鬼兵般家長



DIE6話 も鬼んぐ娘。ー恋愛革命2002ー



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

対峙する2人の鬼娘。

そしてその間に挟まれた俺。(涙)

 

「今日という今日は勘弁ならないわ・・・このヒキコモリ!

 

「・・・・姉さん・・・・あんた、背中が煤けてるぜ・・・。」

 

「あなたには一度、誰がこの家の家長なのか、じっくりと修正してあげなければいけないと思っていたのよ。」

 

「・・・力を過信するのは構わないけど・・・愛の力には勝てないわよ・・・。」

 

「前世うんぬんとか誇大妄想にとりつかれてる子がなにを戯言を・・・。」

 

「・・・・・姉さん、偉そうなセリフは『千鶴のないしょ♪』でも出たら言えば?」

 

「・・・・・・・・・殺す。」

 

「や、やめろ2人共!姉妹同士で喧嘩なんてするなよ!」

 

「だまれッ、小僧ッ!」

 

「・・・ダーリン、おだまり。」

 

「はい。」

 

千鶴さんの目が獣のような耀きを放ち、手は巨大な鉤爪に変化する。

楓ちゃんもユラユラと背後に何かWith任意が・・・・。

 

「ふん、前世の亡霊を出したところで所詮は小娘。」

 

「・・・・・・年増は大人しく、ノッツェにでも入会してなさい。」

 

「ッ!!人が気にしてる事をー!!」

 

やっぱ気にしてたんかい・・・・。

 

「鬼門解放ぉぉーー!!!」

 

「・・・・耕一さん・・・・オラに元気を

 

はぁ?

 

阿修羅マン怒り状態の千鶴さんが、瞬時に楓ちゃんに飛び掛った!

 

『オラオラオラッ!』

 

すかさず迎撃する楓ちゃん。

 

「えぇいっ!ままよっ!」

 

俺は仕方なく二人の間に割って入った!

こうするしか最早止める方法が無い。

 

「二人ともいい加減にしろっ!」

 

「あっ!」

 

「・・・・あ。」

 

ぐしゃっ。

 

・・・・・・・・・・・・・。

 

綺麗だなぁ・・・・・・。

本当に綺麗な河だなぁ・・・・・。

あれ?誰か向こう岸にいるぞ?

・・・・・・・って、あれ親父じゃねぇか?

はっ!

 

「あ、こ、耕一!気が付いたか?」

 

「お兄ちゃん!生きてる?」

 

「い、痛ててっ!あれ?俺、一体どうしたんだっけ?」

 

「姉貴と楓の喧嘩に割り込んで巻き添えくったんだよ。

 ・・・ったく馬鹿だなぁ!すこしはこうなる事も予想しろよ・・・。」

 

「そ、そうか・・・それで、千鶴さんと楓ちゃんは?」

 

初音ちゃんが冷ややかな視線を送った先を見ると

千鶴さんと楓ちゃんが奥の和室で正座して、しゅんとしていた。

 

「あれ?二人ともどうしたの?えらくちぢこまってるけど・・・。」

 

「当たり前だろ。不注意で耕一に怪我させたんだから。

 いくら耕一が頑丈とはいえ、一歩間違えたら大変な事になってたかもしれないんだぞ。」

 

冷淡な口調で梓が言う。

鏡を見ると、俺の右の頬にはクマにやられたかのような裂傷

左の頬にはダイナマイト・パンチの跡があった。

 

 

「ごめんさい。」

 

「・・・・・ごめんなさい。」

 

「あ?ごめんで済んだらケーサツいらねぇぞ?虎羅。」

 

初音ちゃんがゲシゲシと二人の頭に蹴りを入れている。

・・・・・・嫌な光景だ。

 

「クッ・・・!」(ぎりぎり)

 

「・・・・・。」(ぶつぶつ)

 

 

俺は二人の前に歩み寄った。

鬼姑のような初音ちゃんをなだめながら

 

「ま、まぁ二人ともそんなに暗くなるなよ。


 俺はなんだかんだいって丈夫だし、明日には治ってるって。」

 

「ダメだよお兄ちゃん!お兄ちゃんがそうやって甘やかすから

 この2人が付け上がるんだよぉ。」

 

・・・・・・・・・・・・。(汗)

 

「クッ・・・は、初音ぇぇ〜〜〜。」(ビキッビキッ)

 

「・・・・・・・・・・・いわす。」(ボソボソ)

 

「なんだその目はぁ?それが反省してる態度かぁ?」

 

コンコン

 

初音ちゃんはオタマで二人を小突く。

 

「は、初音ちゃん・・・・。」

 

・・・・・・本当にこの姉妹、血が繋がっているのだろうかと疑いたくなる。

 

「はいはい、もうそこまでにして、耕一ぃ、御風呂に入りなよ。」

 

梓がツカツカと俺の傍までやってきて、ボフッとバスタオルを投げてきた。

 

「あ、ああ、そうだな。じゃあ御風呂頂くよ。」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・。

ザバァ

ふぅぅ・・・・。

柏木家の御風呂は鶴来屋ほど凄くはないが

それでも一般家庭ではまず御目にかかれないような御風呂である事に変わりは無い。

総天然ヒノキで造られた浴槽につかり、思わず溜息をついてしまった。

う〜ん♪ヒノキの香りって落ち着くよなぁ・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

 

ったく、初日からこんなテンションじゃ身が持たねーよ・・・。

相変わらずあの4姉妹はキテルし・・・。

・・・・これだから来たくなかったんだよなぁ・・・。

何故俺をほっといてくれないんだ?

俺は一人の方がいいんだ。むしろあまり関わってほしくもない。

・・・・・・・人と接するほど面倒くさいものは無いんだよ・・・・。

・・・・・・・・・・・・あ〜あ、

こんな事なら由美子さんを初詣に誘ったほうが・・・・・・・。

「・・・・・・・・・・。」

なんでそこで由美子さんが出るんだろう?はは、疲れてるな俺。

 

ガタッ

 

・・・・・・・・・・・・。

 

誰か居る。

 

「誰?誰か居るのか?」

 


・・・・・・・・・・・・。

 

居る。確実に居る。

湯気で覆われ視界が悪いが、俺は目を凝らして浴室入り口の摺り硝子を見た。

すると・・・・アンテナみたいなくせっ毛がユラユラと動いている。

・・・・・・初音ちゃんか・・・・。

やれやれ、何をしているのか既に予想出来てしまう俺が嫌だ。

 

「・・・・・初音ちゃん。」

 

「ッ!!」

 

「何してんの?そんなとこで・・・・。」

 

「お・お兄ちゃん・・・ば・ばれてた・・・?」

 

「うん。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「あ、あのね、お兄ちゃん・・・・。」

 

「うん。」

 

「わ、私が今からお兄ちゃんのお背中・・・」

 

「いらんっ!!」

 

「・・・まだ最後まで言ってないけど・・・。」

 

「背中は流さなくて結構。いいよ、もうあがるから。」

 

「・・・・・・あ、あぁ〜っと!!足がつまずいたー!!!」

 

ガラッ!

 

・・・・・どんだけ強引やねんっ!

 

なんと、初音ちゃんは強引に浴室に乱入してきたのだ。

 

「ま、ま、ま、待たれよ!ご、御乱心かっ!

 

「あ〜あ、浴室に入っちゃった♪ついでだからお背中流すよ。お兄ちゃん♪」

 

「す・す・素っ裸ってオチじゃないだろうな!」

 

「えぇっ♪素っ裸の方が良かったのぉ〜?」

 

・・・・・・・もうヤダ、この子・・・・。


湯気のせいで初音ちゃんがよく見えないが、素っ裸では無さそうだ。

ヤレヤレ・・・・。

こうなってしまっては、さっさと流してもらって御取引願うのが得策だな。

 

「分かったよ、じゃ御願いするよ。」

 

「はぁ〜い。」

 

初音ちゃんがピトピトとこちらの方へやって来ると・・・・・・。

 

!?

 

「あ、あ、あ、茜ですとぉぉぉーーー!!!」

 

初音ちゃんの姿を見た俺は、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。

彼女の姿は・・・・・・・

 

 

 

 

 

スクール水着だった。

 

 

(つづく)