鬼兵般家長



DIE33話 鬼兵般家長 〜ワシが男塾火付盗賊改め、

              柏木千鶴であるっ! 以上ッ!!〜 


折角今から俺様のほとばしる情熱破壊と言う名のシンフォニー

乗せて、隆山の皆さんに届けてあげようというのに・・・。

悲しいかな、最後の最後まで邪魔してくれる千鶴ちゃん。

 

「やれやれ・・・もう、読者もアンタには飽き飽きだっつーの。」

 

「今のうちにせいぜいおっしゃってなさい♪あとで泣き叫んでも許さないから♪」

 

「泣き叫ぶ?俺が?ゲッハハハッ!そりゃてめーだ。」

 

「柏木家の真髄。たっぷり教えてあげますわよ♪」

 

「そうかい。じゃあ今日はジェンダー論の講義と逝きますか?」

 

「・・・・・耕一さん。いいからさっさとかかって来いや虎羅!!

 

ったくムカツク女だ。

でも顔は好きだぜ?ゲッハハハハッ!

じゃあ軽くイワしてやるか。

ほぼ全力に近い踏み込みで、千鶴に襲いかかる俺20歳。

 

ザシュッ

 

!?

 

・・・・へ?ザシュッ?

高速で二人が交差した直後、俺の頬に見事な切り傷。

 

「お、おまえっ!?なにをっ!?」

 

「・・・・ふふふ。」

 

千鶴の手元を改めて見ると・・・日本刀が・・・・。

 

「き、汚ねぇーーッ!!武器所有かよぉっ!?」

 

「あら?鬼ともあろうモノが、人間が作った武器に怖れるの?」

 

「その日本刀、ただの刀じゃねーだろっ!?」

 

「えぇ♪先程海まで飛ばされた時、雨月神社からお借りしてきました♪

 耕一さん、鬼殺刀(きさつとう)って御存知ですよね♪」

 

「・・・・ぬぅ!?」

 

※楓ちゃんの萌え萌え解説ぅ〜♪

・・・・チャオ♪楓です。

・・・・・雨月神社とは、雨月山の麓にひっそりとたたずむ

・・・・先祖代々柏木家出資の鬼を祭っている寺です。

・・・・・そのお寺では「鬼殺刀」が安置されています。

・・・・・「鬼殺刀」とは、その昔、剣豪・次郎衛門(前世の耕一さん)が

・・・・・鬼を殺す為に打った刀といわれています。

・・・・・・実はこの刀は地球上の鉱物で作られていません。

・・・・・・したがって、鬼でも切れます。

・・・・あと、面倒な包丁研ぎなんて全然ノープロブレムよ♪

(すごいよ!シンディ!じゃ何でも切れるんだね?)

・・・・そうよジョニー♪ほら見てよ、こんな革靴だって薄くスライスしちゃうのよ♪

信じられないよっ!今まで使ってきた包丁は何なんだって感じさ!)

・・・・でしょう♪実はNASAで開発された特殊合金加工が施されてるの♪

(NASAで開発されたんだって?!すごいよシンディ!もう買うっきゃないねっ!

・・・・・今日はそれだけじゃないのよ。なんとこのナイフにプラス、ジューサーもセットよ!

(Oh〜〜〜ッ!!←会場の御客さん)

最高だよぉシンディッ!もう買うっきゃないねっ!!僕は今直ぐ持って帰るよっ!!)

 

『NASAの開発した高性能万能ナイフ 「ツゲアタッカースコーピオン5」

 現在、高級ジューサーもセットでお付けして、8900円(税抜き)、

 8900円(税抜き)で御提供いたします。

 なお、送料は別途お支払い頂きますので御了承下さい。

 ※日本の製品版はこちらです』

 

<※ 野球中継の延長の為、放送時間を繰り下げて御送りしております。>

 

プツン―

 

(あぁ〜、つまらん番組やった。)

 

し〜ん

 

「・・・・・なんだったんだ?今の?」 (汗)

 

「・・・・・さぁ、なんでしょう?」 (汗)

 

気を取り直して、千鶴を見据える。

チッ!重要文化財なんぞ持ち出して来やがって・・・・。

まずい、いくらなんでもあの刀で切られたらただではすまない。

 

「て、てめぇ・・・俺を殺す気かよっ!」

 

「場合によっては・・・そうせざるを得ません。」

 

「鬼っ!人でなしっ!!偽善者ッ!!!」

 

「・・・耕一さん、私が分家の人間達になんて言われているか知っていますか?」

 

「究極召還獣CHIZURU。」

 

「・・・・・分家の人間は私をこう呼びます。

 ・・・・・・鬼兵般家長とッ!」 クワッ!

 

・・・・なにそれ?(汗)

直後、刀を構え襲い掛かる鬼兵。

クッ!一撃必殺の攻撃を紙一重でよける。

あ・・・あぶねぇ・・・激しくアブネェよ!この姉ちゃんッ!!

 

「こ、耕一さんっ!何故よけるんですかっ!!」

 

「あ、当たり前じゃっ!死ぬだろがっ!!」

 

「こういう場合は原作よろしく、『千鶴さん・・・俺を殺してよ。』って

 言って、私に体をあずけるのが筋でしょう!?」

 

「アホかっ!激しくトリップしてんじゃねーッ!!」

 

ヒュンッ

 

フォンッ

 

「はわわっ!?ひっ!わわっ!?」

 

「このっ!待てっ!えいっ♪

 

イカレポンチ姉さんは修羅の如く猛追。

すでに『捨陰の為ッ!!』←?と言わんばかりの眼で俺を捕らえる。

 

「ククク・・・・ゲッハハハッ!ほんと、飽きねぇねーちゃんだっ!」

 

「えいっ♪たぁ♪死ね♪

 

仕方ない。奥の手だ。

俺は更に利き腕に力を込める。

メキッメキキッ!

右手がみるみる変貌していく。

巨大な鍵爪になり、その鍵爪は自在に伸縮可能となった。

 

「っ!耕一さんがッ!変わる!?」

 

「ゲッハハハッ!女にゃ出来ないだろっ!」

 

ザシュッ

 

鋭く変化した鍵爪で離れた間合いからの攻撃。

柏木家の女には出来ない、男だけの細胞変化能力。

これなら、刀の攻撃を喰らわずに済むのさっ!!

 

「クゥ!こ、小癪ッ!!」

 

「死ねやコラッ!!」

 

キィンッ!

 

俺の鍵爪は千鶴の持つ刀の握りを弾いたっ!

 

「きゃっ!!」

 

たまらず刀を手放す千鶴。手から離れた刀は虚空を切る。

ヒュンヒュンヒュン・・・・

トスッ!

俺の眼前の地面に突き刺された刀。

 

「ゲハーハハハハッ!!チェックメイトだぁっ!千鶴ッ!!!」

 

「・・・・っ!」

 

「今度は全力で宇宙までぶっ飛ばしてやろうか?コラ。

 なんなら今からボイジャー2号でも追いかけるか?ゲッハハハッ!」

 

「・・・・・クッ、無念!」

 

勝利に酔いしれる自称アーティスト柏木耕一。

ククク、スイング・バイでグッバイだぜ。千鶴!

じりじりとにじり寄る。

その時・・・・。

 

!?

 

ふと、誰かが背後に立っているような気がした。

・・・・・誰だ!?

俺が目線を向けると・・・・

そこには俺より少し大きめの体格の良い男性が立っていた・・・が、

どっからどう見ても、太秦映画村からやって来ました。と言わんばかりの

ちょっとイッテル格好だが・・・・。(汗) 

 

『・・・・なんだ?てめぇ!?どこの時代劇俳優だ?コラ。』

 

『・・・・・また同じ過ちをするのか?』

 

『はぁ?何言ってやがるてめぇは!?』

 

『・・・・・エディフェルの遺言を守らなかった挙句、今でも傷つけあうのか?』

 

『ッ!!て、てめぇ・・・・・・な、なんでここにいやがるっ!?』

 

『・・・・・・。』

 

『や、やめろっ!!そんな目で俺を見るんじゃねーッ!!』

 

『・・・・・・。』

 

『消えろっ!消えろぉぉーッ!!俺をいつまでも縛り付けんじゃねーッ!!』

 

「・・・・耕一くんッ!!」

 

!?

 

え・・・?今の、声って・・・・まさか。

 

「耕一くんッ!!」

 

声のする方を向くと、そこには由美子さんがいた。

 

「あ、あれ?な、なんで・・・・ここに・・・・・

 

フラッ

 

どさっ

 

・・・・・直後、俺は失神したらしい。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

ザ・・・

・・・・・

チャ・・・←刀を取る音

 

「・・・・・さぁ、帰りましょうね・・・・。」

 

『・・・・・・フェル・・。』

 

「・・・・・姉さんが急に持ち出して御免なさいね。」

 

『・・・・・・・・。』

 

ひゅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜

 

・・・・・・・。

・・・・・・・。

 

ハッ!?

 

気が付くと、俺は鶴来屋の医務室のベットで寝ていた。

 

「耕一くん。目が覚めた!?」

 

改めて、周囲を見回すと、

柏木4姉妹、足立さん、・・・そして由美子さんがいた。

 

「あ・・・あれ?お、俺は・・・一体!?

 ・・・ッ!!って言うか!由美子さん、帰ったんじゃっ!?」

 

「結局ね・・・・次の停車駅で・・・・引き返しちゃった。」

 

はにかみながら由美子さんは照れて笑っていた。

 

「あたしに感謝して欲しいです♪」

 

突如、由美子さんの影からひょっとりと、ファッキン女子高生のかおりちゃんが・・・。

 

「あ・・・あれっ!?な、なにしてんのっ!?君・・・・。」

 

「耕一くん、実は彼女が私の客席に乗り込んで来て・・・今すぐ引き返せって言ってきたの。」

 

「は・・・!?ど、どうゆう事だ!?」

 

「えへへ。実はあたし、今日耕一さん達を見かけて、尾行してたんです!

 ・・・・・二人が付き合ってんのかどうか、確認しようと思って。」

 

「えぇっ!じ、じゃあ、かおりちゃんも尾行してたのっ!?」

 

「み、みたいだね。耕一くん・・・・。」

 

困った様な顔で苦笑する由美子さん。

・・・・そうか!俺が感じていた違和感ってのは

この子の尾行だったのか!

 

「それでぇ〜、途中で見失って、駅前をうろついていたらぁ〜、

 タクシーからこの人が出てきて、特急に乗っちゃったの見たから

 思わずわたしも乗っちゃったんですっ!!」

 

「・・・・・・ど、どうして・・・?」 (汗)

 

「だって明らかにこの人、様子がおかしかったもん。これは何かあったなぁ〜って。」

 

「そ、それもあるけど・・・どうして君が、由美子さんを引きとめたのっ!?」

 

「当然ッ!!愛の為ですぅ〜♪」 うりんうりん

 

・・・・・あ、そうか。

この子にとって、俺と由美子さんがくっつけば・・・梓が残るって寸法か・・・。(汗)

 

「こ、こらっ、日吉ッ!も、もういいから、お前はロビーででも待ってろッ!」

 

聞いてはいけないセリフを吐かれる前に梓がいそいそと追い出しにかかる。

 

「え、えぇ〜、そんなぁ〜!梓先輩と一緒がいいですぅ〜!!

 

「梓ちゃん♪あなたは日吉さんをおもてなしして頂戴♪」

 

にっこりと千鶴さんが梓に命令する。

 

「あ、姉貴ッ!き、汚ねーぞっ!!

 

「ねぇ〜♪せんぷぁ〜い♪あたし、鶴来屋の中が見たいですぅ〜♪」

 

「わ、分かったッ!分かったからっ離れろッ!!」

 

ギャーギャー騒がしい2人は、とりあえず医務室を離れていった。

バタン・・・・。

ガチャ!

!?

 

「あ、耕一さん、はいこれ♪」

 

と、再びドアから上半身をのり出したかおりちゃんが、

俺に向けて何かの紙きれを差し出した。

 

「・・・・何だい?コレ?」

 

手渡された紙を見てみると、

『特急たかやま ¥7、850』

 

「ナ、ナニコレ・・・?」

 

「あたしの特急代金ですぅ!あたしの御蔭で彼女が帰ってきたんですから〜

 それくらい気持ち良く払って下さいね♪」

 

・・・・・・・・このガキ・・・。

バタン

 

今度こそ医務室を出て行った・・・。

・・・・・なんで俺が特急代金を・・・。(汗)

 

「耕一くん。」

 

足立さんが口をひらいた。

 

「・・・・・・。」

 

正直、今の足立さんにはいい気がしない。むしろ、腹が立っている。

 

「耕一くん、今回の件は小出さんや君に大変申し訳ない事をした。」

 

「・・・・・え?」

 

「私も・・・歳だね。すっかり後継者問題に焦っていたんだ。

 ・・・・・・大人気ないと思っている。許してくれないかい?

 小出さんにも、改めて謝罪させてもらうよ。大変失礼な事をした・・・!」

 

「あ、あの・・・私はもう・・・・・気にしてませんから!」

 

「足立さん・・・・。」

 

なんか少し、気が晴れた。

・・・・って、おい。そこの残りの姉妹。

なぜそんなにつまらなそうな顔をしている・・・・。

 

「お兄ちゃん・・・?」

 

おどおどと初音ちゃんが傍によってきた。

 

「うん・・・何?」

 

「あの・・・もう大丈夫?変じゃない?」

 

「えっ?何の事か分かんないけど・・・。正直、記憶がおかしいんだよ。」

 

「・・・・そう。・・・良かった♪」 (にやそ)

 

・・・・・待て。

・・・・なんだ?その嫌な笑みは!? (滝汗)

俺はベットから体を起こそうとすると、

 

「・・・痛ッ!な、なんだぁっ!?体中傷だらけじゃないかっ!」

 

「耕一さん、実はあの後、車道でトラックにはねられたんですよ。」 (にっこり)

 

・・・・嘘だ。

絶対何か隠してる。 (汗)

そのニコニコ顔の裏側が殺気で渦巻いているのが何よりの証拠だ・・・!

 

「・・・・・耕一さん。」

 

「なんだい?楓ちゃん。」

 

「・・・・・・結局・・・小出さんは耕一さんの何なんですか・・・。」

 

し〜ん

 

・・・今、それを・・・聞くか・・・?

 

「ゆ、由美子さんは、俺の数少ない、大切な・・・と

 

「友達以上、恋人未満かな♪」

 

ほわっとっ!?

 

ゆ・・・ゆ・・・由美子さんっ!あ、あんた・・・何をっ!?

刹那、柏木姉妹の顔がピシリと凍る・・・。

由美子さんは俺の方を向くと顔を赤らませ、

 

「ちょっとは・・・私にも勝ち目があるかも。」

 

にこっ

 

と、爽やかな笑顔・・・・。

そして、その背後に佇む、柏木姉妹の

詐破邪渦な・・・・獲餓汚・・・・。

 

このまま隆山からヘリでレスキューされたい・・・。


 

(次回ッ!最終回ッ!!これにて一件落着ッ!?)