うーん・・・」 バタンッ

ウルト卒倒。

「ぎゃあああ!お姉さまが氏んだ!?」

「落ち着け、気を失っただけでおじゃる!」

ギャーギャー!
最早ゲームどころではない。ユズハの部屋を中心に皇殿が大騒ぎになった。

「・・・・ん?」

頭に刺さった木片を引っこ抜いていたオボロに誘惑的な文字が浮かび上がる。

【さぁ・・・貴方の番だ】

「あぁ、次は俺の番か・・・って、もうそれどころじゃねーよ!」

【塩キャラ】

「―ッ!?な、なんだとぉ!?」

【一生ヤラレキャラでいいのか?】

「クッ・・・こ、この野郎・・・!」(わなわな

【Hurry、Hurry、Hurry!】

「わーったよ!クソッ、どこいった!」

亜苦死図に挑発されて、オボロが賽を探す。
サイコロは藁葺と木柱の間に転がっていた。
それを我武者羅に拾うと亜苦死図に投げつける。

「これで満足だろ!」

カーッツーン。コロコロコロ・・・

亜苦死図に直撃したサイコロはそのまま転がり跳ねる。

・・・・でた目は3。

オボロの駒が7マス目へと差し掛かる。

【イベント発動(エンゲージ)!ウィツァルネミテアカードを引いて下さい】

「ゲッ!?」

目の前に提示されるカード群。
どれを引いても我が身にろくな事が起らない気がして止まない。

「・・・・妹が・・・ビッグマン・・・2リットル・・・」(ピクピク

「きゃ〜〜!ウルトさんが口から泡を・・・!」

「軽いショックだ、落ち着くでおじゃる」

「あ”―ッ!うちの絵が・・・うちの力作がぁぁ〜!」

「・・・うーん・・・もう・・・うるさいよぉぉ」 ムニャムニャ

【早く引けッ!塩!!!】

「クソォ!こうなったらヤケだ!!!」

半分ヤケクソで真ん中のカードを引くオボロ。

オボロを初めて見た時さぁ、
これ九品仏大志じゃねーの?と思ったんだよ。

カッ!!!

「なんて投げやりなコメントだーッ!!!!」

しゅうぅぅぅぅ。
再び眩い光が亜苦死図から発せられたが・・・・

「・・・・・あれ?」

何かがおかしい。
目を擦りながら、オボロが亜苦死図を凝視してみると・・・・

「・・・・あ、あれ?」

何故かオボロの駒がゴールにちょこんと鎮座している。

― ピタッ

それを見て、今まで騒いでいたハクオロ達がピタリと止まった。

【おめでとう御座います。ネ申からのお言葉を頂いたプレイヤーはそのまま世の頂へと導かれました】

し〜〜〜〜ん。

「あ・・・勝っちまった」

 

 

 

    後より出でて先に勝つ者
「アンサラー・・・・

「ヒッ!?」
                 殴り〆る怒りの鉄拳
 ・・・・フラガラックッ!!!!!!!」

 

※たまにいるよね、最初負けてたのにちゃっかり最後は勝ってる空気嫁てない人w

グシャアアアッ!!!!

ユズハ渾身の鉄拳がオボロの鼻っ柱に炸裂・・・w

「げぼわああああッ!?」

「おんどれはぁぁぁ――――ッ!!5万回氏ねやぁぁぁ!!!!!」

初撃で既に瀕死のオボロに、ユズハが駆け寄って追い討ちコマンド(↓↓強K)・・・・。

「・・・お、おっほっほ・・・まろは助かったでおじゃるか・・・」

【さぁ望み通りの力を与えよう。何が望みだ?】


「あんたなぁー!あんたが勝ってどないすんねん!!」

ドカァッバキィッ!

「ぎゃ―――ッやめて、痛いッ!痛いがなッ!!」

「うちのせっかくのチャンスやったのに!アホー;;」

ドガァボカァ!

「あ、あのなぁ!ユズハ。お前は充分可愛いんやから・・ってグワッ!?」

― ガラッ

「「若さま、訓練の時間がとっくに過ぎてますよッ!何を―」」

兵士達の訓練の時間になっても一向に来ないオボロに痺れを切らしたのか?
ドリィとグラァがプンスカ怒りながら、部屋へやってきたその時・・・・

「もう少し女らしくしたらええやんけぇぇッ!!」

ボコボコされながらも無我夢中でそう叫んだオボロの先に立っていたのは、
なんとドリグラ兄弟。

「あ」
「あ」
「あ」
「・・・・・・ぐふっ」(ドサッ

オボロ、逝く。

カッ―!

【主の願い、しかと聞きうけた。ABAYOッ!!!!】

ドバシュッ!!

亜苦死図は眩い光を放ちつつ、空高く舞い上がると、
やがて四方八方の欠片となって飛散していった。

「グス・・・ドラゴンボールかよ!なめんなッ!!」

泣きべそをかきながら、カミュがオボロの屍を力一杯放り投げた。
ひゅぅぅぅ〜〜〜〜〜キラーン☆

ドサドサッ!
!?
鈍い音がした方へみなが振り返ると、なんとドリィとグラァがその場に倒れこんでいた。

「お、おい!?しっかりしろ?」

「ちょ、ちょっと、ドリィさんグラァさん!どうしたんですか!?」

慌ててハクオロとエルルゥが駆け寄って抱き起こす。

「・・・・うん・・・」

「・・・あれ?」

すぐに2人は目を覚ましたが、意識が混濁しているように
泳いだ視線で辺りを見回す。

「あれ?僕たち、一体・・・何を?」

「・・・確かグラァと一緒にオボロ様を・・・」

「あ、そ、そうだね・・・早く、訓練に逝かないと・・・」 ヨロッ

頭を抑えつつドリィが無理矢理ハクオロの腕から起き上がろうとするが、
体勢を崩して再び倒れそうになる。

「お、おぃ、まだ起き上がるな」

むにゅっ。

!?

「―はい?」(汗

たまたまドリィを抱えようとしたハクオロの手が「彼」の右胸を鷲掴みにするが、
そこに何か良く分からない。普通ではありえない感触が・・・・

(・・・・・・・)

しばしハクオロは硬直した後、コホンと咳払いを一つ。

「あ、あのなぁ・・・ドリィ。お前達の趣味にあれこれ言うつもりはないが、
 何も訓練の時までシリコンパッドを入れる必要はないだろ?」


「・・・・・・え!?あ、あの」

カァァ。とドリィが赤面するのがとてもとても痛い。

「しかし・・・これ、随分リアルに出来ているでおじゃるな・・・w」

そうシミジミと言いながらモミモミと揉みしだくハクオロ。

「・・・・・あ・・ん!」ハァハァ

「ちょwwwwおまwwwwwww待てwwwwwwwww」

生々しく反応するドリィを見てハクオロはドン引き。
相手が女性ならドメスティックな行動に出るエルルゥも見て見ぬ振り。
対するエルルゥもハクオロに構っている余裕は無かった。
抱きかかえたグラァが小刻みに震えながら、
何故か自分の股間を弄っているからだ・・・。

(前からこの子達、変だと思ってたけど、本物ね・・・・w)

そんな嫌ァな雰囲気の中、ようやく眠り姫が目覚めた。

「ふわぁぁ・・・寝ちゃってた・・・おとーさん?終っちゃった?」

ひゅうぅぅぅぅ〜〜〜〜

ズボアッ!!

突然アルルゥの目の前にオボロが落下してきたかと思うと、
次の瞬間には頭だけが床にささって直立していた。

「あれ?ボロボロが空から降ってきたお」

「・・・・」 ビクンッビクッ

「生きてるぅ?」 ツンツン

「・・・・!」 ズボォ!

血走った目でオボロが頭を床から引っこ抜くと、
グルンと反転して、ドタドタとハクオロに詰め寄った。

「結局俺が勝ったけど、何も変わってねーぞ!!」 ぶわッ

「いや、私に言われても・・・」

「トホホ・・・結局亜苦死図の伝説は嘘だったのか・・・」

がっくりとorzするオボロが余りにも哀愁を誘う。

「いや、しかしオボロ。伝説もなにも現にこれはどうすればいいんだ?w」

そう言いながらハクオロが指差したのは、
デルモ体型のアルルゥと巨大化したスーパーカミュ。
カミュは余りのショックで(゚q゚)な顔になっていたw

「ゲッ!?元に戻ってないのか!?」

「「若様ーーッ!」」

「ん?オワッ!?」

よろよろと起き上がると、いきなりオボロにタックルを喰らわせるドリグラ兄弟。
勢い余ってそのままオボロともども床に倒れこんだ。

「な、なんやねんお前ら急に・・・」

「「僕達女の子になっちゃいましたーーッ!!」」

「な、なにぃぃぃぃ!?」

ついに僕達ホモだちんこカミングアウト宣言にオボロの顔が引き攣る。

「そう言えばユズハは何処いった?」

立ち上がったハクロオが滅茶苦茶になった部屋を見回すと、
隅の暗闇にユズハが壁に向かって正座していた。

「・・・ユズハ?」

「―ッ!」 ビクンッ

ハクオロの呼びかけにユズハは反応するも、何故かこちらへ振り向こうとしない。

「ユズハ、そこはいつ倒壊するか分からない。危険だからこっちへ・・・」

そう言いながら、彼女の肩を掴む。
ユズハは意を決したようにゆっくりと振り向いた。

「―ッ!」

ユズハの透き通るような蒼い目がハクオロを見据える。
それを見てハクオロの中で湧き上がっていた違和感が沸点に到達した。
しばし無言で見詰め合っていたが、やがてユズハが恐る恐る口を開く。

「貴方・・・ハクオロ様・・・ですよね?」

「・・・・・・・・ッ」

そう、彼女の瞳にはちゃんとした意思が感じられるのだ。

「・・・・・やはりそうか」

「・・・・・・・・」

「やはり目が見えているんだな?ユズハ」

「はい・・・・・初めまして、ハクオロ様ッ!」

ユズハは目尻に涙を浮かべながら、微笑んだ。


 

― 一方、台所

ぐぅぅぅぅ〜〜きゅるるるぅぅ〜〜〜。

「お腹すいたで御座るなぁ・・・;;」

「・・・・そうね」

トウカとカルラが体育座りでしょんぼりしていた。


 

つづく




この物語はフィクションであり
登場する人物名、団体名等は
実在するものとは関係ありません