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特級ッ!難解電哲 【ラピードα】

FM032 彼女が包帯を巻いた訳 −その6ー

 

カァー・・・カァー

夕日が校庭を真っ赤に染め上げる。

俺達一同は哲学部の部室に集まっていた。

 

「あつつ・・・ちょ、ちょっと新城さん!もう少しソフトにして頂けないかしら!」

 

「ちょ、太田さん、大人しくしてよぉ〜!」

 

「イタッ!あ、貴女本当に怪我の手当てなんてした事あるのかしら!?」

 

「もう、結構怪我の治療とかした事あるんだから黙ってて!」

 

「ッ!!だ、だから痛いって言ってるでしょう!!」

 

「なによ〜!少しは我慢しなさいよ〜!」

 

太田さんが手や足に怪我をしてしまったので、保健室から勝手に薬箱等を

拝借して沙織ちゃんが手当てをしてあげていた。

 

「これでよしと♪」

 

「新城さん、貴女・・・看護婦には向かないわね。」

 

「一言多いのよ!あなたは!!」

 

「クスクス。」

 

「ははは。」

 

俺はそんな微笑ましい?光景を見ながら・・・ふと物思いにふけていた。

 

(・・・・2人の月島拓也・・・・・。

 ・・・・・計画の進行・・・・。

 ・・・・あいつの毒電波も強力になってきている・・・・。)

 

「裕くん?」

 

「ん?」

 

「何考え込んでるの〜?」

 

「い、いや・・・・ちょっと・・・ね。

 ・・・・あ!そういえば、今日も上手いタイミングで助けてもらって しまったんだけど

 ・・・どうして俺達の居場所が・・・・・・・・

 ・・・・・て、ど〜せ太田さんか。

 

てっきりまた俺の知らないところで対策でも講じていたんだろうなと

思い込んでいたが、

 

「あら、私は今日の事は瑠璃子にも伝えてなかったわよ。」

 

「えっ!?」

 

意外な返答が帰ってきた。

 

「じゃ、じゃあなんで・・・?」

 

「・・・共鳴。」

 


 

「ワタシ・・・お兄ちゃんの居る位置が・・・大体分かるの。」

 

「わ、分かるって・・・やっぱり・・・電波で?」

 

「うん・・・。建物とかに居る時は無理だけど・・・・。

 例えば・・・・ひらけた場所とか・・・・。」

 

すげぇ・・・・人間GPS・・・。 (汗)

 

「それで・・・今のお兄ちゃんでは明らかに来るはずもないところに居たから・・・・。」

 

・・・・・・両親の墓か・・・。

 

「絶対・・・何かあると思って。」

 

「そうか。なるほどね・・・・で、でも沙織ちゃんの居場所はどうして分かったの!?」

 

「そうそう!それ!私も気になってたんだぁ!」

 

沙織ちゃんも大きめの声で身を乗り出した。

 

「ママさんバレーの帰りしなに突然私の目の前に

 『裕くん達が大変!』って言いながら月島さんが現われたから、

 私びっくりしてアイスクリーム落としちゃったよぉ。」

 

沙織ちゃんが苦笑しながらそう語る。

 

「そ、それは・・・・新城さんの・・・・の・・・・

 

急に瑠璃子さんはもじもじしながら口篭もり始めた。

 

「え?私の・・・・なに?」

 

「沙織ちゃんの・・・??」

 

「・・・・・・携帯電話の電波を記憶してたから・・・・。」 ぽっ

 

し〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

 

「・・・長瀬くん、貴方、今ひいたでしょ?」

 

太田さんが悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言った。

 

「えッ!?」

 

「ア、アハハハ・・・・。」

 

「・・・・しょぼ〜ん。」

 

「ちょ!お、太田さん!何言ってんだよ!?」 (汗)

 

「あら、図星かしら?」

 

「そ、そんな事ないさッ!ちょ、ちょっと変った特技が・・・・

 

「・・・・やっぱりワタシ・・・変った子なんだ・・・・。」

 

「げっ!」


「・・・・・しょぼ〜ん・・・・。」

 

・・・・・それからは大変だった。

俺は下手糞な笑顔で媚びながら瑠璃子さんの御機嫌をとろうと必死になり、

何故か沙織ちゃんは後ろから

 

「アターーークッ♪」

 

と言いながらバッグに残っていたママさんバレーボールを

俺に当ててくる・・・・。(??)

な、なに?俺って・・・・こういうキャラ?(涙)

 

カァーー、カァーーー・・・・

「じゃ、また明日学校で・・・・。」

 

「あ、裕くん一緒に「長瀬ちゃん、途中まで帰ろう♪」・・・むぅ!」

 

「長瀬くん、途中までちょっと私に付き合ってくれないかしら?」

 

「またかよ、太田さん!?」

 

「帰り道の途中まででいいの。」

 

「しょうがないな・・・わかったよ。

 じゃ、沙織ちゃん、瑠璃子さん。また明日!」

 

「あぅ・・・「・・・しょぼ〜ん。」・・・。」

 

「沙織ちゃん?・・・瑠璃子さん?」

 

「ぷい!「・・・しょんぼり。」

 

「・・・・?どうしたんだろう?2人とも・・・?」

 

「・・・長瀬くん、貴方本気で言ってるの?」

 

「・・・は?」

 

「・・・・あきれた・・・クスッ。」

 

「な、なんだよ?」

 

「別に・・・勉強のし過ぎは体に毒ねって事よ。」

 

「な、なんかひっかかる言い方だな・・・・。」

 

もう日も暮れかけ、俺達は解散する事になったが

突然俺は太田さんに呼び止められ、

いつもの通学路の途中まで一緒に帰る事になった。

・・・スタスタ

・・・カツカツ

ブロロローーーー。

ぷあ〜〜〜〜ぷぅ〜〜〜。←豆腐屋

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

・・・・・さっきから何も喋んないんすけど・・・彼女。 (汗)

・・・スタスタ

・・・カツカツ

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

カンカンカンカンカンカン♪

踏み切りにひっかかって、立ち往生・・・・。

カンカンカンカンカンカン♪

 

「・・・・あ、あの、一体何・・・

 

「今日は・・・・ごめんなさい。」

 

「へっ?」

 

プァァーーーーン!

ゴトンゴトン・・・ゴトンゴトン・・・・・・。

電鉄が俺達の目の前を通り過ぎていく。

 

「はは・・・突然何だよ・・・。」

 

「まさか、拓也が出張ってくるなんて・・・予想外だったから・・・。」

 

「・・・気にするなよ。哲学部に入った時から災難は覚悟の上だ。」

 

「・・・私がどうして顔に包帯を巻いているか・・・分かる?」

 

「・・・・・ん〜?確か・・・誰かから聞いたんだけど

 自分の理論がどうたらこうたら・・・・。」

 

『女性が包帯を巻く事によって起こる、ある種のエロティシズム効果が

 異性、すなわち男性に対して性的な効果を起しえうるか・・・・』

 

「・・・・そ、そう・・・それだ。」 (苦笑)

 

「・・・・あれは、タテマエよ。」

 

「あ・・・そう・・・・。」

 

「・・・・半分は本気だけどね。」

 

「は・・・ははは。」←渇いた笑い

 

「本当は・・・・・後遺症なの。」

 

「・・・・・!?」

 

「・・・・・・。」

 

「こ、後遺症って・・・・毒電波・・・・

 

こくん。

 

彼女は頷いた・・・・。

そう言えば、学校を出た時から妙に口数が少ないし、

心なしか頬がほんのり赤い・・・・。

ドクンッ!

 

「どんな後遺症なんだよ!?」

 

「・・・・・・・・はぁん・・・・。」

 

「!?」

 

校門を出てから初めて正面から向き合った彼女を見て

・・・・俺はびっくり。

太田さんは・・・なんだか妖悦さを漂わせ・・・・

何故か瞳はうるうる・・・・。

 

へッ!?お、太田さんッ??」

 

「・・・・あぁ・・・・見てる・・・・。」

 

「は・・・?」

 

「・・・・そこのサラリーマンが・・・・私を見てる・・・・。」

 

言われて振り返ると、くたびれたネクタイを締めた

もう万年窓際族ですと言わんばかりのおっさんがこっちを・・・

いや、太田さんをチロチロとセコく見ていた。 

 

「はぁ・・・確かに・・・見てますね・・・。」

 

そりゃぁ・・・・あんたが美人だからだろう?

 

「わたし・・・・・見ず知らずの男に・・・・素顔を見られると・・・・・

 

「見られると・・・・?」

 

「・・・・エッチな気分になるの・・・。」

 

「ぶっ!!」

 

「・・・・今日一日・・・・我慢して・・・来たけど・・・・もう・・・・

 

マジッすかッ!?

 

  ほんき               マジ
本気と書いて、本気!?

 

「えぇぇぇ!?な、何だそりゃ!?」

 

「・・・はぁん・・・。」 うっとり

 

・・・・なるほど・・・・。

・・・・電車の中でもバスの中でも、下ばかり向いて

ほとんど話さなかった理由は・・・・これですか。

顔を紅く染めながら・・・・潤んだ瞳で・・・・

太田さんは俺の首筋に手をかける・・・・。

 

「な、長瀬く・・・ん。」

 

!?

 

「ちょ、ちょっと待ったッーーー!?」

 

慌てふためく俺。

 

「だ、駄目だ!太田さん、気をしっかり持つんだ!

 そ・・・それに・・・・君には月島さんが・・・・・!」

 

ぎゅうう〜〜〜。

 

「はべしッ!?」

 

突然ほっぺたを物凄い力でつねられた。

 

「ひゃ・・・ひゃにをふるんだ・・・!?」

 

すると、太田さんが何かに耐えるように真っ赤な顔をしながら

 

ギロリと睨んで一言・・・・。

 

「・・・か、勘違いしないで・・・よ!馬鹿!

 ・・・・・あそこ・・・に・・・ホラ!」

 

「ほぇ?」

 

彼女が指差した先には・・・『ニコニコ薬局』

 

「あ・・・そこで・・・・包帯を・・・・!」

 

「・・・・・・はぁ。」

 

「御願い・・・!早く・・・・買ってきて!」

 

「・・・・・・・。」

 

なんか・・・妙にいじらしい太田さんを見てると

ちょっとした悪戯心がムクムクと俺の中に沸き起こった。

 

「そう言えば・・・んち貧乏だからお金持ってなんだよねぇ。

 ・・・・・う〜ん、困った困った。太田さんは身動き取れ無さそうだし・・・・。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「う〜ん、太田さんの顔を覆うように巻くにはどれくらいの長さの包帯がいいんだろう?
 

 ・・・・顔の直径×高さを微分化して・・・・

 

「・・・・長瀬くん・・・タマ、握り潰すわよ?

 

「只今買って参ります!」

 

薬局へダッシュ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・。

たまたま傍にあったバスの停留所のベンチに俺達は腰掛けていた。

 

「・・・・・・。」 グルグル

 

「・・・ったく人使いが荒い・・・。」 ぶつぶつ

 

「何か言ったかしら?」 グルグル

 

「いいえ。」

 

「・・・・・ふぅ。」

 

溜息を一つつくと太田さんは立ち上がり、

 

「はぁ〜、やっぱり包帯はとるものじゃないわね。」

 

「良かったね。」

 

「ムッ。何よ!その投げやりな返・・・・・・・あら?」

 

「ん?」

 

太田さんは何かに気付いたのか、俺の頭を凝視している。

 

「・・・・長瀬くん?その頭の傷痕は?」

 

「・・・・あぁ、これか・・・・。

 ・・・・子供の頃、父親に『高い高い』から落とされてついたらしいんだ。」

 

「はぁ?」

 

「俺もよく覚えてないんだけど、コンクリに頭ぶつけてパックリさ。

 ・・・・・そのせいで急に頭が良くなったって両親は言ってるけど。

 ・・・ったく、とんでもない両親だよ。」

 

「そう・・・・。でも・・・その傷、本当にぶつけただけ傷なの?」

 

「は?」

 

「どう見ても・・・・・・・・いえ、何でもないわ。」

 

「まぁ、自分では見れないところだからな。なんとも・・・・。」

 

そう言いながら俺も立ち上がる。

 

「ところで、俺に用があったんじゃないのか?」

 

「もう終わったわ。」

 

「はい?」

 

「だから、もういいわよ。」

 

あっさりとした口調で言う太田さん。

 

「・・・・ま、まさか・・・・俺と帰ろうとした理由って・・・・。」

 

「えぇ。いつ後遺症を抑えられなくなるか心配だったから、従者が必要だったの♪」

 

「・・・・もう僕、哲学部辞める。」 スタスタ

 

「ちょ!いいじゃない〜!人助けしたのよぉ!」

 

苦笑しながら太田さんが御機嫌をとってくる。

 

「さぁ!長瀬くん!明日から特訓よ!」

 

「特訓ん〜〜?」

 

「そうよ!一刻も早く貴方には電波使いになってもらって

 拓也の陰謀を阻止してもらわないと!」

 

妙にやる気満々の太田さん。

 

「あぁ・・・もうダルイから俺パス。」

 

「もう!いちいち拗ねないでよ!」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・ぷっ!」

 

「・・・・クスクス。」

 

「ハハハハハ!」

 

「あはははは!」

 

「やっぱり太田さんはその包帯姿がしっくりくるな。ミイラみたいで面白いよ!」

 

「・・・・・それ、誉めてないから。」

 

・・・・・・・・・・・。

カタカタカタカタ・・・・・

薄暗い部屋の中、メガネをかけた女の子が

黙々とパソコンのキーを叩いていた。

 

・・・・カタカタ。

タンッ。

 

「・・・・・ッ!!」

 

ガタッ!

 

「・・・・・分かりましたよ・・・!プロジェクトDの意味がッ!!」



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