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特級ッ!難解電哲 【ラピードα】

FM005 月島さんと俺と包帯女

 


「・・・・おっと。」

 

屋上で呆けていた俺は漸く我に帰った。

あぁ・・・午後の授業が始まってしまうな・・・。

なんかどうでもよくなってきた・・・・。

月島さんの言った事を反芻しながら、ふらふらと歩いていたら

何時の間にか自分の教室の前に戻ってきてしまっていたので、思わず失笑した。

 

「はっ、何だかんだ言って結局戻っちまったか。」

 

仕方なく教室に入り、自分の席に戻ろうとすると

ふと視線に気付いた。

・・・・・。(汗)

沙織ちゃんが俺をジト目で見ている。

 

「う〜〜〜〜。」

 

・・・・・しまった。すっかり忘れていた・・・。(汗)

 

「ご・・・ごめんっ!沙織ちゃん!その・・・

 

「もう!ひどいよぉ裕くん〜。結局一人で御飯食べちゃったんだからぁ〜!」

 

ぷんすかぷんすか

沙織ちゃんはぷりぷり怒っている。

あちゃ〜・・・俺とした事が!

 

「あぁ〜、そ、そのぉ何て言うか、大事な転校手続の書類とかを

 提出するの忘れててさっ!色々してたら・・・そのぉ〜・・・・」

 

ぐぅぅ〜♪

その瞬間、俺のお腹が大きな音を立てた。

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・あ。」

 

「・・・・・ぷっ!・・・あははははっ!!」

 

さっきまで不機嫌そうだった沙織ちゃんが急にケラケラ笑い出した。

 

「あぁ、昼メシ食べてなかったからなぁ〜・・・。」

 

「アハハ!おっかしぃ〜!もう、しょうがないなぁ〜。はい。」

 

沙織ちゃんがスッと袋を差し出してきた。

 

「・・・・?」

 

「さっきの裕くんの分のパンだよ。今からならまだ1つくらいは食べれるよ?」

 

そういってにっこりと微笑む。

 

「あ・・・ありがと。」

 

照れくさいのでぶっきらぼうにそれを受け取ると席についた。

ザワザワザワ

ガラガラ・・・・

・・・・クソッ!来るのが少し早いんじゃないのか!?

教室前方の扉が開いたので、俺はてっきり教師かと思っていたが

入ってきたのはミステリアスな美少女。

 

『・・・ッ!?』

 

『・・・・あっ!!』

 

あれ?月島さん・・・俺より先に戻ったんじゃ・・・?

 

し〜〜〜ん

 

突如教室が静まり返る。

・・・・・・?

どうしてみんなそんなに驚いた顔をしてるんだ?

月島さんは、無言のまま教室真中の一番後ろの席に向かう・・・。

ヒソヒソヒソ・・・・

途中である女の子が声をかけた。

 

『つ、月島さん。・・・久しぶり。もう体の方はいいの?』

 

「・・・・・うん。」

 

たわいのないやりとりだが、妙に重い雰囲気・・・。

多分月島さんのだと思われる席の周囲の生徒は、みんな青ざめている。(汗)

何なんだ!?この反応は・・・!?

自分の席に着き、椅子を引いた直後、

月島さんはハッと何かを思い出したように、周囲を見回した。

月島さんの目線の方向とリンクして、みなが視線を伏せる。

甲子園とかの観客のアーチみたいな動きなので、微妙に笑える。

そして・・・窓際の俺と目が合った。

月島さんは目をパチクリした後、にっこり微笑み

 

「長瀬ちゃん。見つけた♪」

 

「・・・やぁ、月島さん。」

 

『ッ!!』

 

『エッ!?』

 

ザワザワザワザワッ!

 

教室がざわめき立つ。

 

「ゆ、裕くん・・・月島さんと知り合いなの?」

 

沙織ちゃんが驚いている。

 

「えっ!?あ・・・あぁ!ま、まぁちょっと何度か顔を会わせて・・・・・

 

「・・・・凄い偶然・・・月島さんも半年ぶりに学校に来たんだよぉ。」

 

「・・・そうなんだ?何か病気でも・・・

 

ガララッ!

 

再度扉が開き、なんと午前の授業をボイコットした太田&藍原コンビが帰ってきた。

2人はすぐに教室の異変に気付き、こちらを見やった。

 

「あら・・・?これは驚いたわ。」

 

「ッ!!・・・部長ッ!」

 

メガネをかけた藍原という女の子が月島さんに駆け寄る。

太田さんはゆっくりと近寄る。

 

「瑞穂ちゃん。香奈子ちゃん。ただいま。」 にっこり

 

「もう体は大丈夫ですか?無理して来てるんなら承知しませんよ!」

 

「大丈夫よ、瑞穂。殺しても死なないような子なんだし。」

 

「香奈子ちゃん、相変わらずだね。」

 

「ふふふ・・・・やっと学校も面白くなってきたわ。」

 

「部長・・・聞いて下さい。生徒会長が・・・

 

「瑞穂、今はその話は控えましょう。」

 

「で、でも香奈子ちゃん・・・!」

 

「放課後にゆっくり話せばいいわ・・・ふふふ。それより瑠璃子。

 実は、面白い逸材が転校してきたの。」

 

ビシィッ!

そういって、包帯女は俺を指差す・・・・。

 

「は?・・・・なんで俺がそこで出てくる・・・!?」 (汗)

 

「ふふふ・・・長瀬裕介よ・・・名前くらい聞いた事あるでしょ?」

 

人をフルネームで呼び捨てて、瑠璃子さんに紹介する失礼な太田さん。

 

「うん。知ってるよ。長瀬ちゃん、さっき話したもん♪」

 

にこにこしながら返答する瑠璃子さん。

 

「あら・・・それだったら話が早いわ。だったらさっそく今日・・・

 

「私は反対ですっ!!」

 

突然、藍原という子が強い口調で反対した。

 

「瑞穂・・・どうしたの急に?」

 

「わ、私は反対です。他に探しましょう?ね?」

 

「・・・ふぅ・・・・あのね瑞穂、貴方だって良く分かってるでしょ?今の現状を。」

 

「そ、それは・・・そうだけど・・・で、でも香奈子ちゃ

 

「わあい♪香奈子ちゃん、ワタシは賛成だよ。」

 

「あ・・・あう〜・・・。」

 

3人で何やら勝手に盛り上がってるけど、何の事やら。

その直後、英語の教師がやって来たので、授業が始まった。

・・・・結局・・・パン食ってねぇし・・・。

 

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ンホ〜カゴ〜レン〜アイ〜クラ〜ブ〜♪

 

ぐぅぅ・・・・。

 

「ハ・・・ハラが減った・・・・・。」

 

俺は机につっぷしていた。

なんだかんだやってて放課後まで何も食えなかった。

もう帰ろう・・・・でも・・・今日の夕食って果たしてあるのか・・・?

 

「裕くん、大丈夫?」

 

沙織ちゃんが覗き込んできた。

 

「は・・ははは・・・ちょっと燃料が切れたみたいだ・・・・。」

 

「今からでも遅くないから、お昼のパン食べたら?」

 

「あぁ・・・そうする。」

 

ゴソゴソとパンを取り出し、食べようとした矢先、

 

「長瀬裕介クン。ちょっといいかしら?」

 

目の前に突如包帯女が現れた。

 

「お、おわっ!!な、何だよ・・・?また質問かい?」

 

「・・・あなた、スポーツは好き?」

 

「?偉く今回は普通の質問だね。別に、好きでも嫌いでもない。」

 

「じゃあ、クラブとかに興味あるかしら?」

 

「クラブ・・・?それって、放課後とかにやるアレかい?」

 

「ええ。」

 

「興味ないね。必要以上は学校に束縛されたくないんだ。」

 

「そう・・・分かったわ。有難う。・・・・ふふふ。」

 

気味の悪い笑みを浮かべて、包帯女は去っていった。

 

「ったく、何なんだ?あの子は・・・。」 もぐもぐ

 

「・・・・・・・。」

 

「ん?どうしたの沙織ちゃん?」

 

「えっ!?あ・・・にゃはは。ちょっと気になる事があったから・・・。」

 

「あっ!!そうそうっ!!思い出した。聞きたい事があったんだけど。」

 

「なになに?」

 

「さっき、藍原さん・・・だったっけ、その子が月島さんの事、

 部長って言ってなかったっけ?」 

 

「うん・・・。そうだよ。月島さんと藍原さんは同じクラブだから。」

 

「ふ〜ん、そっか。じゃ月島さんってその部の部長って事か・・・。」

 

じ〜〜〜

 

「・・・・な、何?」

 

「裕くん、月島さんの事が気になるの?」

 

「えっ!?い、いや・・・そう言う訳では・・・。」

 

「・・・・・月島さんはやめた方がいいよ・・・・・。」 ぼそっ

 

「え・・・何だって?」

 

「ッ!な、なんでもないよ・・・あ、それより良かったら一緒に帰らない?

 私、特にクラブにも入ってないし、友達は今日みんなクラブがあるから・・・。」

 

「あぁ・・・いいよ。じゃぁ用意するよ。」

 

「うん♪」

 

・・・・・・結局、月島さんの情報を聞きそびれてしまったな・・・。

あれ・・・?考えたら・・・俺、女の子と下校するのって初めてだったような・・・。(汗)

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