鬼兵般家長

序章 鬼キスもいる西●学園 (かたこと)



はぁっ!はぁっ!はぁっ!


・・・・・・・・・・・・・また逃げてるよ、俺。


ハァッ!ハァッ!ハァァァッ!


・・・・・・・・・・・・・毎度毎度、勘弁してくれよ。


ゲホッ、ハァ・・・!


・・・・・・・・・・・・・で、今日は誰から逃げてんだ?




「・・・・・・さぁ〜ん。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「耕一さぁ〜〜〜ん♪」


 

 

「・・・・・・・千鶴さんか。」

 


「ほほほほほ、耕一さん!ジュテ〜ム♪」


「頼むから、勘弁してくれ。っていうか夢にまで出てくるな。」


どうせ!夢なんだろ?

 

早く覚めてくれよっ!追いつかれるだろが!

 

起きろって!早く起きろ俺よ!

 

朝はまだかよっ!

 

こんなの見るときゃ大抵は起きる寸前のはずなんだよ!

 

朝ぁ〜〜〜!

 

アササアアサアサアサアササアサアサアサアサアサアアサ
アササアアササアサアササアサアササアアサアアサ
アサアサアサアサアサアサアササアサアサアサアサアサアアサ
アササアアササアサアササアサアササアサアサアアサ
アササアアササアサアササアサアササアサアサアサアサ
アササアアサアサアサアサアサアサアササアサアサアアサ





「はい♪耕一さん。あさげ。」




死にてぇ・・・・・・・・。






きーんこーんかーんこーん





はっ!?

 

(え〜、では試験を終了して下さい。筆記用具を持っている学生は

 速やかに手をとめて、解答用紙を前へ提出して下さい。)


(なお、冬期休暇後のカリキュラム及びスケジュールは事務局にて配布しています。

 まだ受け取っていない学生は・・・・・・)


 

・・・・・・・・・・・・。

 

そうか、夢から覚めたのか・・・。


「耕一くん。」

 

「・・・・・あ、由美子さん。」


「クスクス、耕一くん試験中寝てたでしょ?余裕よねぇ〜♪

 まぁ、確かにこの試験は簡単だったけど。」


「そう・・・・だね・・・・・・ははははははははは。」

 

「耕一君、寝起きで混乱してるみたいだけど、そろそろ解答用紙出さないとまずいよ?」

 

「あぁ、そうだね。今出してくるよ。」

 

(・・・・・・・ジーザス・・・・・・解答、白紙だよ・・・・・。)

 

しかも、御丁寧に名前とイカれたドラ●もんの落書きだけ書いてるし。


俺はなんとか由美子さんに解答用紙を見られないようにしながら、そそくさと提出しにいった。

 

俺の解答用紙を見た試験監督が、冷ややかな視線を浴びせてきたが

 

「なんだ?虎羅?」と逆ギレ状態で席へ戻ってきた。(苦笑)

 

席にもどり、鬱になりながら帰る用意をすると

 

ゼミメートの小出由美子さんは、すでに帰り支度を済ませていた。

 

「耕一くん、今晩は参加するよね?」

 

「はい?今晩ってなんだっけ?」

 

「も〜、今日で後期試験も終了だから、ゼミのみんなで飲みにいこうって言ってたじゃない。」


「あぁ〜、そういえば、そうだったね。」


 

!?

 

「ゆ、由美子さん・・・・・今、なんつった?」


「えっ?だから・・・飲み会に・・・」

 

「その前っすよ!」

 

「え?え?後期試験、耕一くんも今日で終了でしょ?それとも、追試とか・・・あるの?」

 

イヤァァァーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!


まじっかよ!っつー事は明日から休みじゃねーかっ!!!!!


嫌だぁ・・・・あそこには逝きたくないよぉ・・・・・。

 

「・・・・・・・耕一くん?」


「ご、ごめん、由美子さん、、、俺無理し過ぎて体調悪りぃみたいだから

 今日はちょっと辞めとくわ。」

 

「えぇっ!そ・・・そうなの・・・・・・・・・残念だなぁ・・・。」

 


「・・・・ホント、ごめん。みんなには、その適当に言っといてくれないかな?」

 


「分かった。みんなには、私がなんとか言っとくから。そのかわり、貸しにしとくよ?」

 


「サンキュ。恩にきるよ・・・。」




俺はそのまま由美子さんと分かれてアパートに帰宅した。

 

やれやれ、、、いったい他人どおしで酒を酌み交わして何が楽しいんだか。

 

どうせ、嘘で塗り固めたナイフでお互いを切りあうような陳腐な会話しかしないくせに・・・。

 

そもそも由美子さんが言ってくれなかったら、すっかり忘れてたよ。

 

などとブツブツ言いながら俺はアパートの郵便受けを開けると

 

ひらひらとハガキが一枚落っこちてきた。


・・・・・・・・・・・。

 

俺は震える手でそのハガキを拾って、見てみると、

 

(柏木 耕一 様)


表には淡々と住所と名前だけが記入されていた。

 

裏がえして見てみると

 

(耕一さん、そろそろ試験が終わり、大学も休暇期間になったと思います。)

 

この文章の直後、突然字が滅茶苦茶になっており・・・

 

・・・・・・何故か血痕が付いていた。


(ごめんなさい、ちょっと手がすべっちゃって。(笑)

 

 ところで、明日くらいには家に来ますよね?

 

 耕一さん、休暇中は御一人で色々大変でしょうから是非こちらへいらして下さい。

 

 私達姉妹も耕一さんが来るの楽しみにしております。って言うか来い。

 

 来ないと・・・・・・・・殺す。       柏木 千鶴)



 

 

来た。


 

赤紙がもう届いていたのか・・・。

 

御丁寧に俺の大学の試験日程とかを調査してくださったらしい。

 

うぐぅ。・・・・徴兵されちゃったよ。


と、嘆いていると。

 

郵便受けの奥にさらに3枚ハガキが入っていた。

 

3枚とも表は先ほどの千鶴さんと全く同じ構成だが、裏は以下の様になっていた。

 


虎羅、耕一。てめぇー試験終わってからバックレんじゃねーぞ?

 

 おめぇーが来ねーと姉貴がうるせーんだよ。

 

 この間の連休に来なかっただろ?

 

 

 あの後、姉貴の奴8つ墓村みたいな格好で
 

 

 毎晩夜中、どっかにイってたぞ

 

 兎に角、来い。来ねーと追い込みかけるぞ?    柏木 梓)


 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


 

 

滅茶苦茶小さな字で↓

(・・・・・・耕一さん、エディフェルです。

 

 昨夜、第七星雲のウンモ星人さん

 

 チャネリングをしていたら、あさってあたり耕一さんが来るとおっしゃってました。

 ・・・・・・・・・・・・エンジェル様もそうおっしゃってました。    貴方の妻 エディフェルより)


 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」




(耕一お兄ちゃん、みんな今回こそはと狙っているよ。とくに千鶴のアホは気合入ってて

 

 押し入れの奥に「超絶倫人ベラボーX」って精力ドリンクを買って隠してたよ。

 

 ヒッキースピッツも夜中変な儀式やってるし、梓も良い食材買いだめしてやがる。

 

 やれやれ、下心見え見えで嫌になっちゃうよ。はっきり言っちゃえば?

 

 「俺、初音ちゃんと出来ちゃったんだ」ってね。

 

 

 えへへ。千鶴の死にそうな顔が目に浮かぶよ。

 

 とりあえずこっちに来るなら、なにか高そうな御土産よろしくね。          は・つ・ね♪)

 

 

4枚見終わった時点で、俺の運値は大暴落。

 

ぶっちぎりで開拓者コース逝きに決定したようなもんだ。

 

・・・・・・・終わった。

 

今年は九州にふぐでも食いに行こうかと思っていたのに・・・。

 

あの悪魔の四姉妹に囲まれて正月を凄さなければいけないのか?

 

ぐ、ぐわっ!い、胃が・・・・・!!

 

こうして、俺の地獄の黙示録が始まろうとしていた。




 

つづく。