亜苦死図は全66コマで構成される 愛と幻想のふぁしずむ
エピソード3(第25話) 逆襲の殺ァ - Vol.5 -
ゴゴゴゴゴ
嫉妬の炎を背に漂わせ、ユズハがボソリと呟く。 「ひぃっ!あ、あの、ユズハ?さっきのまろの発言、
必死に言い訳するハクオロが見苦しい事この上なしw
「うちは既に@10マスや。対するハクオロ様はまだ5マス目・・・・
「頑張れユズハ!ゴー☆ゴー☆YUZUHAッ!!」
ちょっとdでる妹に暖かいエールを送る馬鹿兄貴オボロ。
「もう止めたい。このゲーム・・・もうちゃん様呼ばわりでもいいからぁ・・・w」
意味不明な言葉をボソボソ呟きながら、自らの腕にヒロポン?を打とうとする。
(・・・もう少しの辛抱だ。カミュ。私が何とかしよう)
それを聞いたカミュがふみゅーんとした顔で今にも泣きそうになる。
(なんとかするってどーするのよぉ〜?おじ様まだ5マス目じゃん)
(フッ、所詮ゲームだ。ゲームである以上、行うのもまた人間さ)
(ふぇ?)
ヒュンッ!!!
「おわッ!!」
ガツッ・・・・しゅぅぅぅぅ
ユズハが降ったサイコロが物凄い速度でハクオロの頬を掠め、背後の柱に突き刺さる。
「・・・・チッ」
ゴールまであと少しなのに、最少数の1が出るという結果に舌打ちするユズハ。
(契る云々以前に殺されるんじゃなかろうか・・・)ゾォ
渋々自分のコマが進むのを待つユズハに、これ機とばかりにハクオロが声をかけた。
「待った」
「なんですの?将棋やないんやから、待ったなんてナシやで」
「いや、今のは賽がちゃんと床に転がってないだろう?
「・・・・・・・・」
言われてみれば亜苦死図が反応しない。
「フフッ・・・わざわざ御自分が不利になるのに、そんな提案して構へんの?」
「あぁ、事実亜苦死図も反応を示さないからな」
そう言うと、ハクロオは柱にめり込んだ賽を力一杯引き抜いた。 絶好の好機―!!
ハクオロの挙動を見守っていたカミュがハッと息を呑む。
(―ッ!お、おじ様、まさか!!)
つばめ返しッ!!(フワァッ
すかさずハクオロは手に隠し持っていた別のサイコロとすり替えた。
(うわwww本当にやったwwwwwwww)
(恐らく呪物は亜苦死図本体。まろの予想が正しければ、これ自体はただのサイコロでおじゃる)
冷や汗を流しつつハクオロはユズハの様子を伺うが、どうやらバレてはいないようだ。
(よし!)
ハクオロは心の中でガッツポーズ。
(曲りなりにも呪物だ。そう簡単にゴールはさせてくれぬだろう。なら、私にも勝機はある!)
ハクオロがすり替えたサイコロには細工がしてある。
(普段持ち歩いていたサイコロがよもやこんなところで役に立つとはな・・・)
ちなみにこのサイコロ、ゲームでトウカをおちょくる時や、
カランカラン―ッ。
しかし、そんなユズハの心構えとは逆に賽の目は無常にも再び1。
「ありゃりゃ、ユズハ。こりゃ災難だt
ビクッ!
ありえねーくらい怖いユズハの声に一同硬直。
「サイコロの音色ぉ、変わったなぁ?」
そう言うと、険しい表情でユズハが面を上げた。
!?
し・・・・ん。
「な、何言ってやがんでいッ!」(滝汗
「ちょ、ちょっとユズちゃん、因縁つける気?」←涙声
余りの恐怖におしっこをチビリそうになるも、
― ヒュンッ!!
ユズハが壁に立てかけてあった仕込み杖で一閃。
「ザトゥーイチッ!?」 おしっこジャー
パカッとサイコロは見事に切断され、中から精巧なギミックが壊れ落ちた。
(アホか兄者・・・ユズハにそんな下手な嘘通用しねぇよ・・・)
カチンッ。
固まったまま身動き取れない一同を尻目に、ユズハは刃を杖に納めると
「ハクオロ様、私を甘く見過ぎておりませんか?
クスクスクス。と滑稽だと言わんばかりにユズハはしばらく笑った後、声色を変化させた。
バラ
あっさり自分の過ちを認めたハクオロがすごすごとギったサイコロを差し渡す。
コンコロロロ〜
出た目は何と6。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!)
まさか奥の手がこうもあっさりと見破られるとは、
(やばいでおじゃるwww隕石でも落ちてこないと、このままでわ!)
亜苦死図の勝者は「世界を革命する力」を得るとユズハは言った。
(・・・・まぁ、別に抱いてやっても構わぬが、
ガリガリと頭をかきながら、溜息をつく。
(ユズハはまだ若い。それに、まだ目が治る可能性だってあるかも知れないのだ。
・・・と、思っていたのは恐らく最初だけであろう。
(もしかしてあの閉じてる目は魔眼(キュベレイ)で、開けたら周りが石化するとかか?w)
などと馬鹿な事を考えているうちに、ユズハの駒よりイベントが発動された。
カッ
出崎Airは名作です。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
意味不明な言葉が流れる。
('A`)ハァッ?
ピカーンッ!!!
一際眩しい光が辺りを包み込む。
しゅう・・・・・
「・・・・今度はなんだ?」(汗
「ふぇぇぇ・・・もうこれ以上トラブルは勘弁してよぉw」
「また兄者が暴走するとかじゃないだろうな?」
「おいおい、これはユズハの番だろ?また私は勘弁してくれよw」
「・・・・・・・あ」
ひらひらひら・・・
「・・・・みなさん、静かに・・・」
!?
「なんだこれは・・?」
― パシッ
「・・・・・・この手触り、紙のようですが・・・」
スッスッとユズハが指ざわりで確かめる。
「どうやら何か書かれているみたいですが・・・・〜〜」
目の見えない事に苛立つユズハの様子がいじらしくて
「見せてみなさい」
ゆっくりとユズハから紙を受け取る。確かに文字らしきものが書かれていた。
「―ふむ、どれどれ・・・・」
「ハクオロ様、なんて書かれているのですか?」
「えっと・・・・・ご利用ありがとう御座いました」
「は?」
唐突な出だしにオボロが呆けた。
「・・・またのご利用御待ちしております・・・って何だこりゃ?」(汗
「おじ様、何言ってんの?w」
怪訝な表情でカミュもわきから覗き込む。
「いや、私は書いてある事をそのまま読んでいるだけだが・・・」
「ホントかよ?」
「おじ様、まだ続きが・・・」
「あぁ、そ、そうだな。・・・えっと・・・誠に恐れ入りますが
「はぁッ!?」
クワッとユズハが目を見開いた。
「ちょ・・・ハクオロ様ッ!何言ってんのよぉ!!」
そう言うや否や、ユズハはハクオロの首を絞める。
「ぐがっ!ちょwwww待っwwww」
「う、うちが目ぇ見えへんから言うて、何フカシこいてんねんッ!!」
顔を真っ赤にしてユズハが激昂。
「いやwwwだって・・・ほんt・・・ぐええええw」
「嘘やッ!見せてみぃや!!」
「ほ・・・ほら!」
呼吸困難に陥るハクオロが必死でユズハの手を振りほどき、紙を差し出した。
「・・・・ほんまや」
―カッ!!
その直後、イデが発動したかと思うような、光が亜苦死図から発せられる。
「えええ〜!?あそこまで来てやり直しなのぉ〜!?wwww」
ふにゃふにゃとカミュは脱力。
「〜〜〜〜!」
顔を紅潮させながら悔しさで肩を震わせるユズハ。
「うぅ・・・@少しだったのに残念だなぁユズハよッ!」 (ブワッ
ハンカチを噛み締めながらオボロがユズハに抱きつこうとするが・・・
「路上のカリスマッ!?」
見事な左ストレートを喰らって吹っ飛んだ。
「・・・・フンッ!まぁええわ。状況は最初と変わってへん。
負け惜しみを言いながらマス目を睨みつけるユズハにハクオロは苦笑する。
(―ん?・・・・ちょっと待てよ?w)
【次の番〜、セイセイセイ!大庭詠美〜〜?】
「うるっさいわねぇ!分かってるわよ!!www」
ガーン。と亜苦死図を蹴っ飛ばしながらカミュがサイコロを振るう。
カッ!
【イベント発動(エンゲージ)!】
そういやマジカヨ!?アンティークってやってませんでしたね。 【ウィツァルネミテアカードを引いてクレーチョ】 ちなみに全く本編と関係はなかった。 「ちょwwwwなんで私の時だけいつもこんなのなのぉ〜!?」 「ぬぅ・・・こりゃ初めてのパターンでおじゃるなw」 (―ハッ!?) カミュの脳裏に閃きが起る。
1秒間の葛藤の末、カミュが選んだ選択肢は・・・・ →「大きくなれる」 【プレイヤーが選択肢を決定しました】 「む!即決でおじゃるか!?」 既にボインボインなのにこれ以上ボインボインになってどうするのだろうか? カッ―!! 「ウォイ!wwwwは、歯なしにならねぇ――ッ!!!wwwww」 「おわ―ッ!?ちょっと待て、何処まで大きくなるでおじゃるか!?」 「カミュちゃん。ちょっと、このままだと私の部屋が・・・!」 「おいおいマジかよ!?」 メキメキメキ・・・バキャァ! ・・・・・。 ・・・・・・・・。 「おーい、オボロ、ユズハ、生きてるか?」 「あぁ・・・なんとか」 「私は平気です」 束の間の後、天井が突き破られ、埃まみれと木片が散らばったユズハの部屋。 「うちの部屋、ボロボロやん・・・」 「ふえぇぇぇぇぇぇん!!!」 「うわッ!五月蝿いでおじゃるwww」 「やかましい!大きな体で泣き喚くな!w」 巨大化したカミュがとうとう泣き出した。 ドタドタドタドタッ 「ちょ、ちょっと何ですか!?今の音は」 「ハクオロさん、今度はなんですか!?」 余りの騒々しい音に、夕飯を拵えていたウルトリィとエルルゥが駆けつけてきた。 「おねえさまぁああああああ」 「―ひッ!?」 巨大化した我が妹を目の当たりにして、ウルトは硬直。。。 「おねえさまぁたすけてぇぇぇぇ」 「・・・・・・・・・」 「あ〜、ウルト、これには訳がだな・・・」 「・・・・うーん・・・」 バタンッ ウルト卒倒。 「ぎゃあああ!お姉さまが氏んだ!?」 「落ち着け、気を失っただけでおじゃる!」 ギャーギャー! 「・・・・ん?」 頭に刺さった木片を引っこ抜いていたオボロに誘惑的な文字が浮かび上がる。 【さぁ・・・貴方の番だ】 「あぁ、次は俺の番か・・・って、もうそれどころじゃねーよ!」 【塩キャラ】 「―ッ!?な、なんだとぉ!?」 【一生ヤラレキャラでいいのか?】 「クッ・・・こ、この野郎・・・!」(わなわな 【Hurry、Hurry、Hurry!】 「わーったよ!クソッ、どこいった!」 亜苦死図に挑発されて、オボロが賽を探す。 「これで満足だろ!」 カーッツーン。コロコロコロ・・・ 【イベント発動(エンゲージ)!ウィツァルネミテアカードを引いて下さい】 「ゲッ!?」 目の前に提示されるカード群。 「・・・・妹が・・・ビッグマン・・・2リットル・・・」(ピクピク 「きゃ〜〜!ウルトさんが口から泡を・・・!」 「軽いショックだ、落ち着くでおじゃる」 「あ”―ッ!うちの絵が・・・うちの力作がぁぁ〜!」 「・・・うーん・・・もう・・・うるさいよぉぉ」 ムニャムニャ 【早く引けッ!塩!!!】 「クソォ!こうなったらヤケだ!!!」 半分ヤケクソで真ん中のカードを引くオボロ。 オボロを初めて見た時さぁ、 カッ!!! 「なんて投げやりなコメントだーッ!!!!」 しゅうぅぅぅぅ。 「・・・・・あれ?」 何かがおかしい。 「・・・・あ、あれ?」 何故かオボロの駒がゴールにちょこんと鎮座している。 【おめでとう御座います。ネ申からのお言葉を頂いたプレイヤーはそのまま世の頂へと導かれました】 し〜〜〜〜ん。 「あ・・・勝っちまった」
後より出でて先に勝つ者
※たまにいるよね、最初負けてたのにちゃっかり最後は勝ってる空気嫁てない人w グシャアアアッ!!!! ユズハ渾身の鉄拳がオボロの鼻っ柱に炸裂・・・w 「げぼわああああッ!?」 「おんどれはぁぁぁ――――ッ!!5万回氏ねやぁぁぁ!!!!!」 初撃で既に瀕死のオボロに、ユズハが駆け寄って追い討ちコマンド(↓↓強K)・・・・。 「・・・お、おっほっほ・・・まろは助かったでおじゃるか・・・」 【さぁ望み通りの力を与えよう。何が望みだ?】
ドカァッバキィッ! 「ぎゃ―――ッやめて、痛いッ!痛いがなッ!!」 「うちのせっかくのチャンスやったのに!アホー;;」 ドガァボカァ! 「あ、あのなぁ!ユズハ。お前は充分可愛いんやから・・ってグワッ!?」 ― ガラッ 「「若さま、訓練の時間がとっくに過ぎてますよッ!何を―」」 兵士達の訓練の時間になっても一向に来ないオボロに痺れを切らしたのか? 「もう少し女らしくしたらええやんけぇぇッ!!」 ボコボコされながらも無我夢中でそう叫んだオボロの先に立っていたのは、 「あ」 オボロ、逝く。 カッ―! 【主の願い、しかと聞きうけた。ABAYOッ!!!!】 ドバシュッ!! 亜苦死図は眩い光を放ちつつ、空高く舞い上がると、 「グス・・・ドラゴンボールかよ!なめんなッ!!」 泣きべそをかきながら、カミュがオボロの屍を力一杯放り投げた。 ドサドサッ! 「お、おい!?しっかりしろ?」 「ちょ、ちょっと、ドリィさんグラァさん!どうしたんですか!?」 慌ててハクオロとエルルゥが駆け寄って抱き起こす。 「・・・・うん・・・」 「・・・あれ?」 すぐに2人は目を覚ましたが、意識が混濁しているように 「あれ?僕たち、一体・・・何を?」 「・・・確かグラァと一緒にオボロ様を・・・」 「あ、そ、そうだね・・・早く、訓練に逝かないと・・・」 ヨロッ 頭を抑えつつドリィが無理矢理ハクオロの腕から起き上がろうとするが、 「お、おぃ、まだ起き上がるな」 たまたまドリィを抱えようとしたハクオロの手が「彼」の右胸を鷲掴みにするが、 (・・・・・・・) しばしハクオロは硬直した後、コホンと咳払いを一つ。 「あ、あのなぁ・・・ドリィ。お前達の趣味にあれこれ言うつもりはないが、 「・・・・・・え!?あ、あの」 カァァ。とドリィが赤面するのがとてもとても痛い。 「しかし・・・これ、随分リアルに出来ているでおじゃるな・・・w」 そうシミジミと言いながらモミモミと揉みしだくハクオロ。 「・・・・・あ・・ん!」ハァハァ 生々しく反応するドリィを見てハクオロはドン引き。 (前からこの子達、変だと思ってたけど、本物ね・・・・w) そんな嫌ァな雰囲気の中、ようやく眠り姫が目覚めた。 「ふわぁぁ・・・寝ちゃってた・・・おとーさん?終っちゃった?」 ひゅうぅぅぅぅ〜〜〜〜 ズボアッ!! 突然アルルゥの目の前にオボロが落下してきたかと思うと、 「あれ?ボロボロが空から降ってきたお」 「・・・・」 ビクンッビクッ 「生きてるぅ?」 ツンツン 「・・・・!」 ズボォ! 血走った目でオボロが頭を床から引っこ抜くと、 「結局俺が勝ったけど、何も変わってねーぞ!!」 ぶわッ 「いや、私に言われても・・・」 「トホホ・・・結局亜苦死図の伝説は嘘だったのか・・・」 がっくりとorzするオボロが余りにも哀愁を誘う。 「いや、しかしオボロ。伝説もなにも現にこれはどうすればいいんだ?w」 そう言いながらハクオロが指差したのは、 「ゲッ!?元に戻ってないのか!?」 「「若様ーーッ!」」 「ん?オワッ!?」 よろよろと起き上がると、いきなりオボロにタックルを喰らわせるドリグラ兄弟。 「な、なんやねんお前ら急に・・・」 「「僕達女の子になっちゃいましたーーッ!!」」 「な、なにぃぃぃぃ!?」 ついに僕達ホモだちんこカミングアウト宣言にオボロの顔が引き攣る。 「そう言えばユズハは何処いった?」 立ち上がったハクロオが滅茶苦茶になった部屋を見回すと、 「・・・ユズハ?」 「―ッ!」 ビクンッ ハクオロの呼びかけにユズハは反応するも、何故かこちらへ振り向こうとしない。 「ユズハ、そこはいつ倒壊するか分からない。危険だからこっちへ・・・」 そう言いながら、彼女の肩を掴む。 「―ッ!」 ユズハの透き通るような蒼い目がハクオロを見据える。 「貴方・・・ハクオロ様・・・ですよね?」 「・・・・・・・・ッ」 そう、彼女の瞳にはちゃんとした意思が感じられるのだ。 「・・・・・やはりそうか」 「・・・・・・・・」 「やはり目が見えているんだな?ユズハ」 「はい・・・・・初めまして、ハクオロ様ッ!」 ユズハは目尻に涙を浮かべながら、微笑んだ。
― 一方、台所 「お腹すいたで御座るなぁ・・・;;」 「・・・・そうね」 トウカとカルラが体育座りでしょんぼりしていた。
つづく
この物語はフィクションであり |