行き当たりばったり東鳩SS

 

最終話後編 まごころを、あかりへ




まっしろな空間に俺は立っていた。むこうに居るのは誰だろう?

・・・・・・あかりがいた。幼かった頃のあかりだ・・・・。

公園の砂場だろうか?どうやら砂でお城を作っているみたいだ。

そこへ別の子供が来た・・・・誰だ?・・・・・・!?まさか・・・・俺か?

ガキの頃の俺があかりに近づく・・・あっ!あかりが作ってた砂の城を蹴り壊しやがった!!

あかりが泣いている・・・ガキの俺が黙ってそれを見つめていた。

このクソガキ!なんて憎たらしい顔してんだぁ!

・・・・・・ってあれってだよな・・・・。(涙)

「ぐすん・・・・ひろゆきちゃん・・・・・どおしてそんないじわるばっかするのぉ〜?」

「うるさい。なきむしあかり。ままにあまえてばかりいるから、そんなになきむしなのか?」

「うぅぅ・・・・ぐすん・・・・ひどいよぉぉ。ひろゆきちゃんのばかぁぁ。」

「ばかでいいんだよっ。なきむしになるよりいい。」


 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

視界の全てがまた真っ白になった・・・・・・・・。




「うわーん!あーーーん!」

「泣くなあかり!ふうせんくらい、おれが取ってやるよ!」

「ひ、ひろゆきちゃん!あ、あぶないよ〜!」

「こんな木、ちっとも高くない!おれにまかせろ。だから、泣くな!」

「うぅぅ・・・・。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「く・・・もうちょっとで、手がとどくんだけどなぁ・・・・・っうわっ!!!!」

「ひ、ひろゆきちゃん!!」

「イテテテ〜〜〜〜〜〜!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」

「ひろゆきちゃん!だいじょうぶ!?・・・・・・う・・・・・・ふ・・・・ふぇ・・・」

「だいじょうぶだよ・・・ほらっ!ふうせん、とれたよ。・・・・・だから・・・・泣くなって・・・。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



(おい、昨日授業参観さぁ〜、藤田ん家だけ誰も来なかったらしいぞ。)

(ほんと?俺んちなんて父ちゃん来たから恥ずかしくて、もう俺も5年生だっつーのによ)

(なに?藤田ん家って親いないの?)

(いるらしいだけどさぁ、なんか二人とも働いてて全然家に居ないらしいよ。)


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・ひ、浩之ちゃん・・・今日、遊びにいっていいかなぁ?」

 

「おい、藤田ぁ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「お前さぁ本当は捨て子じゃねーの?お前んちの親って全然近所にも顔出さないらしいじゃん」

「!!」

(クスクス)

(ゲラゲラ)

バキッ!
ゲシッ!
ガツッ!


「ひぃやぁぁ〜〜〜!!!!痛いようっ!!痛いようっ!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「浩之ちゃんっ!止めて!止めてよぉ!!御願いだからもう止めてよ〜〜!!」


(キャァァーー!!)

(誰か、先生呼んでこいよー!)


 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「どうして・・・浩之ちゃんばかり怒られなきゃいけないの!」

「別に・・・・・・・。俺の親が忙しいからだろ?」

「!!そんなの全然関係ないよぉ!」

「うるっせーな、確かにあいつらの言う事は本当かもな。」

「・・・・・・浩之ちゃん」

「俺のとーちゃんもかーちゃんも全然家にいねーし、俺の親はいないって言われても

 仕方がないんじゃないか?・・・・捨て子同然だよな・・・。」

「そんな事ないようっ!!」

「あかり?」

「パパもママも家にいないから捨て子なの?!そんなの浩之ちゃんが可哀想だよ!

 私が浩之ちゃんの家族なんだからぁ!!私が傍にいるんだからぁ〜!!

 そんな悲しい事言わないでよぉ〜〜!!!うぅ・・・ぐすん・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・分かったから泣くなよ・・・。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私が浩之ちゃんの傍にいつもいるんだもん。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・えっ?」

「いや、だから、、、、前から神岸さんの事気になってて、、、、、。

 なんか、神岸さんが傍に居てくれたら、きっと幸せなんだろなって。

 あ、俺、、、、、、決して半端な気持ちでこんな事言ってんじゃないんだ。」

「・・・・・・・・・だけど・・・わたしは・・・。」

「正直、、、、告白しようって思ってたんだけど、心配だったんだ。
 

  ・・・・・・その・・・クラスでは神岸さんと藤田って

 付き合ってんじゃないかって噂になってたんだよ。だけど、ちょっと安心したよ。」

「?えっ?」

「ちょっと姑息だったかも知れないけどさ、実はセッティング、藤田がしてくれたんだよ。

 いきなり言うのもなんだから、実は藤田に相談したんだ。

 そしたら、引き受けてくれたんだよ。ホント感謝してるよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「神岸さん?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・うそ・・・・。」





ワタシハ、ヒロユキチャンニトッテ、、、イッタイ、、、ナンナノカシラ、、、、、、、。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺は自分が恥ずかしかった。

あかり・・・・・・・・・・・ごめんよ・・・・・・・・・・・・・・・。


                           

 

                  BGM  「ごめんね・・・」By 佐藤裕美

 

 

 

 

白い空間が途切れた。

打って変わって暗闇に覆われ、視界の先にうっすらと明かりが見える。

その明かりをたよりに前にすすむと・・・・。

弱々しくも綺麗な明かりの中に・・・あかりが座り込んでいた。

その・・・なんだ・・・いつもバカにしてるけど・・・・なんていうか、そん時は綺麗だった。

「・・・・・・・・・・・あかり?」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・聞こえるか?」

「・・・・・・・・・浩之ちゃん?」

「あぁ・・・・俺だよ。」

「・・・嘘。だって、浩之ちゃんはわたしを棄てたんだもん・・・・。」

「棄てたっ!?ってそんな事はないぞ!」

「わたしは要らないんだって・・・・。必要ないんだって・・・・。」

「バカッ!おりゃてっきり、あかりが俺のせいで彼氏が出来ないんだって思って、

 んで、まぁ、矢島だったら悪くはないなって・・・・だから・・・!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・その・・・・・・悪かった。すまなかったよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「あかりの気持ちに気付いてやれなくて・・・・俺はよ、バカだから・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

「そんなにあかりが思いつめてるって知らなかったんだよ。」

「・・・・ちゃん・・・。」

「あかりはっ!!あかりは・・・俺の家族になってくれたんだろ?

 だったら・・・・要らないとか・・・棄てたとか・・・・悲しい事いうなよ。」

「・・・浩之ちゃん・・・。」

「あっ!?こらっ!!また泣いてやがる!」

「・・浩之ちゃぁぁぁ〜〜〜んん!!!!!」

「やれやれ・・・・帰ったら志保や雅史にちゃんと謝るんだぞ?」

「ぐす・・・・・・うん・・・うん・・・!」





俺はあかりの手をとって外へ出ようとした。

・・・・その瞬間・・・俺の意識はもとに戻っていた。

まだ状況をつかめず目だけで周囲を見回すと・・・・。

俺は芹香先輩に膝枕をして頂いていた。(汗)

「あの・・・・先輩?(滝汗)」

「・・・・・・おかえりなさい。」

先輩はほっとしたような、すごく優しい瞳で俺の髪の毛をときながら微笑みかけた。

・・・・・・・・・・えぇ女やでぇぇ・・・・。

これでサイコな趣味がなければサイコーなんだが・・・・。



「おぅ、虎羅。ええ雰囲気やのぉ?魂血苦笑?



・・・・・・・・・・忘れていた。

「や、やはぁ♪あかりさん」

「ちょっと優しぃしてくれた思たら、またすぐそれかい?いてまうぞ?わりゃ。

「ああああああ・・・・あかりさん・・・何故に関西弁なんでしょうか?」

「・・・・・・・・・・・・・お約束です。」


先輩がボソっと一言。



『アリアリアリアリアリィーーー!

 アリーデ・べルチッ!!(サヨウナラ)』



バッグォ〜〜〜〜〜ン!

 

そして、俺は星になった。(死ッ)









・・・・・・・・・・・・翌日

雅史と志保は何故か元気に登校していた。(笑)

「この志保ちゃんは、ロイター(通信)に入るまでは死んでも死なないのよ!」

「そうか・・・頑張れ・・・・そのままカンダハルにでも逝ってくれ。

「浩之ぃ〜〜!!会いたかったよぉ〜〜〜!愛の力で戻ってきたよぉっ♪」

「ウィー・アー・エックスッ!!」

ドグワシャッ!!

「ぐふっぅ・・・愛を感じるよ・・・浩之・・・・」(ガクッ)

まぁ、雅史は結局早退したが(笑)あかりは2人にちゃんと謝まった。

色々と破滅的な事件ではあったが、一応俺達は元鞘に収まったって感じだ。

まぁ、これもひとえに芹香先輩のおかげかな?御礼に今度映画にでも誘おう・・・むふ♪


「・・・・・・浩之ちゃん♪」

「ハ、ハイィィーーーーーーーッ!!!!」

「?どうしたの浩之ちゃん?」

「い、、、いや何でも。どうしたんだよ?」

「はい♪これにサインして♪」

「はて、なんだこの紙切れ・・・・・・・・・??」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「はやくぅ〜、浩之ちゃぁ〜〜ん♪書いてよぉ〜〜。」


「・・・・・・・あかりくん、ひとつ伺うが、この紙切れ、

 

 上に婚姻届って記載されているんだが・・・・・・・・・・・・。」

「そうだよぉ〜♪これで私と浩之ちゃんは家族ぅ家族ぅ!家族計画だよぉ♪」


「・・・・・・・・・・・・・・。」


「浩之ちゃん言ったじゃない、あかりは俺の家族だって?」

「あれは・・・・そういうニュアンスでは・・・・」

「もう〜、浩之ちゃん男の子でしょう?あんまりごちゃごちゃ言うと刺すよ?

「ひっ!」

ちなみに記入欄を見てみると、あかりの名前はまだ記入されていなかった。

・・・・・・・・・ぬかったな・・・あかり。(ニヤソ

「あれ?あれ?浩之ちゃん何処に行くの?」

「・・・・・・・・・・・芹香さんのいるところ♪」

「えぇ?どうして?先に記入してからにしてよぉ〜!」

「あかりくん・・・・ぬかったね。君の名前まだ記入してないじゃあないか。」

「ッ!?」

「だから、あかりさんのナイスな計らいを有効に活用させて頂く為、

 ここを芹香さんに氏名記入してもらうとしましょうっ♪」

「ま、待てや!虎羅ッ!!」

「あでゅ〜」

俺は高速スキップをしながら、3年の教室へ向かう。

「ひ、浩之ちゃん・・・・!!まぢで殺すっ!!!」

俺は真っ青な顔をしながら笑っているというタイトな表情をかもしだしつつ

今日もあかりと追いかけ合いをするのだった。

 

・・・・・・まぁ、しばらくはこんな関係でいいや。

あと・・あかり・・・・あえてつっこまなかったが、

俺はまだ16だから結婚できんぞ。


                                (おしまい)













あれ?なんか忘れてたような・・・・・?




























矢島 スタンド名(スラムダンク・ダイニブイズコ)

再起不能(リタイア)⇒ the end