特級ッ!難解電哲 【ラピードα】

FM018 愛と幻想のファシズム

 

 

「か、かなこしゃん・・・。

 め、珍しいねぇ・・・チミが学校にいるの・・・・。」

 

先程まで見事なキティちゃんっぷりだった月島兄は

ガタガタと震え、恐れおののきながら太田さんを見上げていた。

 

「ふん。貴方こそ、滅多に学校に来ないクセに、どういう風の吹き回しかしら?」

 

ズイッ

太田さんそう吐き捨てた後、月島兄に近寄り、

グイィーッ

襟首を掴まえると物凄い力で引っ張り上げた!

 

「ひ、ひぃぃ〜!!ぐ、グエッ!?」

 

・・・・彼女は本当に女の子なんだろうか・・・?(汗)

恐怖に顔を引きつらせる月島兄を見て、まぁ・・・少し気分が良かった。

それにしても、太田さんの様子が明らかに変だ。

いつもの落ち着いた?物腰からは想像も出来ない、

ドス黒いオーラが取り巻いているんだが・・・。

 

「や、やめちくりー!ぼ、暴力は良くないなぁ〜香奈子!」

 

「おだまりッ!!よくもいけしゃあしゃあと好き放題言ってくれたわね!

 この部も、瑠璃子も絶対貴方なんかに渡さないわヨッ!

 この・・・・・・

 

 ド変態野郎がぁぁーーーッ!!」

 

バキャァッ

 

・・・・うわっ!

エグイッ!そのまま首を締め上げながら捻りの効いた

コークスクリューパンチを月島兄の眉間に叩きこむッ!

 

「へぶんがっ!?」

 

奇怪な悲鳴をあげながら、再び本棚に向かって吹っ飛ぶ月島兄。

 

ゴバァァーーー!

 

『あわわわ・・・か、会長が・・・・。』

 

『うわ・・・キツイな・・・。』

 

「ちょっ、ちょっと太田さん・・・いきなりどうしたんだよ!?」

 

「貴方は・・・黙ってて。・・・あのカスはこの程度で死ぬようなタマじゃないの。」

 

突然のバイオレンスな展開に俺は内心穏やかでなくなっていた。すると・・・

 

クイッ

 

誰かが俺の袖を引っ張った。

引っ張ったのは藍原さんだった。

 

「あ、藍原さん・・・いいのか?なんだか。太田さんが豹変してるんだけど。」

 

「いいんです。香奈子ちゃんはあの人を前にするとキレちゃうんです。

 ・・・・ま、当然の報いですけど・・・・。」

 

「当然の・・・・報い・・・?・・・・・あ、あのさ、一体あの二人ってどういう関係なんだい!?」

 

「そ・・・それは・・・その・・・・。」

 

藍原さんは急に口を紡ぐとゴニョゴニョと聞き取りづらい声で

 

「その・・・なんて言いますか・・・・拓也さんと・・・・香奈子ちゃんは・・・・その・・・。」

 

ブワァササ〜〜!!

 

!?

・・・驚いた・・・あの強烈な太田パンチを喰らってまだ立てたのか。

月島兄が再び本にまみれてユラリと立ち上がって来た。

 

「よ・・・よくも・・・よくも僕のこの美しい顔に・・・・・!

 か・・・香奈子ぉぉ〜〜!!!」

 

「あらあら・・・・もっと格好良くしてあげたつもりなんだけど?」

 

「父さんにだって殴られた事ないのにぃぃーーー!!」

 

「しこたま私が殴ってるじゃない・・・・バーカ。」

 

「ゆ、許さんZOO−−−−−ッ!!!」

 

ぢりぢりぢりぢり

 

!?

 

うぁぁっ!!

痛えッ!!

さっきのあの強烈な頭痛が再び俺を襲いかかった。

 

『ぐわっ!!』

 

『きゃあぁッ!!』

 

「痛いッ!祐くん・・・痛いよッ!!」

 

「ッ!!さ、沙織ちゃん!?」

 

驚いた事に、今度は部室にいる全員が俺と同様の頭痛を感じているみたいだ!

 

「ッ!?お兄ちゃん!やめてよ!!みんな痛がってるよ!!」

 

月島さんが叫ぶ。

・・・・一体・・・・何なんだよ・・・・これは・・・・。

とうとう意識が朦朧となってきた時、

俺の視界に力強く仁王立ちする女性の姿が・・・・・。

それは・・・・・やはり太田さん。

 

「小賢しいッ!!」

 

バキャッ!!

 

今度は凶悪な右ストレートを月島兄の顎にぶち込む。

 

「ほぎゃぁぁーーーースッ!!」

 

バッグォォーーーンッ!!

 

3度ぶっ飛ぶ月島兄。

今度は部室の扉を突き破って、なおかつ廊下の硝子もブチ割って

中庭にダイヴ・トゥ・ブルー・・・。

 

毒電波は私には通用しないって、言ってるでしょうがッ!!」

 

・・・・・ッつ・・・・!

何時の間にか先程の頭痛は消え、荒かった動悸も元に戻っていた。

今の太田さんの・・・・言葉・・・・。

た、確か・・・・ど・・・毒電波・・・・・って・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・。

 

毒電波ぁ!?(汗)








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