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行き当たりばったり東鳩SS

 

最終話前編  世界の中心で浩之を叫んだけもの


 

「・・・・・・・あかりの後ろにあかりがいるんすけど・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

魔方陣の中のあかりは、初めこそ暴れてはいたが

芹香先輩が呪文を詠唱し終わる頃には、虚ろな目で立ち尽くしていた。

その背後には、背後霊のようにもうひとりの人影。

これも・・・・・安らかに眠っているようなあかり。

なんと、なにかの悪霊にとりつかれていたはずのあかりだが、

いざ除霊の儀式を行ってみると、その悪霊の正体があかり。


・・・・・???まったくもって理解不能だった。


ジーザスッ!!はなから人間を超越していたのかっ!!

やるなっ!KARIッ!!

「あかりがあかりにとりつかれてるって・・・・これは一体・・!?
 

  そうか・・・・あかり・・・貴様、使徒だったんだなっ!?」

 

「・・・・・・・・・・・・浩之さん。」

 

「はい?なんすか?」

 

「・・・・・・・・・・・・少し・・・・黙っていて下さい!」

 

「ふぁい・・・すいましぇん・・・。」

 

先輩はしげしげと悪霊(AKARI)を観察し始めた。

様々な角度から見てみたり、なにか得体の知れないステッキをかざしたり、小汚い筒で覗いて見たりと、

色々と彼女なりの調査をしているみたいだが・・・・ルネッサンス級に痛い。

・・・・・もうねぇ〜、ア・ホ・か・と、バ・カ・か・と・・・・。

もう見てらんない。(苦笑)

しばらくすると、ある程度結論が出たのか?先輩はウンウンと頷くと

俺の方へ戻ってきた。

 

「・・・・・・・・・で、如何なもんでしょうか?」

 

「・・・・・・・・・事の事実が分かりました。」

 

「!?まぢっすか!?・・・・・・・・アレでぇ!?」

 

「コクコク」

 

「じゃ、じゃあ一体ありゃなんなんすか?」

 

「・・・・それは・・・・口で言うよりも実際に見て、聞いた方が良いと思います。」

 

「は?いや、先輩、もう見てますし、ものすごく効いてますけど・・・・。」

 

「・・・・・・・今現在の彼女はまだ、寝ているようなものです。」

 

「そりゃぁ・・・まぁ、確かに寝てるみたいっすね。」

 

「・・・・・・・それを今から起こします。さぁ、、、浩之さん、どうぞ彼女の傍へ」

 

すわっ?せ、先輩?今なんと?」

 

「ですからもっと近寄ってください。」

 

「えぇぇ〜〜!!!嫌っすよぉぉ〜〜!!噛み付かれそうっすよ〜〜!!」

 

「・・・・・大丈夫です。魔方陣に入らなければ、向こうも手は出せませんから。」

 

「まぢっすかぁ?信用しますよ〜、先輩ぃぃ〜〜(涙声)」

 

「コクコク・・・・・・・・・・・・多分。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

半泣きになりながら恐る恐る例の物体?に近づいた俺。

確かに間近で見たら安らかそうに寝ているみたいだ。

にしても、ビジュアル的にあかりの背中からまたあかりが生えているように見える・・・。

なんっつーか、すごくシュールで・・・心が病んでる画家の最期の絵みたいだ。

 

俺はAKARIの前に立ち、先輩に相槌を打った。

先輩は僅かに間を置いた後、

 

「・・・・・・・・・・シヨテッ・イイガ・チキ。」

 

ぼそぼそ・・・・・と呪文らしきものを詠唱。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

空白の時間が流れた・・・・・。

 

「あの・・・・・先輩?なにも起こんないんだけ・・・・・」

 

次の瞬間、くわっ!とAKARIの目が開いた!?と思ったら

 

目から血の涙!?をどぼどぼ流し

 

 

!?


『浩之ぢゃぁ〜〜〜〜〜〜んっ!!!

  ひろゆぎぢゃぁぁぁぁ〜〜〜ああああああ!!!!』


 

!?ッ


 

「ひっ!?い、いやぁぁぁぁーーーーーーっっ!!!!」


 

 

 

キクぜッ!(加納典明)


 

 

腰が抜けた・・・・。

AKARIは「降魔の儀」のベヘリットのような顔でひたすら阿鼻叫喚地獄。

しかも何故か俺の名前しか叫ばない。

 

・・・・勘弁SI・RO・YO・NAッ!!!

 

こっちが既知街になりそうだ・・・!


「せんぷぁぁぁ〜〜〜いっ!!なんすかぁこいつぅぅ〜〜!?
 

  はやくこの蝕野郎を何とかしてくださいよぉぉ〜〜〜〜!!!」

 

「・・・・・・・・・浩之さん・・・分かりませんか?
 

  これは神岸さんの気持ち・・・・神岸さん自身の心の思いなのですよ。」

 

そんな重い思いノーセンキューだ。

 

「っつー事は何か!?つまりAKARIはあかりって事なのか?
 

 意味が分かんねーよ!先輩はとりつかれてるって言ってたじゃねーかよ。」

 

「・・・・・・・・・はい、そのとおりです。
 

 神岸さんは御自分にとりつかれていらっしゃいます。」
 

 

「・・・・・・・・・・・ま、、、まさか、、、AKARIは」

 

「はい・・・・・・・御自身の生霊です。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

先輩がもう一度呪文を詠唱した後、AKARI(生霊)は静かになり

再び静寂が戻ったオカルト研究会部室(旧化学室)で俺と先輩は佇んでいた。

 

「どうしてあかりは生霊なんかにとりつかれたんだ?」

 

「・・・・飽く迄推測に過ぎませんが・・・よほど心に溜まるような事が

  

 あったのではないでしょうか?それがたまりにたまって我慢出来ず
 

  今回のような生霊という形になって、彼女の感情を支配したのだと考えられます。」

 

「なるほど・・・・ようするに、あれはあかりの素直な欲求の現れって訳か。」

 

「その欲求ってのは・・・・やっぱ俺が原因なんだろな。」(苦笑)


  しかし・・・先輩はことオカルト関連の話をすると、なかなかどうして饒舌じゃないか。(笑)

 

「原因は分かったぜ先輩、んじゃ次だ。解決策はないのかい?」

 

「・・・・本当はこういったメンタルな事は時間をかけて治す方が良いのですが・・・・・
 

 今回は場合が場合だけに、強硬手段も止むを得ません。」

 

「頼りにしてるぜ、先輩!んで、その強硬手段って?」

 

「・・・・・・・・浩之さんがあかりさんの心の中に逝くのです。」

 

「はいぃぃ〜〜〜〜〜〜?♪」

 

「・・・・逝ってらっしゃい。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」



 

・・・・・やってて良かった苦悶式♪(号泣)  ク〜モ〜ン!くもーん!・・・(エコー

               

 

「・・・・・・浩之さん、準備はよろしいですか?」

 

「あぁ、いつでもいいぜ。」

 

「・・・では、いきます。」


オカルト研究会に先輩の詠唱が響き渡る。

俺はおなか等になにやら護符みたいなものをペタペタと貼られた後、

 

魔方陣のすぐ横であおむけになっていた。

この護符や、部屋にあるアイテムを使用して俺をあかりの心の中へ送り込むらしい。

・・・・・・・時々思うが、先輩って本当に人間なんだろうか・・・?

詠唱がだんだんと遠くに聞こえたかと思うと

体の力が抜け、ふぅぅっと意識が遠のいていく・・・・。

・・・・・感覚的には・・・・風邪薬飲んだ時の・・眠たさに・似て・・・・・・・。


 

 

 

平原に俺は立っていた。

どうやらここは既にあかりの心の中らしい。

綺麗な花が一面に咲いていて、まさに絵に描いたようなメルヘンチックな世界だった。

まぁ、あかりも一応女の子だし、予想通りの世界観かもな。

ところで、向こうの方にいるやたら可愛らしい、

ある意味キッチュ過ぎて不気味なクマらしい生物はなんだろうか・・・?

とりあえず・・・お花畑を歩いて、散策してみた。

ここだけで御終いって事はないだろう?

 

心の中っつーのはもっと広くて深いはずだから、どっかに違う世界が・・・。

ってなんだ?この扉・・・・。

ヒマワリのような高い植物に囲まれた紫がかった扉を発見。

非常に色の配色から言ってデンジャラスムード満載。

扉をあけてもモヤモヤした霧しか見えず、向こうの景色は見えない。

・・・・・・扉をくぐったら「BLACK HOLE」って書いてて

黒一色の世界じゃあるまいな?ゲームオーバーは困るぞ・・・。

暫らく悩んだが、埒があかないので意を決して突入。

しばらく歩いた末、俺が見た世界は・・・・・・・・。

まさに俺の世界だった。

何故か俺・俺・俺・俺がいる・いる・いる!

大きい俺から小さい俺まで・・・・あかり的ディズニーランドと言わんばかりに

すべてが俺のみで彩られていた。

なにか、俺のほかにここの住人だろうか?なんか「薔薇野郎」の敵キャラみたいな

生物をちらほらと見かける。

モダンアートで造られたようなビルには「浩之・命」とかかれた巨大な垂れ幕。

ほかにも「藤田浩之共栄圏設立に向けて起てよ国民!」とか

「あえて言おう!浩之である」とかを発見した。

なんか、いい例えが見つからない・・・シャガールの絵に俺ばかり入れたような・・・。

非常に幻想的だが・・・サイバーパンクな世界だった。

目の前にはあかりによく似た人間が「諸君、私は浩之ちゃんが好きだ・・・諸君・・・」

延々とイカレタ演説をしており、またその演説を俺もどきが何千人も聞き込んでいた。



狂ッテル!


急いで俺は別の扉を探した!

こんなとこにこれ以上いたら、確実に廃人になっちまう!!

泣きながら必至で探す事数分後、ガレキの山の手前で薄汚れた扉を発見した。

・・・・・・あまりの汚さに、これ以上MADな世界に行かないだろうか?と躊躇する俺。

う〜ん、と悩んでいると、ふと何故か扉の汚れが気になったので、自分の服で軽く拭いてみた・・・・。

すると薄汚い扉は拭いた部分だけ、真っ白になったのだ!

・・・・・まっしろな扉か・・・・・・・・・・上等!

俺はその扉をくぐって前に進んだ・・・・・・・・・・・。 





(最終話後編へつづく・・・。)