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特級ッ!難解電哲 【ラピードα】

FM010 南海高校哲学部


PiPiPiーーーーッ

 

『朝だぞぉ〜?虎羅

 起きなさぁ〜い♪虎羅。』

 

「・・・・・。」

 

朝を迎えた・・・・。

なんの変哲もない、普段どおりの朝・・・・。

ただ・・・・窓のすぐ向こう側で警察がなにやら現場検証をしてるのが気になるけど・・・。

 

PiPiPi−−−−ッ

 

虎羅?起きたか?あ?

 

『いい加減に起きないと、ちーちゃん怒っちゃうぞぉ〜?』

 

ポチッ

目覚ましを切って、ゆっくりと布団から出る。

ところで・・・この目覚まし時計の『ちーちゃん』って何のキャラなんだろう? (汗)

・・・町外れの団地・・・新しい住まい。

低めの天井に薄汚れた壁・・・せまい部屋・・・。

日当たりが悪く、朝なのに薄暗い。

かろうじて台所と言える空間に向かい、敷居の襖を開けると

母さんが朝食の用意をしてくれていた。

 

「・・・あら・・・裕介、今日は早いわね。」

 

「あ・・・・うん。おはよう・・・。」

 

俺は味気ない食パンをかじりながら、ふと昨日の出来事を思い出していた。

 

―14時間前―

し〜〜ん

 

「う〜ん。そう言えば何もしてないねぇ〜♪」

 

月島さんがニコニコしながら能天気にそんな台詞を言う。

思わずそれを聞いて、目がテンになってしまった。

 

「お・・・おほんっ!」

 

太田さんが咳払いをして

 

「お・・おほほほ。瑠璃子・・・すこぉ〜し、黙ってなさいね?」

 

そう言うと、俺の方に向き直り、

 

「何もしていないって言うのは、語弊だわ。誤解しないで頂戴ね?」

 

「・・・・語弊って言うか・・・まさにそのままじゃぁ?

 

「哲学よ!」

 

「・・・はい?」

 

「哲学部なんだから、哲学の研究に決まってるじゃない。貴方、おかしな事を聞くわね。」

 

「そ、そりゃ普通はそうだろうけど・・・

 

そこでまた月島さんが口を挟む。

 

「えぇ〜。香奈子ちゃん。私、哲学なんてしてないよぉ〜?」

 

「瑠璃子ッ!」

 

太田さんの怒声が響き渡る。

 

「・・・・・・しょぼ〜〜〜ん。」

 

「あ・・・あのなぁ・・・・。」 (汗)

 

「と、とにかく!貴方、哲学部に入りなさい!」

 

「はぁ!?全然納得いく説明を受けてないのにいきなり入れるかよっ!!」

 

「チィッ!説明説明って・・・細かい事言う男ね・・・!」

 

「太田さん・・・君の言ってる事って無茶苦茶なんだけど・・・。」

 

「あら?これだけ私に話させといて、まだ説明不足って言う訳?」

 

「当たり前だろ。最低でも、先程の3つの原因。君達の活動内容。俺を誘う理由。

 これだけは説明してくれないと話にならないな。

 俺だって暇じゃない。お遊びクラブに付き合ってなんかられないね!」

 

「な、なんですって!?」

 

ちりっ

 

!?

 

「つッ!!」

 

な・・・・・なんだ!?今の頭痛は・・・?

改めて周囲を見回すと、包帯女は面白くなさそうにこちらを冷たく見つめている。

藍原さんは俺達のやりとりに興味が無いのか?黙々と何かの帳簿をつけている。

沙織ちゃんは・・・・いつの間にか『ぶぁき』って漫画を読んでいるよ・・・。 (汗)

・・・・あ・・・。

月島さんが俺を見つめている・・・。

 

!?

 

な・・・なんだよ・・・?

なんでそんな目で俺を見つめてくるんだよ?

凄く悲しそうな・・・寂しそうな目で俺を見つめてくる・・・。

 

『や・・・止めろよ!何か、俺が悪いみたいじゃないか!!』

 

月島さんの視線に耐え切れず、思わず目を背けてしまっていた。

 

「・・・ふぅ・・・分かったわ。」

 

突如太田さんが口を開いた。

 

「確かに、私も少し焦ってたみたいね。・・・・いいわ。もう少し詳しく話してあげる。」

 

「・・・・・ああ。」

 

「正直言うと、私達の活動自体は哲学と関係ないわ。」

 

・・・・やっぱり・・・。

 

「私達はお互いある目的の為に集まってるの。」

 

「ある目的?」

 

「そして、その為に哲学部と言う蓑を着て、活動してるの。」

 

「ちょ、ちょっと・・・・『ある目的』って何だよ・・・

 

「今は言えないわ。」

 

「・・・・・・。」

 

「兎に角、私達の活動は飽く迄地下活動的要素が多分にあるわ。」

 

「・・・・ようするに君達はテロリストか何かかい?」

 

「茶化さないで。私は真剣に言ってるの。

 あと、クラブ紹介に掲載されない原因よね?」

 

「ああ。確か・・・3つあるとかないとか。」

 

「そりゃそうよ。だって、もう何年も前に廃部になってるんですもの。」

 

「はぁ!?」

 

「つまり、正確に言うと正式な部ではなくて、同好会みたいなものなの。これが1つめの原因。」

 

「・・・・そ、そうか・・・。だ、だけど、同好会でも掲載されてるところがあったんだけど・・・・」

 

「それが2つめの原因。この学園の権力者達が私達を潰そうとしてるからよ。」

 

「権力者・・・?」

 

「・・・・・・・・そう。権力者達よ・・・・。もともと『部活紹介』は同好会でも申請すれば掲載されるのよ。」

 

「誰だよ、それって?」

 

「・・・・・生徒会よ。」

 

ピクッ

 

!?

 

心なしか、沙織ちゃんの肩が一瞬震えたように見えたが・・・。

 

「生徒会・・・・だって?」

 

「えぇ。生徒会。」

 

「・・・・一体・・・君達何したの?」

 

「そして最後の理由。」

 

「・・・無視かい。」

 

「このクラブの部員が学内きっての問題児ばかりって事かしら。」

 

「・・・・・。」

 

太田さんはくすくす笑いながら、俺に近寄り、

肩をポンと叩く。

 

「そして・・・・最後。貴方を勧誘した訳よね?」

 

「あ・・・ああ。」

 

「貴方に並々ならぬものを感じたのよ。」

 

「そ・・・それって、俺もこの学校にとって君達よろしく問題児だと・・・

 

「うふふふふ・・・喜ばしい事よ。それって。

 特別だって誉めてるんだから・・・。」

 

「は、はははは・・・ありがた迷惑だけどな。

 

「うふふふ・・・これで満足かしら?貴方の質問には答えたわよ。」

 

「香奈子ちゃん。」

 

!?

 

突然、今まで黙っていた月島さんが口を開いた。

 

「な、何かしら?瑠璃子。」

 

「ダメだよ。・・・・まだ長瀬ちゃんに話してないよ。」

 

「・・・?どういう事だい?月島さん。」

 

「・・・・・香奈子ちゃん。」

 

太田さんは溜息をついて観念したような仕草をすると

 

「瑠璃子の言うとおりよ。それだけじゃないの。」

 

「・・・・?」

 

「今、このクラブは窮地に立たされているの。」

 

「窮地?」

 

「生徒会が本気で私達を潰しにかかってきたの。

 学園に圧力をかけて、部活規定を塗り替えたのよ。」

 

「どういう事だ?」

 

「本来、部にしても同好会にしても、部員が5人以上在籍していないと、部活として認定されないの。

 だけど、哲学部はそれまでの歴史が長かった為、今まで特例で認められていたのを

 規定改正で、その特例が廃止されてしまったという訳よ。」

 

「・・・・ッ!なるほど・・・。」

 

「その通り。現在部員が3名しかいない哲学部は、今週末で廃部になるの。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「私達は今週中にあと2人部員を増やさないと、御終いって訳。」

 

「・・・・・それで、俺って事か。」

 

そこまで話した後、太田さんは急に真剣な面持ちで

 

「長瀬裕介くん・・・・。

 御願い。是非、哲学部へ入部して頂戴。

 貴方しかいないの。哲学部を救えるのは!

 入部して。って言うか、しろ。

 

・・・・なんか困った事になったなぁ・・・・。

俺はいまいち釈然としない状況に戸惑っていると・・・・

 

「・・・・勝手よ。」

 

突如、先程まで漫画を読んでいた沙織ちゃんが

少し怖い顔つきでゆらりと立ち上がっていた。

 

「太田さん。貴方、勝手過ぎるよ!

 自分達の立場が危ないから、裕くんを利用しようとしてるとしか思えないよっ!」

 

「さ・・・沙織ちゃん!?」

 

「・・・・・そう思われても仕方がないわね。

 ・・・・だけど、私達も一生懸命なの。

 ヘラヘラと惰性で高校生活を過ごしている貴方にどうこう言われる筋合いはないわ。」

 

「ッ!だ、惰性って・・・そんな言い方ないんじゃないのっ!?」

 

「ちょ、ちょっと、2人とも・・・・!」

 

「そうじゃない?貴方に理想や目標はあって?

 友人と刹那的な会話を楽しみ、何も考えず学生生活を過ごしてなくって?」

 

「あ、あなたなんかに言われたくないよぉ!」

 

「い、いい加減に・・・

 

「いい加減にして下さい・・・・!」

 

なんと俺が2人を制止しようとした寸前に

今まで沈黙を保ってきた藍原さんが厳しい口調で場を制した。

 

「・・・・あ、藍原さん?」

 

「瑞穂・・・。」

 

「香奈子ちゃん・・・・長瀬君を勧誘するのはもう止めましょう。」

 

「・・・!?貴方何を言ってるの?」

 

そんな人を誘っても、何も変わりません。むしろ、私はその人の入部は反対です。」

 

「瑞穂・・・・理解して言ってるのかしら?

 彼が入部しないと、ますます廃部の可能性が増えるのよ?」

 

「それは分かってます。・・・・だけど・・・これ以上の勧誘は無意味です。」

 

「・・・・・・・そうね・・・分かったわ。瑞穂。」

 

・・・今日はもう帰ったほうがよさそうだな。

俺は何となくそんな気分になると、ふと沙織ちゃんが俺の袖をひっぱり

 

「裕くん。もう帰ろ?ね?」

 

「あ・・・あぁ、そうだね。」

 

俺は鞄を持つと、哲学部員に向かい

 

「今日は、もう帰るよ。入部の件は・・・・考えとくよ・・・。」

 

「そう・・・いい返事を期待しているわ。」

 

「貴方なんか来なくてもいいです。」 じろり

 

「・・・・・・長瀬ちゃん・・・・・・。」

 

ガラララ・・・・

ピシャ

・・・・・・・・・。

下校中、沙織ちゃんはぷりぷり怒っていた。

 

「あぁ〜!もう〜!ムカツクー!私だって色々考えて生きてるのにぃ〜!

 なんか自分だけが特別みたいな言い方してるしぃ〜!!」 ぷんすかぷんすか

 

「ま・・・まぁまぁ・・・あ、沙織ちゃんアイスクリーム食べていかない?」

 

などと言って、何故か俺が御機嫌を伺うハメになってしまった。

結局、『31愛・SCREAM』というお店でアイスを食べると

沙織ちゃんは機嫌が治り、いつもの調子で話出した。・・・・ははは。

・・・・・・・。

その後、沙織ちゃんと別れていつもの道を歩いていると・・・

ちりちり・・・・。

 

!?

 

まただっ!またさっきの頭痛が襲ってきた!

 

「チッ!なんだってんだよ!?これはぁ・・・。」

 

『・・・ャン・・・ケテ・・・・。』

 

ザ・ザー

 

「!?」

 

『・・・ナガセチャン・・・・ワタシタチヲタスケテ・・・・!』

 

ジージー

 

「つ、月島さんっ!?」

 

突然月島さんの声が・・・・声なのだろうか?

よく分からないけど・・・・頭の中で月島さんの声が響いたような気がした・・・・。

 

「・・・・なんだってんだよ・・・・一体・・・・。」

 

南海高校に転入してから、どうにも調子がおかしいみたいだ・・・。

自分自身ではなんとも思っていないが・・・・

ひょっとして・・・精神的に疲れているんだろうか・・・・?

・・・・・・・・・・・。

 

『・・・・すけ?』

 

「裕介ッ!?」

 

・・・・・・・・ッ!?

しまった・・・・。

何時の間にかパンを片手に回想に呆けていたみたいだ・・・。

 

「どうしたの?いい加減に食べてしまわないと、そろそろ学校に行く時間じゃないの?」

 

「あ・・・ご、ごめん。ちょっと考え事してて・・・もう行くよ。」

 

・・・・・・・・・・・・。

バタバタ・・・・・バタン。

・・・・・・・・・。

やれやれ・・・どうしたんだろう?

気が付けば、昨日から月島さんや哲学部の事ばかり考えてしまっている自分がいる・・・・。

・・・・哲学部・・・・・か・・・・・。

・・・・・月島・・・瑠璃子・・・・・・・。

ツカツカツカ・・・・・。

(ちりちりちりちりちり・・・・・・・)


See you on the other side