行き当たりばったり東鳩SS6

第6話 あかり in the sky with diamond


「浩之ちゃん・・・・一緒に死んで!」

「断るっ!!」

「うぅぅ・・・・・ぐすん。殺してやるぅ・・・・。」

あかりはスタンド(ザ・既知街)をひっさげ

ジョジョに俺との間合いをつめてくる。

まずい・・・あかりはマジだ。

冷静さを失っているので大変危険だぞ・・・。

ジャバウォックに支配されたあかりさんは、もはや人知の領域を超えているので

まともにむかったら勝てない。

ひとまずこの場は撤退せねば!

だが、どうする?今この間合いで背中を見せれば命取りになりかねん。

手前にクラブハウスがある為、突破口が限られているのでなおさらだ。

あかりも俺に逃げられては困るのか、感情のわりには冷静な動作だ。

「ぐすん・・・・浩之ちゃん・・・・もう一度聞くよ?

 わたしの事、好きだよね?」

「・・・・・・・・・・・あかりは妹みたいなもんだよ。」

「今すぐ私のことを恋人だと思ってよ。」

「・・・・・・・・・・・そりゃぁ出来ん相談だ」

「わたしの事好きって言ってよー!」

「嫌いではないが、恋人にはならんっ!!」

「ひ、浩之ちゃんのアホー!」

「だまれ、既知街がっ!」

「死ねぇぇ〜〜!!」


先に仕掛けたのはあかり。

これは予測の範囲内だったのだが、あかりの動作スピードは半端じゃなかった。

まずいっ!こいつこんなに速かったのか!

下手すりゃ殺られるぞ・・・。

しかし次の瞬間、いきなりあかりの背後からバケツが飛んできたのだ。


「!?チッ、無駄無駄ァーーーッ!!!」


当然あかりはスタンドでバケツを軽く一蹴したが・・・。

この一瞬のチャンスを見逃す手はないっ!

俺は運良く逃げる事に成功した。

・・・・・ところであのバケツは誰が投げたんだ?



「・・・・・・・・・雅史ちゃん、どういうつもりなの?」


「・・・・・・・・・僕からの・・・浩之への・・・最後のメッセージだよ・・・・。」


「・・・・・・・・・ホモがっ。


「あかりちゃん・・・・もう止めてよ・・・これ以上・・・無意味な事は・・・・」


『無駄ぁっ!!』ベキャッ


「ぐはぁ!・・・・・・・・・・浩之・・・フォーエヴァー・ラヴ・・・・」


がく

「浩之ちゃん、逃がさないから!」

ハァッハァッハァッ!

何処へ逃げればいい?なんだか、何処へ逃げても捕まるような・・・。(汗)

ふと前方で人影が現れた。


「!?
 チィ!もう追いつかれたのかよ!」


さっ、俺は身構えたが

「・・・・!?芹香先輩!」

なんと現れたのは芹香先輩だった。

「せ、先輩、こんな所でどうしたんだ?今、俺に近寄ると危ないぜ?」

「・・・・・・・浩之さん・・・・・神岸さんは悪くありません。」

「はっ?先輩、何言ってんの?」

悪いもクソも、、、、あかりはどうみてもフリークスじゃねーか。

「神岸さんは、悪霊に精神を乗っ取られているのです。」

「ホワッチュ?!」

先輩・・・・もともとイタイ人だったけど、とうとう・・・・フズベー!

「浩之さん・・・・マジです。」

こちらの考えが分かったのか、少々語気を強めて先輩が言った。

「神岸さんの背後に、強い怨念を感じます。・・・・・その怨念が

 彼女にあのような行動をとらせているのです。

 浩之さん、ここは私の言うとおりにしてもらえますか?」

いつものぽ〜っとした表情ではない真剣な先輩の顔を見て

冗談ではないと確信した。

「あ、あぁ!分かったぜ先輩。これで俺もあかりも助かるなら頼むよ!」

コクコク

先輩は頷いた後、作戦を話し始めた。

あかりを先輩のいるオカルト研究会部室に誘い込み

あらかじめ先輩が作っておいた魔法陣に閉じ込める。

その後じっくり除霊の儀式を行うという寸法だ。

で、やっぱ俺があかりを誘い込まなきゃならんのね。(涙)

俺は意を決して「あかり誘導作戦」に取り掛かった。

まずはあかりを探さなくては・・・・・・



・・・・って、いたよ。あそこに。


あかりは電柱の上に佇み、こちらを睨んでいる。

「う〜、浩之ちゃん、、、、またその女とイチャイチャしてるぅぅ〜〜〜。」

どこをどう見たらそういう解釈になるのか?とりあえず一度眼科検診に逝け!

「あかり〜〜〜、以前さぁ〜、お前と志保がカラオケ行こうって誘ってきたけど

 俺、断ったよなぁ〜?ありゃ先輩と買い物に行ってたんだ。スマンなぁ〜♪」

「・・・・・!うがぁぁ〜〜〜!!」

来た。

怖い、、、ほんとうに怖い。ジャングルで虎にあったらこんな気分なんだろうな・・・・。

俺は必至に走る!あかりは某ゲーム「何とかの悲鳴」

主人公のように追いかけてくる。

1階の玄関からすぐさま階段を駆け上がる。

2階から3階へ・・・・途中で何人か男子を踏み倒したような気がしたが・・・気にしない。

3階から西館へと通じる直線渡り廊下・・・・ここが正念場だ!

ちなみにここに来るまでのあかりは相も変わらず人間離れしていた。

なんっつーか、地に足がつかないという言葉を実践してるっつーか、飛んでるよ。

クッ、ついて来やがれ!

かかとを蹴ると、俺はオカ研部室に向かって全力疾走。

しかし、とうとうスタミナが切れたのか、、トップスピードが出ない。

うぐぅ。日頃の運動不足がここにきて・・・!

「ふふふふ・・・・・貧弱貧弱ぅぅーーー!!!!」

あかりがどんどん差を詰めてくる!マズイっす!!

すると

「おいっ、、、藤田!・・・・っと・・・か、神岸さん!?」

前方で矢島がこちらを見て驚いていた。

「ナイスタイミングだよぉ!矢島ぁぁーー!!!」

俺は矢島の背後に廻るや否や

「死して御国に仕えよっ!矢島バンザーイ!」


ドン


矢島を暴走あかりに向かって突き出した。

「わわわっ!何すんだっ!?」

「邪魔だどけぇぇぇーーーーー!!!!」

バキャッ!

「ギニャァァァーーーーーッ!!!!」

・・・・・・・矢島はあかりにしばき上げられ、きりもみ状態で吹っ飛んでいった。


矢島二等兵 二階級特進



矢島の名誉ある戦死のおかげで俺はオカ研部室に辿り着いた。

あかりはすぐ後ろまで迫っている。

奥では芹香先輩が待機しており、俺が目線を送るとコクンと頷づく。

「追い詰めたよ〜〜!!浩之ちゃんっ!!!」

あかりが飛び掛ってきた瞬間

今だっ!!

俺は横に飛びのき、あかりはそのまま部室の中央にある魔方陣の中へ・・・。

ズァァァーーーーーーーーー!!!!!!!!

まぶしい光が周囲を照らし、騒音が部屋を埋め尽くしたが、すぐ静かになった。

あかりは光の檻のような魔方陣の中に閉じ込められていた。

『な・・・・なんじゃぁぁぁーーーーこりゃぁぁーーーー!!!!!!!』

「やったぜ!先輩。あかりをキャプターしたぜ!!」

「コクコク・・・ぶいっ」

気分はゴーストバスターズの俺はその場で踊るように喜び

「さぁっ先輩!はやくこの悪しきものを除霊して下さい!

 なんならこのまま消滅させてもいいですから。」

先輩は咳を払うと、なにやらボソボソと呪文らしきものを唱え始めた。

改めて先輩の格好をよく見直すと・・・・非常にブレアウィッチなコスチュームだった。(汗)

呪文を唱え始めてすぐ、あかりに異変が起こった。

 

『うぐぅぅぅ〜〜〜〜!!!だよもん、だよもん・・・・・が・・・がお。

『ヤ・・ヤメロォォ〜〜〜・・・・・・イデ!・・・・イデ!・・・・・・』

『・・・・・・・諸君、私は浩之ちゃんが好きだ・・・・・諸君・・・・・』


もやもやとあかりの背後になにかが浮かび上がってきた。

もくもくもく・・・・・・・・。

初めは煙のように見えたがジョジョにそれは形になって・・・・・・・。







ゲッ!






「せ、先輩・・・・・こ・・・・・これが悪霊の正体?」

「・・・・・コクコク。」


あかりの背後に現れたもうひとりの影。


















・・・・・・っていうか、これも・・・・あかりじゃん。(死ッ)












最終話 「せかいの中心で浩之を叫んだけもの」につづく。