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特級ッ!難解電哲 【ラピードα】

FM033 電波的思考+α、マインドシーカー

 

 

・・・・・・・・・・・・。

『――先生、お会い出来て光栄です。』

カツカツ・・・

「こちらこそ・・・・。すみません、ロスでの会合が長引きまして。」

カツカツ・・・

『あの子が例のクランケ(患者)です。』

「・・・・・・脳挫傷及び、肋骨の骨折・・・・右大腿骨の複雑骨折・・・・。」

『あの年齢であれだけの大手術に耐えられるなんて・・・奇蹟に近いです。』

「・・・・・・・・・。

 で、このカルテに書いてある症状・・・・確かなんですか?」

『はい、精神科の高砂先生が診断済みです。』

「・・・・・御両親は?」

『3週間前、つまりクランケの意識が戻るまでは

 交代で泊り込んでいましたが、ここ数日は落ち着いたみたいで

 泊り込んではいません。今日はもう面会を終えました。』

「・・・・・そうですか・・・。」

『なにしろ・・・最早我々の手には・・・・』

「分かりましたわ。後は任せて下さい。」

『宜しく御願いします。・・・・後で院長室の方に御越し下さい。』

キィィ〜〜〜〜

バタン。

「・・・・・・・初めまして、――くん。」

「・・・・・・・。」

「今日から君の担当の先生になった、――って言うの。」

「・・・・・――――・・・?」

「うん。よろしくね。」

「・・・・・・・。」

ちりちりちり・・・・

「――くん・・・・無駄よ。」

「ッ!?」

「先生の心はみんなみたいに読めないわよ。」

「・・・どう・・・して?」

「・・・そうね・・・多分、先生と――くんは似てるからかしら?」

「・・・ボクと・・・おなじ!?」

「そう・・・――くんと同じ。」 にこり

「せんせいも・・・・・ぼくとおなじびょうきなんだね・・・・?」

・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・。

「――くん・・・。」

「・・・・・・・。」

「――くん。」

「・・・・・・どうしたんですか?せんせい。」

「――くんはみんなと遊ばないの?」

「・・・・・・・。」

「本を読む事は良い事だと思うけど、

 ず〜っと読んでばかりいないで、たまには遊ばないと元気が出ないわよ?」

「・・・・・べつにいいです。」

「――くんだって、おもちゃで遊ぶの嫌いじゃないんでしょ?」

「ボクは本をよむほうが好きです・・・。

 ロボットやつみ木は、あまり好きじゃないんです。」

「・・・・そう・・・・。」

「せんせい。」

「なに?」

「何もかもが、おもしろくないんです。」

「・・・・・・。」

「みんな、みんな分かってしまうんです。」

「・・・・・・・・。」

「ボクは変なんです!ここにいるみんなも・・・・ボクをこわがってるんです。」

「そんな事ある訳ないじゃない。」

「ボクは頭のびょうきだってみんないってます。」

「・・・・・――くん、そんな事ないわよ。」

「・・・・みんなの考えが見えちゃうんです。」

「・・・・・・・。」

「声が・・・・聞こえちゃうんです。」

「・・・・――くん、ヒトっていうのはね。

 自分よりもすごく優れているものに対して恐れちゃうような生き物なのよ。

 特に――くんぐらいの年齢はその思いを表に出しちゃうの。

 ――くんは素晴らしい力を持ってると思う。

 でも、その力を良い方に使うのも悪い方に使うのも――くん次第なの。

 悪い方へ使えば使うほど、――くんは絶対不幸せになる。

 先生はいつもいつもみんなに幸せになってもらいたいと思っているわ。

 もちろん――くんもそうなって欲しいと思っているの。分かる?」

「・・・・・・・うん。全部分かる。」

「――くんがみんなから遠ざかれば遠ざかるほど、

 お互いの距離は離れちゃうの。」

〜〜〜〜〜ちり

『ねぇねぇ、あのこはさそわないの?』

『ヤダ!あいつこわい!』

『きもちわるい。』

『ぼくきいたんだよ。あいつはへんなびょうきなんだよ。』

・・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・せんせい。」

「なぁに?」

「ボク、せんせいは好きだから死なせないよ。」

「・・・・どういう事?」

「あとお父さんとお母さんも。」

「な、なにを言ってるの・・・!?」

「ボクは・・・・バクダンを作るんだ。

 おっきな・・・おーーーっきなバクダンを作るんだ。

 それで、みんな、みーんな!死んじゃうんだよ・・・・。

 ・・・だけど、せんせいは大丈夫だから。」

「・・・・・・・・・―、――くん・・・・・。」

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

カチャ・・・・パタン。

「――――せんせぇは・・・?」

『・・・・・。』

「ねぇ?――――せんせぇはどこへいったの?」

『――くん・・・――先生はね、遠くに行ってしまったんだよ。』

ちりちり・・・・・

「嘘だ。」

「え・・・?」

「嘘だよ。・・・先生、死んじゃったんでしょ!」

『な、――くんッ・・・どうして!?』

「嘘つきッ!!みんな嘘つきだッ!!

 先生の嘘つきッ!!ボクを治してくれるって言ったじゃないかッ!!」

『・・・婦長!304号だ!急いで来てくれ!』

「ぼくは・・・ぼくは・・・・またひとりぼっちじゃないかーーーッ!!」

 

俺の新型爆弾。

みんな燃え尽きてしまえ。

俺を仲間はずれにした奴ら、みんな死ぬんだ!

焼け死んでしまえ!

生きる価値もない劣った人間なんてみんな死ね。

分かってた事さ。

本当は誰も俺を必要となんかしていない。

単純に力あるものはやがて知力あるものに負け

やがて知力あるものの中で、強大な権力を持つものが主導権を手にする。

世の中とはそうなっているんだ!

死ね。死ね。みんな死ね。

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

やめろッ!!

俺は静かに生きたいんだ!!

ーーー静かに生きたい?笑わせるな。じゃあなんで入部した?

富や権力なんて興味ない!

ーーー詭弁だな。では何故優等生のふりをする?

俺は・・・望んで頭が良くなった訳じゃない!!

ーーー月島拓也。

ッ!!

ーーーうらやましいんだろ?欲しいんだろ?

ーーーアイツのあの力が欲しいだろ?

ーーー富や権力、知力を以ってしても手に入らないあの力が

うるさいうるさいうるさいッ!!

ーーー欲しいくせに

ーーー欲しいくせに

ーーー毒電波が欲しいくせに

ーーー使えばいい。

ーーー今すぐ使うがいい。

ーーー簡単さ。ほら、使うがいい。

違うッ!違う違う違う違うッ!!

 

「――くん、誰かを死ねなんて思っては駄目よ。

 誰かに愛されたいと思うのなら・・・・誰かを愛してあげなさい。

 貴方には不思議な力があるんだから。

 努力すれば報われるの。

 先生は――くんを信じてるわ。」

せんせい・・・・・。

先生ッ!

助けて!――先生ッ!

俺は・・・・俺は・・・・・・・ッ!!!

 

ッ!?

 

「はぁ・・・・はぁ・・・!」

 

ちゅんちゅん・・・・。

俺は寝汗で濡れた布団と蹴飛ばすように跳ね起きた。

 

「・・・・・夢・・・。」

 

何だったんだ・・・今の夢は・・・・クソッ。

 

「裕介ー、遅刻するわよー?」

 

「は、はーい!」

 

相変わらず寂れた団地を駆け抜け、俺はいつもの高校へ向かう。

日差しは相も変らず、俺の頭を照りつけ、額に汗が滲む。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ンヨ〜ヤ〜クコ〜シ〜ン〜♪

 

「ふぁぁ・・・今日も退屈な授業だったな・・・・。」

 

俺が背伸びをしながら、だれていると

横では沙織ちゃんがう〜ん、う〜んと唸っている。

 

「どうしたの?沙織ちゃん?」

 

「う〜ん・・・分からないよぉ〜!」

 

見ると沙織ちゃんは今日の最後の授業だった数学Uの教科書を開けたまま、

苦虫を噛み潰したような表情で、頭を抱えていた。

 

「分からない・・・?どれが?」

 

「う〜〜ん、これだよぉ〜!」

 

「ん?どれどれ?」

 

「これだってばぁ〜。」

 

「・・・これ?」

 

「うん・・・これ。」

 

「・・・・・・・・・・本当にこれが分からないの?」

 

「・・・・・・・・。」

 

ドカッ!

俺の脛に鈍痛が走る。

 

「痛てッ!?」

 

沙織ちゃんは恨めしそうな悔しそうな、微妙な表情でこちらを睨んで

 

「う〜〜〜。」

 

と、可愛げな?呻き声をあげている。

 

「な、何すんだよ!」

 

「う〜。今、裕くん。思いっきり馬鹿にしたぁ・・・!」

 

「う!な、何を言ってんだよ?別に俺はそんな事思ってないよ?」 (汗)

 

図星をつかれたので、少し動揺しつつも俺は平静を繕う。

 

「思ってる・・・ぜ〜ったい思ってる!

 ふんだ・・!いいですよ〜っだ!

 出来る人ってのは出来ない人の気持ちなんて分かんないだろうなぁ〜。」

 

「く、腐るなよ〜。俺が教えてあげるから・・・・。」

 

「えっ!?ホントッ!?じゃぁじゃぁ・・・この問4から11までと

 4STEPの32ページの答え教えてッ♪」

 

「・・・・・沙織ちゃん・・・それ、今日の宿題だろ・・・・。」

 

「いいじゃん!ケチーッ!!」

 

グワシッ!

 

「おわッ!?」

 

いきなり誰かに襟首を掴まれた。

振り向くとそこには「あんた達、何してんの?」と言いたげな

表情を浮かべた太田さんがいた。

 

「太田さん、人を呼ぶ時はもう少しソフトに・・・・。」

 

「生憎だけど、長瀬くん、貴方・・・人にモノを教えている立場じゃないわよ?」

 

「は?」

 

「今日から貴方には専属のコーチがみっちりと教えてさしあげるわ。」

 

「何の事だい?」

 

「とぼけないでよ。電波の特訓よ!」

 

「え〜〜!!もう今日からやるのかよ〜!」

 

「『え〜〜!!』言わないッ!さっさと来る!」

 

ずるずる・・・・

 

「ちょ、ちょっと裕君〜〜!宿題ぃ〜〜!!」

 

―哲学部室―

 

「・・・・・・・・。」

 

「さぁ、長瀬ちゃん。・・・・電波を感じてみて。」

 

「・・・・・・・・。」

 

ザーーーーザーーー・・・・

俺の前に置かれた、安っぽいラジオからは

どこの局も受信出来ていない無機質な音だけが流れていた。

 

「・・・・・・・・。」

 

「長瀬くん。まじめにやりなさい。」

 

「・・・いや・・・だってさ・・・・。」 (汗)

 

いきなり部室に連れて来られた俺は

机に着かされ、このラジオから何かを読み取れという

万国びっくりショーみたいな難題を出されて困り果てていた。

 

「あれ?そう言えば今日藍原さんは?学校に来てないみたいだけど?」

 

「無駄口はいいのッ!!集中集中ッ!!」

 

「・・・・はいはい、やりゃいいんだろ?

 う〜〜〜、電波〜〜。電波〜〜〜。こいこい〜〜。

 

ペチンッ。

 

「イテッ!!」

 

「ふざけないで。」

 

「ふ、ふざけてねーよ!大体、これの何処が特訓なんだよ!」

 

瑠璃子さんが俺と太田さんのやりとりを見て苦笑しながら

 

「長瀬ちゃん。電波ってのは常にこの世界を駆け巡る粒子みたいなものなの。

 それをこのラジオは、人には通常受け取る事が出来ない代わりに

 受け取っているだけなの。

 まずは・・・電波を長瀬ちゃん自身が感じ取れる事が第一歩だから・・・。」

 

「そ、そんな無茶苦茶な・・・・。」 (汗)

 

「ま、取りあえず今日は下校時間までそのラジオとにらめっこって

 ところかしらね・・・・。じゃ、ジュースでも買ってくるわ。」

 

パタン・・・。

そう言うと太田さんは何処かへ行ってしまった。

ザーーーーザーーーー

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

「瑠璃子さん、何か聞こえる?」

 

「うん。」

 

「へぇ・・・・何が?」

 

「例えば・・・タクシーの無線とか。」

 

「あ・・・・あ、そう。」 (汗)

 

ひたすらラジオと睨めっこを続ける俺。

・・・・何が悲しくてこんな任意ラヂヲを・・・。(涙)

ザーーーーザーーーー

・・・なんか・・・眠くなってきちゃった。

 

「ふぁ〜あ・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

瑠璃子さんは黙々と文庫本を隣で読んでいる。

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・グゥ・・・・。」

 

「な、長瀬ちゃん?」

 

「・・・・・・グゥ〜グゥ〜。」

 

「も、もう〜!」

 

瑠璃子は苦笑しながら、裕介の寝顔を暫らく眺めた後

ふと険しい表情になると、静かに部室を後にした。

 

―難解高校屋上―

ジジ・・・ザァーーーザ・・・

 

『え〜次のニュースです。

 緋月市にある重要文化財にも指定されている

 尊厳寺の霊園が何者かによって荒らされていた事が分かりました。

 今朝、霊園内の墓石の大半が倒壊していたのを

 住職の大神源太郎さんが発見し、警察に通報しました。

 警察の調べでは、極めて悪質な悪戯であり・・・・・・

 

「瑠璃子・・・また放送を聞いてるの?」

 

「あ、香奈子ちゃん。」 にこり

 

「長瀬くんの調子はどう?」

 

「・・・・寝ちゃった。」

 

瑠璃子がそう言いながら苦笑を浮かべると、

 

「あのガキャ・・・・・。」

 

香奈子が呆れ果てた顔をした矢先、

瑠璃子は少し陰りのある表情を浮かべた。

 

「・・・瑠璃子?」

 

「香奈子ちゃん・・・・本当にいいのかな・・・・?

 ワタシは・・・長瀬ちゃんを覚醒させる事には反対だな・・・。」

 

香奈子は溜息をつくと、

 

「・・・・・・一体何を懸念しているのよ?

 折角拓也に対抗できるかもしれない切り札を見つけたんじゃない。

 電波を使える可能性がある以上、それに賭けてみないと・・・・。」

 

「そ、それが・・・・気になるの!」

 

「・・・・・・・・。」

 

瑠璃子の過剰な反応に、香奈子の表情が強張る。

 

「・・・・あ。」

 

香奈子の表情を見た瑠璃子は、自分の迂闊な発言に後悔した。

 

「・・・瑠璃子・・・あなた・・・何を隠してるの!?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「まさか・・・・・あなた!長瀬くんの力が既に分かりかけてるんじゃ!?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

香奈子は瑠璃子に歩みよると、瑠璃子の両肩を掴んで問い詰める。

 

「何を感じたのッ!?どうしてそんなに怯えてるのよ!?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「瑠璃子・・・!黙ってちゃ分からないわよ!」

 

「・・・・香奈子ちゃん・・・・もしかしたら長瀬ちゃん・・・・長瀬ちゃんは

 

「・・・・・・・ま、まさか・・・・。」

 

「お兄ちゃんと同じかもしれない。」

 

ザーーーザーーーーージジッ。

 

「ムニャムニャ・・・・。」

 

ザーーーザーー・・・・お兄ちゃんと同じかもしれない。

 

「ッ!?」

 

ガバッ!

 

「き、聞こえたッ!?今、確かに聞こえたぞッ!!

 まじかよッ!?る、瑠璃子さん!

 俺、何か聞こえたぞッ!!・・・・て、いねぇ・・・。」 (汗)

 

バァンッ!

 

直後、部室の扉を荒々しく開けて藍原さんが飛び込んできた!

 

「みんな!分かりましたよ!!プロジェクトDの・・・・あれ?」

 

「や、やぁ・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

ピシャ。

 

「か、帰るのッ!?」



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