鬼兵般家長



DIE11話 すな鬼なれたら・・・ 〜ヒムロック〜

 


「ぐすっ・・・すん・・・・もぐもぐ。」

 

「・・・・・・泣くのか食べるのかどっちかにしろよ。」

 

「すん・・・こんな、たい焼きなんかで・・・懐柔されない・・・・もん。」

 

「・・・・要らないなら俺が食べるけど?」

 

「・・・・ダメ。・・・ハモハモ。」

 

「・・・・やれやれ。」

 

結局、泣き喚いていたかおりちゃんを見捨てられず

俺は彼女を一先ず砂浜から連れ出し、温泉街の茶屋で一服していた。

しかし、よく泣くわ、食べるわ・・・・。

やはり置いてきたほうが良かった。

 

「すん・・・さっさと、帰って下さいよね・・・!」

 

「その事についてなんだけどさぁ、それって君の一方的な勘違いじゃないのかな?」

 

「そんな訳・・・ないもん。・・・・あ、すいません。チョコたい焼き1つ追加して下さい。」

 

「おい虎羅。これで4個目なんだけど・・・。」

 

「女の子を泣かしたんだから・・・たい焼き4つくらい良いでしょ!」

 

「いや、あのぉ〜、君が勝手に泣き喚いたんだけど・・・。」

 

「・・・うるさいっ・・・・また泣くぞ・・・・。」

 

「・・・・・・・魂血苦笑・・・・。」

 

散々文句だけ言っておいて、しっかりタイ焼き4つと、おまけに甘酒まで飲んでくれた

このファッキン女子高生は、ようやく落ち着いたらしく涙声もなおった。

 

「あのさぁ、君が梓をどう思ってるか知らないけど。梓にソノ気はないよ。」

 

「そんな事、分かってるもん!先輩はまだ真実の愛を知らないだけだもん!」

 

「・・・・・もう少し、声のトーンを落としてくれないかな・・・ははは。」

 

・・・・マジかよ・・・いや、よく雑誌や漫画のネタでありがちだけど、

実際にレズッ子を見たのも、話したのも初めてだ。

なんか不思議な世界に迷い込んだ感覚がして、どうにもなぁ・・・。

 

「っつーかさ、共学の高校なんだろ?カッコイイ男の子とかいるじゃないか?」

 

「男なんて・・・・!いやらしいし、不潔だしっ!全然良くないもん!」

 

うわぁ・・・・。

 

ありがちな返答と言うか・・・・ベタベタだよ・・・・。

 

「だけど、梓にしても態度や性格は、そこらの男と変わりないぞ?」

 

「先輩を男なんかと一緒にするなーっ!!」

 

プスッ

 

「うぎゃっ!!!」

 

こ・・・このジャリ・・・・。

爪楊枝でひざを刺しやがった・・・・。

 

「あ・あ・あのなぁ〜〜〜」ぷるぷる

 

「ふんだ、あなたが悪いんだよ!」

 

「とにかく、君が梓にぞっこんラブだろうが何だろうが、俺とどう関係があるんだよ!」

 

「・・・・・・あなたが居るとぉ、先輩にとって悪影響なんだよぉ!」

 

「だから、そこのところが分からないって言っておろうが!」

 

「あのね!先輩の家は4人姉妹だけで生活してるんでしょ?

 そんな中にあなたのような下賎な輩が急に混じると、

 いつ変な過ちが起きても不思議じゃないでしょっ!?」

 

・・・・・・ぷちっ。

 

「あぁ?ふざけるなよっ!俺の気も知らないで、好き勝手想像するなっ!!」

 

「・・・・ッな、なによ!そもそも先輩のあの顔見れば、女なら分かるも・・・」

 

やかましいっ!あのなぁ!嫌々連れてこられて、

 

 変な事されてるのは俺の方だぁぁ〜〜!!!

  過ちだとぉ!?あの4姉妹が過ちだっつーのっ!」

 

『オラッ』

 

ゴシャァッ!!

 

「きてはっ!?」

 

パ・タ・・。

 

突然、後頭部に物凄い衝撃を受けて、俺はオチた・・・・。

 

「ね、ねぇちょっと!な、何っ?どうしたのっ!?」

 

ザッ

 

「あ、あなた・・・先輩の妹の・・・。」

 

「・・・・・・・・耕一さん・・・浮気は・・・・許しません。

 それと・・・・陰口をこそこそ叩くのも・・・男らしくありません・・・・。」

 

「ちょ、ちょっと!この人どうしちゃったの!?」

 

「・・・・あら?あなたは・・・・確か・・・・日吉さん・・・・。

 ・・・・・もしかして・・・・・私・・・・勘違いしちゃった・・・・?」 ポッ

 

「あ、あの、楓さんでしたっけ・・・?」

 

「・・・・御迷惑をおかけしました・・・。」 ペコリ

 

ズルズル・・・

 

いつの間にか俺は楓ちゃんに引きずられ、茶屋を後にしていた。

 

「う・・・あ・・・ば・・馬鹿なっ!頭痛がする・・・・吐き気もだ・・・・。」 ぷるぷる

 

「・・・・耕一さん・・・私は・・・・クレープが食べたい・・・・。」

 

「新手のスタンド使いかっ!?」 ぷるぷる

 

「・・・・ちょっと、強く・・・殴りすぎちゃった・・・・えへっ♪」

 

しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん

しーとぉーぴっっちゃ〜ん

 

(つづく)