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特級ッ!難解電哲 【ラピードα】

FM004 月島瑠璃子・後編

 

ひゅうううう〜〜

少し強めの風が吹く。

兎に角、この子を説得しないと・・・・。

はは・・・何やってんだか・・・。

転校してきてすぐに自殺願望の女の子を説得かよ・・・。

 

「や、やぁ。何してんの?こんなとこで。」

 

「・・・・・・・・。」

 

女の子は無言のまま、俺を見つめてきた。

しかし・・・本当に綺麗な子だなぁ・・・・。

って、今はそんな事考えてる場合じゃないか!

 

「あ、あのさ・・・嫌な事あったかもしれないけど・・・

 

「・・・いい天気だね?」

 

「は?」

 

「こんないい天気の日には、とても受信し易いの。」

 

そういって先程まで無表情だった顔がにっこりと微笑んだ。

どきん

 

「あ・・・そうすか・・・。って、受信・・・?」

 

受信・・・・。

・・・・・受信? (汗)

 

「あ、あのさ。今、『じゅしん』って言ったけどさ・・・

 それって、あの『受ける』に『信用の信』って書くあれ?」

 

「・・・・?」

 

少し間を置いてから女の子がコクンと頷く。

 

「受信って・・・何を?」

 

「電波だよ。」

 

は?

 

「で、電波・・・?」

 

「うん。晴れてて風も弱い日は、電波をクリアに受信できるの。」

 

・・・・・・・・・はい?

 

「へ、へぇ〜・・・そうなんだ・・・ははははは。」←渇いた笑い

 

「うふふふふ。」

 

YABAIよ・・・この子・・・。

ちょっと・・・いや、かなりイタイ子だぞ・・・。

ひょっとして・・・関っちゃダメです系の人かな・・・?(滝汗)

 

「あ・・・あのさ。とりあえずそこにいたら危ないよ?」

 

「うん。そうだね。そろそろ先生にバレちゃうし。」

 

髪を掻き揚げた後、一瞬ふらりと動いたかと思うと、

とーん

まるで風船が跳ねるような、ゆったりとした動作で

フェンスを乗り越え、こちら側に降り立った。

ぽかーん

非日常的、かつ美的感動さえ覚える光景に思わず見惚れてしまっていた。

 

「あなた・・・見かけない人ね?」

 

ッ!!

 

いつの間にか女の子が俺の目の前までやって来ていて、俺の顔を覗き込んでいた。

 

「わ、わわっ!!・・・・あっ!お、俺は2年B組の長瀬裕介と・・・

 

「2年B組・・・?あれ・・・?ワタシと同じクラス・・・・。」

 

「ッ!あ・・・あぁ・・・今日転校してきたばかりで・・・・って・・・えっ?

 

あれ?俺、今朝のホームルームでちゃんと紹介されたよな・・・!?

 

「あ・・・そうなんだ・・・。ワタシ、今日は午前中来てなくて。」

 

はにかむように笑う女の子・・・クッ・・・か、かわいい・・・。

 

「そうか・・・じゃあ俺の事知らないのも無理ないね・・・。」

 

「ごめんなさいね。ワタシは月島瑠璃子。よろしくね、長瀬ちゃん。」

 

「な、長瀬ちゃん!?」

 

「・・・・・長瀬ちゃんって呼んじゃダメ?」

 

上目遣いで月島さんが見つめてくる・・・。

 

「え・・!?あ・・・そういう訳じゃ・・・!」

 

「しょぼ〜ん。」

 

「ああああ、そうだね!いいよ、長瀬ちゃんでも、長瀬ちんでも何でもいいよ♪」

 

「じゃあ長瀬ちゃんって呼ぶね♪」

 

にっこり微笑む月島さん。う〜ん、本当に日本人なのかな?この子・・・・。

 

「・・・えへへ。」

 

「ど、どうしたの月島さん?」

 

「嬉しいの、長瀬ちゃん。ワタシって浮いてるみたいだから、あまり友達がいないの。」

 

・・・・・・げっ!?

ま、まじすか・・・・。やっぱり、あBない子だったのかな!? (汗)

 

「嘘だろ?だって月島さんって美人だから、そんな筈ないよ。」

 

・・・柄にもなく何言ってんだろ・・・俺・・・。

 

「っ!!」 カ〜

 

急に月島さんの顔が真っ赤になった。

 

「も、もう・・・長瀬ちゃん御世辞が上手いよぅ。」

 

「い、いや・・・御世辞じゃなくて・・・

 

「長瀬ちゃんこそ、いい電波持ってるよ。

 

「いや・・・・そんな事・・・って、はぁっ!?

 

いい顔⇒男前

いい電波⇒意味不明

お・・・俺はラジオなのか・・・!?(滝汗)

理解不能・・・理解不能・・・・。

俺は、少なからず自分に自信はあった。

『イミダス』なんかに掲載されてる用語はほぼ全て理解しているし、

学校ではウルトラクイズに出場したと言って偉そうにしていたヤツに圧勝した事もある。

正直、学問では俺に勝てる高校生はまずいないって思ってた・・・・。

だけど、それは俺の思い上がりだったのだろうか・・・?

事実・・・目の前の少女の言ってる事が全く理解出来ない!!

 

「あ、あのさ・・・月島さん・・・で、電波って・・・何?」

 

「?電波ってのは、空中に漂っているよ。」

 

「そうかもしれないけど・・・俺がいい電波持ってるって言ったでしょ?」

 

「あ・・・長瀬ちゃんはまだまだ練習が必要だよ?」

 

あぁっも〜!!!意味が分かんねーよっ!!

 

「れ、練習が必要・・・そ、そっか・・・ざ、残念・・・・。」

 

残念って・・・・なにが?(汗)

取り合えず無茶苦茶な会話に無理矢理つじつまを合わせようとしている

自分自身に情けなくて涙が出そうだった。

 

「う〜ん・・・月島さん。正直言って、いまいち電波ってのが分からないんだ。」

 

正直に言おう・・・それが一番良さそうだ・・・・。

すると月島さんは首をかしげて、暫らくすると

ポンと手を打って、突然俺の手をとった。

 

「わゎ!?な、何?」

 

「電波を感じてもらおうかな・・・って。」

 

フニッ

 

そう言って月島さんは俺の手を自分の胸に押し当てた。

・・・ッ!!目撃ドキュソッ!!

 

うわっ・・・まじかよ・・・女の子の胸触っちまってるよ!

お、落ち着け・・・落ち着けよ・・・俺よ!

ちりちりちりちり

・・・・そうそう。深く深呼吸して・・・

ガー・・・・ズズ・・・・

ほ、ほら聞こえてきただろ♪

・・・・って!!何がっ!?

 

『さぁ今週のヒットチャートを大きく塗り替えてしまった期待のアーティストの登場だぁ。

 出身地はなんと、あのウバシャ共和国ときたもんだっ。

 この南国からの来訪者がブレイクしない訳にはいかないねっ♪

 ではいってみよう!今週オリコンNo1

 明智光秀With三日天下バンド『ファイアー火の玉本能寺』ぃ〜。アフゥ〜♪』

♪♪♪

『ふぁいやー火の玉本能寺ィィィーー!!♪ふぁいやー火の玉本能寺ィィィーー!!♪・・・・・

 

!?

 

「な、なななななっ!?は、はぁ!?」

 

「長瀬ちゃん、電波届いた?」

 

にっこり微笑む月島さん。

一方、完全にパニックに陥った俺。

 

「な、なんでっ!?なんで頭の中でラジオがっ!?しかもFMだしっ!!」

 

「とりあえず、一番拾い易い電波がそれだったの♪」

 

もう嫌だ・・・!何なんだこの子はっ!

あまりにも危険すぎる・・・俺にとって危険すぎる・・・・。

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ンド〜クデ〜ンパ〜♪

・・・ッ!昼休み終了5分前の予鈴がなった・・・。

 

「あ、もうお昼休みが終わっちゃうね・・・・。」

 

月島さんが少し寂しそうに呟いた。

 

「そろそろ教室に戻らないとダメだね。は、はははは・・・・。」

 

「うん。そうだね。」

 

俺の手を離した月島さんはスッと扉の前に立つと

こちらに振り向き、目を細めながら

 

「長瀬ちゃんとなら、電波を共有出来そうだよ。」

 

と、俺に言って階段を降りていってしまった・・・・・。

ひゅ〜〜〜〜〜〜〜

かさかさ・・・・←誰かの捨てたちり紙

ガクッ

俺は地面に膝をついてしまった・・・。

 

「か、完敗だ・・・・。結局・・・何一つ理解出来なかった・・・!!」

 

しかも・・・

昼食をまだ食べていない事に今気が付いたよ。(号泣)




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