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「ふぁ〜あ。」

 

大きな欠伸をしながら、俺は目の前の安っぽいカツ丼を箸で突付きまくる。

 

「クスクス・・・もう、どうしたの耕一くん?」

 

対面のテーブルに座っている由美子さんが微笑みながら

ヨーグルトの入った容器をクリクリとトレーの上で廻した。

 

「いや、後期試験も終わっちまったから・・・なぁ〜んか疲れちゃって。ハハハ。」

 

『くかか。よく言うぜ柏木。お前開始早々15分で寝てたじゃないか。』

 

『せやせや、柏木くんめっちゃ寝てたで?うちも見てたわ。』

 

すかさず横槍を入れてくる同じゼミのヴォケども・・・。。

・・・・・・だってしかたないじゃん。

鬼の力を使った脳内ドーピングの反動なんだから・・・・。

 

―― 昨夜

 

「ふぉぉぉ!!またカラフル・キッスに没入して明日の試験勉強してねぇぇ!!」 ゴロゴロ

 

パソコン画面に映る若葉たんをスクリーンキャプってる最中に

ようやく事の重大さに気付いた俺は部屋中をのたうちまわる。

前期試験はあの4死舞に呪いでもかけられたのかと疑いたくなるような散々な結果。

いや、ぜってぇーあれ呪いだって!!

と、兎に角!今回の後期試験で単位を落とす訳には絶対にいかない!

 

「こ、こうなったら致し方あるまい・・・禁断の秘技を使わねば・・・・。」

 

・・・・・・ゴゴゴゴゴ

俺はゆっくりと鬼の力を解放し、頭部に力を集中する。

・・・・う〜〜〜〜〜〜〜

 

キッスッ!

あれれ、おかしいなこのドキドキは 鬼みの腕の中であふれだす

ポロリこぼれた涙さくらんぼ もっとぎゅっとずっとし〜てて

スキスキスキスーキス鬼スキス

スキスキス鬼スーキスキス

ハイハイッ!

ほらほらほら!スカラー波が入ってキターーー!きゅんきゅん♪

 

脳内が急速に活性化され、見違えるような爽快感に満たされる。

目の前のデスクを眺めると、まるでプログラミングで具現化されたように文字の羅列が見えてきそうだ!

(※注 これは一般的にトリップという危険な状態を指します。)

 

「よしッ!ちゃっちゃと暗記して単位ゲトーだぜ!げへ、げへ。」

 

・・・・・・・その前にセーブ、セーブっと。 (クリック

しっかりカラキスのセーブデータを保存して、俺は本棚にある参考文献を意気揚々と開けた。

 

「よし!耕一、逝きまーすッ!」

 

・・・・パラパラパラ!

 

アペタイトショクヨク

アペタイトショクヨク

 

「・・・・あれ?何か変じゃないか、この文献・・・。」

 

郷土文献を開けたつもりが、中身は訳の分からない英単語だらけ。

そっと表紙捲ってを見ると・・・・・

 

【スー●ーソニック英単語記憶術】

 

「伝説のクソ参考書じゃねーかッ!」 (バンッ

 

―― んでもって徹夜の結果

・・・・脳みそを急激に酷使した為、眠気・鬱・幻覚という非常にゴキゲンな状態に俺は陥っていた。

とりあえず開始15分でさっさと問題を解いて、俺は眠りこけていたのだ。

 

「ふっふっふ・・・甘いな。あんな問題15分で十分さ・・・。」

 

俺は自信満々に鼻を鳴らすと、ゼミの連中が小馬鹿にしたような表情を浮かべる。

 

『はいはい。分かったって。もうえぇもうえぇ。』

 

『あの問題15分でなんか解ける訳ねーっての!』

 

『ってい〜か〜。柏木君っていっつも成績ギリって感じじゃ〜ん?』

 

・・・・このファッキン・ジャップどもが・・・。(怒)

―― ピーンポーンパーンポーン♪

 

【学生の呼び出しをします。文学部郷土史学科2回生の柏木耕一さん。

 時目貴教授が御呼びです。まだ大学にいらっしゃるようでしたら

 至急純夏館48000号室へお越し下さい。繰り返します・・・・】

 

―― ピーンポーンパーンピーン♪

 

「・・・・・・・俺?」

 

俺がキョトンと自分を指差すと、みなが一同に頷く。

 

「何だろ?レポートは提出したんだけどなぁ・・・・。」 ガタリ

 

残っていたお茶を飲み干すと、俺は学食の席を立った。

 

「あの、耕一くん。・・・・

 

何かを言いかけた由美子さんに俺は苦笑しながら言葉を続けた。

 

「あぁ、いいよ。今日はちょっと微妙になってきたからさ。先に帰っててよ。」

 

「・・・・あ、うん。ごめんね。」

 

ちょっと寂しそうな由美子さんやゼミの連中に軽く別れの手を上げた後、俺は学食を後にした。

そんな俺の後姿を見送っていた由美子さんにゼミの女の子が悪戯っぽく絡み始める。

 

『ねぇ、柏木くんってさぁ・・・最近なんか明るくなったよね。』

 

「そ、そうかな?」

 

『なぁ〜んかこの頃妙に由美子も親しく話してなぁ〜い?』

 

ニヤニヤしながら意味深発言を吐き出すと、由美子さんが頬を赤らめた。

 

「そそそ、そんな事ないよ。普通だよぉ!」

 

『ゲーッ!マジかよぉ〜!小出さん、あんなオタの何が良いんだよぉ〜!』

 

・・・・・・・・・しっかり聞こえてるぞ、カス。←鬼の力で地獄耳

・・・・。

・・・・・・・・。

コンコンッ。

 

「失礼しまぁ〜す。」

 

時目貴教授の部屋に入ると、黙々と採点作業の真っ最中のようだった。

 

「・・・・・・・。」 カリカリカリ

 

「・・・あの?教授?」

 

「・・・・・・・まぁ、そこに座りたまえ。」

 

「は、はぁ・・・・。」

 

何処と無く嫌なムードが漂う部屋で、俺はおずおずとソファに座って教授の様子を伺う。

するとしばらくして教授が振り返り、冷たい視線を俺に万遍なく降り注ぎながら口を開いた。

 

「・・・・柏木くん。君は大学をなめてるのかね?」

 

「は?」

 

教授は俺の提出した解答用紙を取り出すと、俺の目の前に提示する。

その解答欄には・・・・・・

 

問題1 アペタイトショクヨク

問題2 アペタイトショクヨク

(以下略)

 

「次(単位)はないと思ってくれ・・・・。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

柏木耕一の脳内メモリ容量(※鬼の力で拡張したフラッシュ・メモリ)・・・・・・・20バイト也。

 

 

 

鬼兵般家長
R E L O A D E D

 

 

・・・散々な一日だった。

結局今日の試験の単位は落としちまったし・・・・。

アホー、アホー ←カラス

 

「こんな鬱な日は・・・カラキスやるに限るぜ!」

 

カチャカチャ

俺はアホな事を口走りながら勢いよく自分のアパートの部屋の扉の鍵を開けた。

ガチャ

 

「さぁ義理妹達よ!俺を癒してくれぇぇ〜〜!!」 ←軽くスキップ

 

「あら♪耕一さん、お帰りなさい♪」

 

!?

 

目の前のコタツには正座してお茶をすすっている千鶴さんが・・・・。

バタンッ! ←扉を閉める音

カンカンカンッ! ←階段を駆け下りる音

 

「ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・・!!」

 

俺は転がるように道路へ飛び出ると、向こうからやってくるタクシーに手を上げた。

 

「タ、タクシ〜!!」 ←裏声

 

ブロロ〜〜キィー。

 

「はい、どちらまで?」

 

カチャ

 

「い、今すぐ空港までお願いします!!ぜ、全速力で!!」

 

『鬼ング・クリム損ッ!』 ヴァオッ!

 

!?

 

タクシーに乗り込もうとした瞬間、いつの間にかタクシーは扉をしめ走り去っていた。

―― 時間が消し飛ばされた!

・・・・コツ、コツ、コツ

禍々しいハイヒールの音が背後から聞こえてくる。

 

「ほほほほ・・・・何処へ行こうと言うのだね?」

 

「は、はぁぁ〜!?」

 

ガクガク震える膝を引き摺りながら、その場を何とか逃げだそうとすると

 

『チェーン・ジェイル(拘束する鎖)』

 

ジャララララ!

楓ちゃんお約束の鎖が飛んできて、あっという間に俺の胴体に巻付いて離れなくなった。

 

「わぁぁぁ!」


耕一は死んでしまった
→ホームポイントに戻る
残り時間 59:40

 

誰か・・・誰かボキにレイズをぉぉーーー!!!(号泣)

思わず現実逃避してあっちの世界に逝きそうになっていると、

 

「・・・・耕一さん、いつまで脳内でヴァナってるんですか?」

 

「ハッ!?」

 

楓ちゃんの一言で俺はリアルワールドから覚醒する。

いつの間にか俺の部屋に連れ戻され、目の前には・・・・お約束の死舞達。(号泣)

本日のパーティーは以下の通り


※( )内の見方−種族 職業 レベル
千鶴    (鬼            スタンド使い                  Lv90)
楓       (転生女     ブラックリストハンター    Lv86)
初音    (ロリ          魔法【マジカル】少女      Lv77)

人とも『とてもとても強そうだ』と表示されている。


「あろは〜耕一お兄ちゃん、あろは〜♪」

 

独特のくせッ毛をゆんゆんと弾ませながら初音ちゃんが目の前で手を振った。

 

「今日はなんの御用で御座いましょうか?」 (滝汗

 

「・・・ダーリン、今日で後期試験終わり。」

 

・・・ッ!

 

「おほほ。耕一さん。明日からフリーですわよね?」

 

一体どこで俺の予定を仕入れてきやがるんだ?

 

「誠に恐れ入りますが、本日の営業は終了いたし・・・

 

ドガッ!

 

「くぃだふッ!?」

 

久しぶりに千鶴さんの蹴り炸裂。

さっき食べたカツ丼が長江の逆流現象状態になりかけた。

 

「わざわざ来てあげたのにその言い方はなんですか?虎羅。」

 

こ、来なくてええっちゅーねん・・・・。

 

「・・・・ダーリン。可哀想。」

 

ぎゅっ

悶絶する俺を楓ちゃんが優しく抱きしめる。

 

「ちょ、楓ッ!何してんのよ!」

 

「ゴルァ!楓!どさくさにまぎれてハネてんじゃねー!」

 

「・・・ダーリン・・・ダーリン♪」 ごろごろ〜

 

ぱふぱふ♪

あ、あれ・・・?何か前よりも胸がふくよかになって・・・・。

 

「成長したね・・・楓ちゃん。」 (感動

 

よく分からないが思わず嬉しくなって口を滑らしてしまった。

すると初音ちゃんがカチンとなってすかさず俺の右手を掴むと、自分の胸に押し当てた。

 

「わ、私も成長したよぉ!お兄ちゃん!」

 

「お、おぃおぃ!」

 

ふにふに♪

 

「あれ・・・そう言えば。」

 

「あん♪お兄ちゃん大胆・・・♪」

 

「・・・・そんな声出さないで下さい&無理やり揉ませないで下さい。」

 

千鶴さんも息巻いて俺の左腕を手にとって苦し紛れのセリフを吐く。

 

「ち、ちーちゃんも成長したもん!」

 

やっぱり来たよ、このねーちゃんは。

 

「いや、あんた成長期終わってますがな・・・。」

 

し〜〜〜〜〜ん。

まずい・・・千鶴さんから殺気が・・・・。

 

「あ!いや!ぼ、ぼぼぼ僕はナイチチも嫌いじゃないすよッ!?」

 

『鬼ング・クリム損ッ!!』

 

ドグワシャッ!

・・・・・馬鹿だな・・・俺って・・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

 

「で・・・マジで一体どうしたんすか?突然押しかけてきて・・・。」

 

「押しかけて・・・?」 にっこり

 

「い、いや!訪ねてきて・・・です。」

 

頭部を包帯でグルグル巻きにした俺は、楓ちゃんがいれてくれたお茶を口に運びながら

千鶴さん達に事の次第をたずねてみた。

 

「耕一さん・・・実は梓の事なんですが・・・。」

 

「はい?」

 

・・・・・・あれ!?

 

「そういえば・・・・梓は今日来てないんすか?」

 

千鶴さんは半笑いの能面のような表情だ。

まずい・・・嫌な予感がする。

この表情の時の千鶴は・・・間違いなく超不機嫌なのだ。

 

「実は・・・・梓が家を出ました。」

 

「えぇッ!?そ、それって・・・家出?」

 

「はい・・・・もう家を出て1週間以上になります。」

 

どんどろどろ・・・・。

怖すぎる千鶴さんの顔のせいで、部屋の周辺にいきなり障子があわられ竹林の影が映る・・・。

部屋は蝋燭の炎だけで照らされた暗闇・・・・そんな幻覚が見えてしまった。

 

「り、理由は何ですか・・・?」

 

「・・・・・。」

 

千鶴さんがしばらく口を噤む・・・。

梓が家出するって事は、

どうせまたしょーもない事をしたんだろ・・・・この姉ちゃんは・・・。

 

「・・・大学の事です。」

 

「大学・・・?あ!そうか!梓は今年受験生か・・・。で、何で?」

 

「その・・・大学の事で色々とありまして・・・。」

 

「大学の事で?もしかして・・・何処の大学を受けるとか、そう言った進路の話っすか?」

 

更に追求すると、千鶴さんは急にバツが悪くなったように・・・胸元で両手でイジイジし始める。

・・・そろそろ核心に近づいてきたな。(汗

はっ!?ま・・・まさか・・・・。

俺は横に座っている楓ちゃんに問いかける。

 

「か、楓ちゃん・・・まさか梓の志望校って・・・。」

 

「・・・・・枯葉大学です。」

 

ジーザスッ!!

 

「耕一さぁ〜ん!酷いのぉ〜聞いてぇ〜!

 梓ったら〜ちーちゃん達から抜け駆けしてぇ〜

 自分だけ耕一さんと一緒の大学に行くって言い出すのぉぉ〜!」

 

ガバッ!

突然千鶴さんは頭の回路が切れたように、猫なで声を出して甘えてくる。

 

「あーそう。そーですか。」

 

やめろ、キモイから・・・。

 

「何となく話が読めてきました・・・それで、千鶴さんは何て答えたんですか?」

 

千鶴さんは何処からともなくマダムパイプを取り出すと、火をつけて一服し

フーッと優雅に煙を吐き出すと一言。

 

「行かす訳ないでしょ。」

 

(;´Д`)

 

「枯葉なんて3流大学、どうしてわざわざ行かせなきゃならないんですか。」

 

・・・・俺、そこの学生なんすけど。(怒

 

「私たち柏木家本家の人間は・・・・そもそも隆山から外に出るべきではないんです。」

 

少し憂いのある表情を浮かべて千鶴さんが呟いた。

 

「・・・・千鶴さん。」

 

だったら2度と隆山から出てきくれるなとツッコミたかった。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

 

『隆山ぁ〜、隆山です。御乗車ぁーありがとぅーございましたぁー!』

 

「嫌ぁ〜!もう帰してぇ〜〜!!」

 

「お兄ちゃん!往生際が悪いよぉ!」

 

3死舞にズルズルと引きづられながら、駅のホームで泣き叫ぶ俺。

 

「耕一さん!貴方が説得してくれないと、梓言うこと聞かないんだからぁ!」

 

「んなのあんたらで解決してくれよぉ!ボキは明日は由美・・・ッ!」

 

ピクッ! ←千鶴さん

し、しまった!!

思わず口から由美子さんの名前を出しそうになり、慌てて口を閉じるが後の祭りであった。

 

「由美・・・・なんですって?」 にっこり

 

千鶴さんが俺の首を締め上げながら優しく微笑みかける。

 

「・・・・!!」 

 

俺は必死に首をブンブンと横に振るが聞き入れてくれない。

 

「小出・・・・由美子かえ・・・・・?」 ゴゴゴゴゴゴ

 

「ぢ・・・ぢがいばす!・・・ぢがいばずぅぅ!!」

 

「楓ぇッ!」

 

千鶴さんの咆哮!楓ちゃんがコクリと頷き

 

『ゴールドォ〜エクスペリエンスッ!(※黄金体験)』

 

ひぃ!?

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!!!!』

 

「やだぶぁー!!」

 

隆山駅の公衆の面前で俺は文庫本で例えるとゆうに10P以上は無駄無駄を叩き込まれた。

無論、楓ちゃんの何かWith任意は一般人には見えないので

周囲の人間は、駅のホームでエレクトしてる俺がさぞキティに見えたに違いない。

 

−柏木家−

 

「で、俺を連れてきたんですから凡その検討はついてるんでしょ?」

 

「当然です。梓は隆山市内にはいます。」

 

「だろうね。どーせ友達の家とかに転がりこんでるんだな。」

 

俺は溜息をつくと、初音ちゃんが作ってくれた晩御飯の食器をかたずけてコートを羽織った。

 

「・・・・・・・耕一さん?」

 

楓ちゃんが離すまいとばかりにコートの袖を握る。

 

「・・・・もしかして、逃げる?」

 

「いや・・・別に逃げやしないよ。」

 

逃げたら殺されるだろうが!と言いたい気持ちを我慢して俺は苦笑する。

 

「梓が市内にいるってんなら簡単さ。大体の出没場所は検討ついてるし・・・・。」

 

ガララ

 

「逝ってきま・・・・って、あんたら何してんの?」

 

「「「え?」」」

 

千鶴さんも楓ちゃんも初音ちゃんも、いつの間にか外逝きの服装に着替えて靴を履こうとしてる。

ってか初音ちゃんはそんな格好で外を歩くなと言いたくなるようなコスプレチックな格好・・・・。

 

「いや・・・あのぉ・・・俺一人の方がいいと思いますが・・・。」

 

「えぇ〜!やだぁ〜!ちーちゃん耕一さんとデートするのぉ!」

 

「・・・・・・ダーリン、私とホテルに・・・。」

 

「ゴルァ!お前らアツカマシイんだよ!お兄ちゃんは私と逝きたがってるんだから!」

 

誰とも逝きたくねーっての!!(号泣)

・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

しぶしぶ諦めた3死舞を尻目に俺は夜の隆山市内に向かった。

 

「うぅ・・・寒い・・・!ったく、何で俺が・・・。」

 

ブツブツ文句たれながら、すっかり冬景色に彩られた隆山市内を散策する。

携帯電話の時計は20時を表示している。

梓の事だから・・・大体平日のこの時間は・・・・。

俺は記憶の糸を手繰り寄せ、隆山のショッピングセンターに足を運ぼうとした。

 

「・・・あ!忘れてた・・・由美子さんに電話しないと!」

 

本当なら明日、由美子さんと東京美術館に行くはずだった事を思い出し、

慌てて携帯電話を手にする。

・・・・ピッピッ。

・・・・・・・・プルルルル。

・・・・・・・・・・・・・プルルルル。

なかなか由美子さんは出てこない。

 

「っかしーなぁ。もしかして試験後の打ち上げかな?」

 

ブツッ

あ!やっと出た!

 

「あ、由美子さん?柏木だけ・・・・

『小出由美子かえ?』←千鶴さんの声

 

「おわーーーッ!?」

 

思わず大声で叫ぶと震える指で慌てて受話ボタンを切にする。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・!こ、腰が抜けそうになった。」

 

〜〜♪

ビクッゥ!

今度は逆に携帯から着信メロディが流れ始めた。

恐る恐るディスプレイを見ると・・・・

 

『ノトーリアス・モンスター』 ←千鶴さんの登録名

 

「ひ、ひぃっ!?」

 

出ようか出まいか悩んだ挙句、後が恐ろしいので仕方なく受話ボタンを押すと・・・

ピッ♪

 

「はい、耕・・・・

『虎羅?』

 

「・・・・・・・・・。」

 

『梓探しとんのとちゃうの?あ?』

 

「は・・・はい。」

 

『あんましハネた事してたらイワすぞ?汚羅?』

 

「す、すみません!すみません!」

 

ブツッ・・・ツー・・・ツー・・・・。

人ごみの中で・・・僕は静かに泣いた・・・・。

 

 

20時過ぎのショッピングモール。閉店まであと1時間という事もあり、

いつもは賑わっている建物内も人がまばらだ。

梓は人込が嫌っているから、大体この時間にここで買い物する事が多い。

参考書や漫画、あと意外ではあるが編み物の素材とか。(苦笑)

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・うーん。居ない。(汗)

おっかしいな。予想ハズれたかな?

目の前の書籍コーナーには後姿の女性が一人、料理雑誌を立ち読みしてる。

あとはアフロの男がテックジャイアンをニヤニヤしながら座り読み・・・・。

編み物のフロアはさっき立ち寄って誰もいなかったのを確認しているので、

どうやら梓はここにはいないようだった。

 

「・・・しょうがない。商店街の雀荘をあたるか・・・。」

 

溜息をついて踵を返そうとすると・・・

 

「こ、耕一ッ!?」

 

背後から驚いた梓の声が・・・。

びっくりして振り向くと・・・・

 

「あ、梓!?」

 

何と驚いた事に、料理雑誌を立ち読みしていた女性こそが梓本人だったのだ。

 

「ど、どうして耕一がここにいるのよぉ・・・・!?」

 

ドギマギしながら梓が慌てて会計を済ませた料理本を手にとって駆け寄ってくる。

 

「い、いや・・・話せば長くなるんだが・・・端的に言うと拉致られた。」

 

「はぁ・・・何言ってんの?あんた?」

 

この時、俺は平静を装っていたが梓の外見の変わり具合に内心では驚いていた。

もともと柏木家の女性の中では群を抜いてプロポーションが良く、顔も当然美人だが、

何より肩まで伸びた髪が、ボーイッシュだったショートカットの頃よりも、彼女の女性らしさを際立たせていたからだ。

 

「な、何ジロジロあたしの顔見てんだよ?」

 

俺の視線に気付いたのか?梓はちょっと照れながら意味深な笑みを浮かべて呟いた。

 

「・・・・ちょっとはマシになっただろ?」

 

「な、何言ってんだよ。髪伸ばしただけだろが。」

 

「へへ。クラブも引退したから伸ばしてみようかなって。」

 

そう言うと梓は俺の腕を手に取り、歩き始めた。

 

「お・・・おぃおぃ!?」

 

「ここで立ち話もなんでしょ?どうせ姉貴に頼まれて来たんだろ?」

 

「・・・御名答。」

 

駅前の喫茶『スミカ』に入ると、俺達は窓際の席に腰を下ろした。

 

「・・・・・でだ。早速本題に入りたいんだが・・・。」

 

「ふぅ・・・耕一には悪いけどさ、あたしは帰る気ないから。」

 

「いきなり出鼻を挫くなよ・・・。」

 

苦笑しながら俺はコーヒーカップの匙を回す。

すると梓が急に真剣な顔になり口を開いた。

 

「・・・・・・どうしてあたしが枯葉大学受けたいって言ったか、あんた分かってる?」

 

「・・・う。」 (汗)

 

「あたし、本気なんだから。耕一の事、本気で好きなんだよ?」

 

「マ、マジと書いて本気と言われても・・・。」

 

ギュッ。

梓はじっと俺を見つめながら、俺の手を握り締める。

 

「耕一・・・・、あんた、ホントは一体誰が好きなの?」

 

「そ、そんな事わかんねーよ!」

 

「はっきりしてよ!バカッ!あんた本当は・・・・・

 

ヴォンヴォヴォヴォンヴォンヴォン・・・。

突然駅前の大通りを珍走団が走ってきた。

まるで北斗の拳のOPに出てくるような出で立ちで爆走する彼奴らのバイク。

五月蝿くて途中から梓が何を喋っているのか聞こえなくなった。

ブチッ

 

「・・・・・ブ、ブチッ?」 (汗)

 

梓は無言で席を立つと、ツカツカと喫茶店の扉から外へ出て行ってしまった。

 

「ッ!?お、おぃ!?」

 

嫌な予感が・・・・・・・。

パラリラパラリラ♪

パパパパパパパパパパパパー♪ ←ゴッドファーザー愛のテーマ

 

『おら?っちゃらってんでコラ?』

『かっとばすぜ?夜露死苦?』

 

ゆうに20人近くはいるであろう珍走団の前に・・・・立ちはだかる梓。

 

『あ?なんだあのアマは?』

『おう?コラ?ねーちゃん轢き殺すぞ?あ?』

「・・・・・・スゥゥ・・・。」

 

御待ちくださいッ!お姉さまっ!!

思わず右手にロザリオを持って泣き叫びそうになる俺。

 

「うるせーんだよッ!てめぇらぁぁぁッ!!!」

 

ごしゃぁッ!!

梓の粉砕する右手(スネークバイト)炸裂ッ。

先頭にいた二ケツのバイクは空中分解。

 

『ロシアンラストエンペラーッ!?』

『祥子さまぁ〜!?』

 

断末魔を上げながら錐もみ状態で華麗に吹っ飛ぶ珍走団。

 

『な、何しやがるっ!?』

『こらぁ!!イワすぞアマァ!!』

 

後続の男達がビキギレながら梓を取り囲もうとすると・・・・・・

 

「人が大事な話してる時に、チンケなノイズで邪魔すんじゃねーよッ!!」

 

ドガァ!

バキィ!!

ボキィッ!!

あっという間に10人ほど一喝。

 

『ひぃ!?な、なんだこいつはぁ!?』

『人類(ヒト)と戦う気すらしねぇ!』

『こ、こいつ・・・!薔薇赫命のアズサじゃねーか!?』

『ほ、ほんとだ!薔薇赫命のアズサだッ!!』

 

・・・・・なんです?その薔薇赫命って・・・・。(滝汗)

わたわたとその場から退散しようとする珍走団。

すると・・・・・

 

「邪魔よ。おどき。」

 

ドゲシッ!

 

『げぼあッ!?』 ズザザァー

 

こちらへ歩み寄って来ていた女性に蹴飛ばされ、ゆうに10メートルは地面を滑走する哀れなヤンク。

女性に視線を向けると、案の定千鶴大先生だった。

 

「・・・梓ちゃん・・・・・。」 にっこり

 

「姉鬼・・・・!」

 

つかつかと歩みよる千鶴さんを見て、梓の表情が一段と険しくなる。

 

「貴方がいなくなってから家事する人間が誰もいなくなってちーちゃん困ってたのぉ。」

 

「・・・それはコングラッチレイション。」

 

PRIDEのように顔と顔がぶつかるくらいお互い対峙する死舞。

 

「いつまで我侭言ってないで家に帰りなさい。」 にっこり

 

「嫌だね。」 きっぱり

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

直後、千鶴さんの鬼の手が梓に襲い掛かる。

咄嗟にそれをよけて梓が回し蹴りで反撃するが、千鶴さんは左足で蹴りを叩き落とすと

今度は飛び上がって蹴りの3連荘。

梓はかろうじてそれを腕でガードすると、即座に側転して俺の方へと駆け寄ってきた。

 

「耕一ッ!逃げるよ!」

 

「えぇ!?なんで俺がッ!?」

 

グイッと俺の腕を掴むと撤退を始める。

 

「逃がさないわよ!ツインズッ!出番よッ!!」

 

ツインズ?

・・・ザッ!

目の前に降り立つ楓&初音コンビ。

あぁ・・・スーパー魔裏汚ブロスの事ね・・・。

 

「クッ!あんた達、どきなッ!!」

 

「・・・・・・・姉さん。耕一さんと同じ大学に行くのは私です。」

 

「おめーが戻らねーとめんどくせー家事やらされるんだよ!」

 

ものすげー理由だな。(つД`)

 

「そうか。どかならいなら、拳で語らせてもらうよ?」 ボキッボキィ

 

「・・・・・・・・・第一志望はゆずれない!」 ジャララ・・・

 

「阪神優勝するんだから大人しく家で見とけ!」 (゚Д゚)ウマー

 

すかさず念鎖を腕から垂らす楓ちゃんと何故か魔法のステッキと取り出す初音ちゃん。

 

「ま、待てってば!どうしてお前らそうやって物事を暴力で・・・・

 

「耕一は黙ってな!」

 

「は、はひ・・・。」

 

梓に一喝されて縮こまる俺・・・情けねぇ・・・。

後ろからは千鶴さんがやって来る。

 

「梓、いい加減に駄々をこねるのはおやめなさい!分かってるでしょ?私たち一族の因果を!」

 

「いつまでも・・・・いつまでもそんなものに縛られてるから駄目なんだよ!姉貴ッ!」

 

うばしゃああ!!

すかさず楓ちゃんと初音ちゃんが攻撃をしかけた。

 

「チェーン・ジェイルッ!」(拘束する鎖ッ!)

 

「マジカル初音アタークッ!!」

 

「鬼ングクリム損ッ!!」

 

・・・さすがに3対1では梓が不利だな・・・。

 

「仕方ねぇ・・・な。」

 

俺はため息をつくと、鬼の力を解放した。

 

「お前ら・・・いい加減にしねぇと・・・飛ぶぞ、コラ?」

 

ヴァオッ!

解き放たれた力が衝撃波を生み、4姉妹全員が吹き飛ばされた。

 

「・・・・・・・ダーリンッ!」

 

「お、お兄ちゃんッ!」

 

「こ、耕一ッ!?」

 

「耕一さんッ!!邪魔する鬼ッ!?」

 

「いい加減にして下さいよ・・・・千鶴さん。俺は・・・姉妹喧嘩なんか、見たくないんですよ。」

 

ピーピーピーピピピーピーピーピピーピー♪(←天誅参着メロ)

 

「・・・・・・・ちょ、ちょっと待って下さい。」

 

慌てて確認もせず俺は携帯をポケットから取り出すと、受話ボタンを押して耳にあてがった。

ピッ♪

 

「はい、柏木です。」

 

『あ、耕一くん?小出ですけど。』

 

「あ・・・由美子さん!?」

 

『明日の件なんだけど、ちょっと急用が入っちゃって・・・・ごめんね!

 もし良かったら明後日にしてくれない?』

 

「あ・・・あはは・・・あぁ!全然構わないよ!うん。明後日ならむしろ好都ご・・・ゲフンッ!

  じゃあ明後日に変更という事でいいよ。」

 

『ホントごめんねぇ!埋め合わせは明後日するから♪』

 

「気にしなくていいよ。もともと誘ったのは俺なんだし・・・・。」

 

『・・・・・良かったぁ・・・耕一くん怒るかなぁって心配してたから・・・。』

 

『それじゃあ・・・・お休みなさい。耕一くん。』

 

「あぁ!お休み、由美子さん。」

 

ピッ♪

・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・はっ!?

おおおおおおおおおおおおおおおお

殺気&怒気に彩られたステンドグラス4死舞に囲まれる俺。

 

「ひ、ひぃっ!?」

 

あーいーというー

光ーもーとめー

たーだーようーはーな

散ーりゆーくぅぅ〜〜〜

さだぁめぇ〜〜〜

 

「耕一ぃ!はねてんじゃねーぞ!虎羅ぁッ!!」 びき、びきぃ

 

「・・・・・・ダーリン、また浮鬼?」 ぴく、ぴく

 

「お兄ちゃん、明日帰れると思ってるの?」 ブチ、ブチィ

 

「耕一さん・・・・・なめてんのか?汚羅?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「バ、バカヤベーッ!!」

 

ドガッ!

バキッ!

ゴシャッ!!

 

 

 

愛がある・・・・

悲しみもある・・・・

だけど・・・

 

「陵辱がないでしょッ!!」

 


耕一は死んでしまった
→ホームポイントに戻れない
残り時間 ∞

 

・・・・・。

・・・・・・・・・。

結局、梓は俺や千鶴さんの説得で家には帰ってきたが、やはり進学問題で揉めてしまい・・・・

 

「分かったよ!じゃあ枯葉は受けなきゃいいんだろ!!」

 

「分かればいいのよ分かれば。」

 

「千鶴さん・・・梓の人生なんだから梓に決めさせ・・・

 

「この子の珍生は柏木本家の問題ですッ!」 クワッ

 

「そ、そんなバナナー!」

 

あまりの理不尽さに俺が涙目になっていると、

突然梓がニヤリと笑って口を開いた。

 

「じゃあ葉鍵大学なら問題ないね?」

 

「ッ!?」

 

「は、葉鍵大学だって!?」

 

葉鍵大学・・・日本国公立大学の最高峰と言われるまさに超難関大学。

東大の2倍は難しいと言われており、本物のエリートしか入れないとかなんたらで有名である。

ちなみに葉鍵大学は俺の通う枯葉大学から徒歩20分のところにあるのだ。(苦笑)

 

「あ、あなた正気で言ってるの?・・・この、ちーちゃんだって落ちたのに・・・・。」

 

いや、貴方は無理です。

 

「やってやるさ!葉鍵大学に合格してやる!そして耕一と同棲してやるんだ!」

 

ッ!?

 

「ちょ、ちょっと待てッ!俺はそんな事一言も承諾・・・

 

「おーほほほほッ!!」

 

突然の千鶴さんの高笑いに思わず俺も梓もその場からのけぞった。

 

「な、何がおかしいんだよ!」

 

「梓ちゃん。馬鹿も休み休みおっしゃいなさい・・・・ふふふ。

 いいでしょう。そこまで言うのなら受けてみれば?」

 

「ッ!やってやろうじゃん!!後で学費払わねーとか言ったら捻り潰してやるからな!」

 

不敵な千鶴さんの微笑みが、梓には余計に勘に触ったようだ。

ドスドスと足を踏み鳴らしながら自分の部屋へと帰っていってしまった。

 

「さてと、ちーちゃん疲れちゃったからお風呂に入ろうっと♪

 ・・・・・ジ〜〜〜。

 

「な、なんすか?」

 

「耕一さん・・・一緒に入りませんか?」 うるりん♪

 

「嫌です。」 きっぱり

 

千鶴さんはしょんぼりしながら居間から去っていった。

 

「結局私が家事しなきゃなんねーじゃん。梓のヴォケが・・・!」

 

台所では初音ちゃんがムカツイた顔でブツブツ文句を言いながら、

明日の朝食の下準備らしき事をしていた。

とすとす・・・・。

楓ちゃんが漫画本を片手に居間へやって来ると、俺の直ぐ横に座る。

・・・ぽふっ。

そして、さりげなく大胆に俺にしな垂れかかってきた。

 

「・・・・・・・・・・。」 (汗)

 

「・・・・・ダーリン暖かい。」 ぽっ

 

もう何もツッこむ気にもなれず、とりあえず台所にいる初音ちゃんに気付かれませんようにと

ただそれだけを祈る・・・。

ふと俺に寄りかかって漫画本を読んでいる楓ちゃんを眺めて、

俺は何気なく彼女に尋ねてみた。

 

「ねぇ・・・楓ちゃん。」

 

「・・・・・?」

 

「は、葉鍵大学ってさ・・・その・・・楓ちゃんから見てどうかな?」

 

「・・・葉鍵大学って・・・あの葉鍵大学ですか?」

 

「うん。東京の葉鍵大学。」

 

「・・・・・・・。」

 

楓ちゃんはパタンと漫画本を閉じると、しばらく「ん〜?」といった感じに考え込んだ。

 

「や、やっぱり流石の楓ちゃんでも難しいかな?ははは・・・。」

 

「・・・・いえ・・・楽勝です。」

 

(;´Д`)

 

「ゴルァ!楓ぇ!てめぇどさくさにまぎれて何甘えてんだッ!」 (゚д゚)ウマー

 

・・・・見つかってしまったか・・・。

うばしゃあああ!!

皿が飛ぶ・・・包丁が飛ぶ・・・そして包丁が俺の頭に刺さる・・・。

 

父さん・・・・富良野の冬は厳しいですか・・?

僕は相変わらず4死舞に挟まれて胃に穴が開きそうです・・・。

ま、とりあえず梓には受かって欲しいような欲しくないような・・・・

そんな複雑な心境でいる自分がまた何というか複雑で・・・・。

父さん・・・・貴方は・・・何でこんな大変なモノを残して逝ったんでしょうか?

・・・父さん・・・そんなこんなで・・・また隆山にも雪が降りました・・・・。

 

 

―― 明後日の由美子さんとの約束に、どうやって間に合わせようか・・・。(汗)


 

 

鬼兵般家長リローデッド どさくさにまぎれて終(ワラ