鬼兵般家長 最終話



DIE34話 鬼はぁー家ッ、福はぁー外ッ! 

          〜獲否狼愚・ウ〜チのかばんに汚悲惨ひとつ〜


・・・・・ん?

翌朝、いつもの見慣れた和室で俺は目を覚ました。

そうか、昨日帰ってきたの遅かったからな・・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・。

・・・誰かが隣で寝ている・・・・。

俺の背後から寝息が聞こえる・・・・・。

っていうか、背後から抱きつかれているんだけど・・・・。

こんなお茶目な事をするのは

楓ちゃんか、初音ちゃんだと思いたいが・・・・。

どうみても体格からして、もう少し大きい。

・・・・千鶴さんか?

・・・・いや、違う・・・・。

・・・・・この背中に当たる感触は・・・・。

勇気を出してなんとか肩をひねって振り返ると・・・。

・・・・・梓、マジカヨ・・・。

なんと信じられない事に梓が

俺の背後でスースーと寝息を立てていた。

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・んん・・・・ほへ?

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・!・・・あ。」

 

「・・・・・・ナニシテンノ?キミ??」

 

「・・・・・・おっす。おやよう。」 にっこり

 

ドタドタドタドタッ

 

スパーンッ!!

 

物凄い勢いで障子が開かれたと思うと、

朝からタウリン1000mgの千鶴さんが殴り込み!

 

「あぁーっ!!やっぱりここにいたのねっ!!」

 

「ハワワッ!あ、あの・・・ボ、ボクは無実デスッ!!」

 

「・・・・ったくんだよ。姉貴。今日は休みだろ?・・・もう少し寝かせろっての。」

 

そう呟くと、梓は布団に潜り込んで更に俺に抱きついてきた。

 

「虎羅。告白したとたんに大胆じゃねーか?あ?」

 

ヒッ!あ、梓・・・お、起きてくれぇぇ・・・!!」

 

「・・・うるっせーな・・・アタシにだってこうする権利はあるじゃん・・・。」

 

いや・・・君達姉妹にそんな権利は無いが・・・。

わなわな・・。

激しく小宇宙(コスモ)を高める千鶴さん。

最早いつ、ペガサス・ローリング・クラッシュが炸裂してもおかしくない・・・・。

その時!

スパーンッ!

シュン!

シュン!

 

「オワッ!!」

 

「・・・ん!?」

 

東側にあるもう片方の障子が開かれたと同時に

数本の包丁がこちら目掛けて飛んできた。

かけ布団と跳ね除け、それを紙一重で避ける俺と梓ッ!

 

ドスッ

 

ドスッ

 

「ゴルァッ!朝からなにいちゃついてやがるんだっ!!」

 

「は・・・・初音ちゃん!お、俺まで刺さるところだろ!!」

 

「初音・・・前から言ってるだろ!台所用品は大切にしろって!」

 

「あ?コラ言ってんじゃねー!おめーはそもそも最後っぺなんだから

 兄ちゃんになれなれしく触るんじゃねーよっ!!」

 

「い、いや・・・それも何かおかし・・・

 

「妹のクセに・・・デカク出たじゃねーか?拳で語ってもいいんだぜ?」

 

「千鶴姉ェ・・・援護を頼むぜ。」

 

「初音ッ、いいわよ。やっておしまい♪

 

ウバシャ〜〜ッ!!

 

朝からこのテンションじゃ身が持たない・・・。

俺は命からがら部屋を抜け出すと、玄関に向かった。

 

ぎゅっ。

 

!?

 

突然背後から抱きしめられた。多分、楓ちゃん。

 

「・・・・・おはよう。ダーリン。」

 

「や、やは・・・楓ちゃ

 

「・・・・家ではエディフェルって呼んで下さい。」

 

「え、えでぃふぇる・・・おはよう・・・・。」

 

「・・・・・声が震えてますが・・・?」

 

「いや、別に、気のせいじゃないかな・・・・ははは。」

 

「・・・・・で、今からどちらへ?」

 

「う・・・・。」

 

「・・・・・鶴来屋ですね?」

 

「・・・・・アハ♪バレちゃった?」

 

「・・・・・昨夜、エンジェル様が教えてくれました。」

 

「ハ・ハ・ハ・・・・・ハァ・・・。で、ウンモ星人さんは何て?」

 

「・・・・・チャネリングはもうやめました。」

 

「えッ!?そ、そうなんだ!それは良かっ・・・ゲフンッ!」

 

「・・・・・代わりに、こっちを初めました。」

 

チャララ

 

ポケットから小さなチェーンを出し、それを指からぶら下げる楓ちゃん。

チェーンの先端には、なにか逆ピラミッドみたいな奇妙なオブジェが・・・。

 

「・・・・・な、何?それ?」

 

「・・・・・ダウジング、始めました。」

 

・・・・・・・・どっかの中華料理店の広告みたいだね。

 

「で、やっぱ・・・ついてくるの?」

 

「・・・・今日はいいです。エンジェル様が大丈夫だと言ってます。」

 

「は、はぁ・・・そうっすか・・・。だけど・・・その・・・・・ね?」

 

「・・・・姉さん達には黙っておきますので。」

 

「あ、ありがと。じゃ行ってくるよ。」

 

玄関を出て、冬の日差しの暖かさにのほほんとしていると

家の方から・・・・

 

「ハッ!?こ、耕一さんは何処へ行ったのっ!?」

 

「そ、そういえばいねぇっ!!バカッ何やってんだよっ!!」

 

「チィッ!野郎ッ!どさくさにまぎれて逃げやがったっ!」

 

「まだ近くにいるかもしれないわっ!急ぐのよっ!!」

 

「あんにゃろ・・・お仕置きの時間だっ!!」

 

「お兄ちゃんッ!どこだよっ!?」

 

全力疾走。

・・・・・・。

鶴来屋のロビーで待っていると

由美子さんがやって来た。

 

「おっす。おはよう。」

 

「ちぃーす。もてもて少年。」

 

「なっ!?・・・ヒデェよ!こっちは大変なんだからさ〜!」

 

「クスクス、ごめんなさい。冗談よ。」

 

「じゃあ、今日は雨月神社と南隆山にある美味しいイタリア料理店に御案内致します!」

 

「よろしく御願いします。耕一クン♪」

 

ギュッ

 

由美子さんが俺の腕に抱きつく。

 

「あ・・・あらら。」

 

「えへへ。」

 

照れくさいのでポリポリと頭を掻きながら

鶴来屋のロビーを出る二人・・・。

・・・・さてと、正月はどうやって切り抜けようかな?

などと考えていると、由美子さんが

 

「ねぇ、今度はみんなで遊びに行かない?」

 

「へっ!?な、なんで?」

 

「だって、なんだかんだ言っても、耕一くん、4姉妹の事気になるんでしょ?」

 

クスクスと意地悪な笑みをこぼす由美子さん。

 

「いやぁ・・・その・・・気になるってのは怖いとかそういう意味で・・・・。」

 

・・・・ッ!?

殺気。

♪〜〜〜〜♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪

鬼の聴覚からは

・・・どこからともなくヴァイオリンの3重奏が・・・。

 

「ちょ、ちょっと待っててねっ!!」

 

「ん?どうしたの?」

 

俺は急いで庭園をぬけたところにある、高台の展望台に向かった。

そして、有料望遠鏡に震える指で100円玉を入れ、

急いで音のする方角に望遠鏡を傾けた。

 

!?

 

千鶴さん・・・梓・・・・初音ちゃんの3死舞が・・・・。

ヴァイオリンを弾きながら、横一列でこちらへ向かって来ている・・・・。

さりげなく特捜最前線を意識しているのだろうか・・・!?

大急ぎで由美子さんのいる場所に戻り、

 

「由美子さん!こっちこっちっ!」

 

「ちょ、ちょっと、どうしたのよ。クスクス。」

 

鬼さんが来たから、進路変更さ。こっちの海岸沿いを行こう。」

 

「クスクス、変な耕一くん。」

 

タタタタ・・・・・。

 

 

♪鬼さんこちら、手の鳴る方へ♪

♪鬼さんこちら、手の鳴る方へ♪

「あっはははっ!早くぅ!」

「ちょ、ちょっと〜!待ってよ〜!クスクス」

 

 

 

♪わ〜たし〜だけのじゅ〜じかぁぁ〜♪

♪わ〜たし〜だけのじゅ〜じかぁぁ〜♪

「フーッ!フーッ!!懲りない人ッ!!」

「あの野郎・・・乙女の心を踏みにじりやがって!」

「絶対、鶴来屋だよっ!ぶっ殺すッ!!

 

 

♪鬼さんこちら、手の鳴る方へ♪

♪鬼さんこちら、手の鳴る方へ♪

「ん?どうしたの由美子さん?」

「耕一くん・・・私・・・来てよかった♪」

 

 

 

♪わ〜たし〜だけのじゅ〜じかぁぁ〜♪

♪わ〜たし〜だけのじゅ〜じかぁぁ〜♪

 

「絶対・・・ぜーったい!ちーちゃんの旦那さんになってもらうんだから!」

「姉貴もいい加減諦めたら?家事出来ないっての致命傷だぜ?」

「お兄ちゃんは若くてピチピチしてるわ・た・しがお似合いだよ♪」

 

ゴシャッ!

 

「お子様は黙れや。」

「調子にのんなバカ。」

「・・・・・こいつら・・・いつか殺す。」 ガクガク


鬼は〜家ッ!福は〜外ッ!

アハハハッ

ガラガラ・・・・ピシャ。

 

 

(続劇)

第一部・


・・・・・ってなわけで、チャオ♪ (にっこり)