『お、御待ちをッ!!御待ち下されぇ〜!!』
「は、離せッ!船団長!余の邪魔をするでないッ!!」
『陛下ッ!話が違いますッ!万一の為に輸送してくるだけの約束で御座いましょうに〜!』
「えぇいッ!離せッ!!」 げしッ!
『わわゎッ!?』 ひゅ〜〜♪ どぼーん。
『あぁッ!?船団長ッ〜!?』
ガゥゥンッ!
『ク、クーヤ様ッ!御待ちくだされッ!』
『何卒ッ!何卒ッ!御考え直しを〜〜〜!!』
『御待ち下されッ!御慈悲を・・・御慈悲を〜〜!』 ←竹竿の先に嘆願書を挟んだ人
ビーーー!!ビーーー!!
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キュィィィーーーーンッ!
「・・・・バカ・・・ハクオロの・・・バカッ・・・!」
『グォォォオオオオオッ!!』
バキッ!メキャキャッ!!
愛と幻想のふぁしずむ
カルラ、その愛ゆえに ―その8―
トゥスクル皇都中心より北東へ少し下った海岸沿いには
全国からの貿易船が所狭しと停泊する皇都大壱海港があり、
その一番海沿いに一際輝く荘厳な船団が停泊していた。
世にも有名なクンネカムン國貿易船団である。
「サクヤたん!ク、クーヤたんは・・・!?」
サクヤたんは震える膝を更に強く抱きかかえると、私の問いに答える。
「・・・クーヤ様は貿易船団の船倉に・・・例の・・・・。」
「・・・・例の・・・・ッ!!ま、まさかッ!?」
「・・・・・・・・・。」 (ガタガタ
「バ、バカなッ!?ゲンジマルが持ち出しを許可する筈なかろう・・・!」
「あぅぅ・・・大老【タウロ】には黙ってたんですよ〜。」
「はぁぁ!?そんな無茶苦茶な・・・!
第一・・・かのような巨大な物をそう易々と・・・
「ク、クーヤ様は、そのぉ〜・・・船団長に賄賂を〜・・・・。」
「ア・・・アホかッ!仮にも皇だろが〜!」 (汗)
―クンネカムン國國立軍事施設―
クンネカムン國大老【タウロ】であるゲンジマルと、
その孫である左大将ヒエンが、もぬけの殻になった格納庫を眺めて
呆然と立ち尽くしていた。
「・・・・で、ヒエンよ。何故聖上のアヴ・カムゥが無くなっておるのだ?」 (ふるふる)
「・・・・・も・・・申し訳御座いませぬぅぅーーーーッ!!!」 (涙)
・・・・・・・・・。
カンカンカンッ!
カンカンカンッ!!
突如、警鐘が殿内に響き渡る。
「何事ですかッ!?」
ベナウィが立ち上がると同時に従者が血相を変えて飛び込んできた。
『も、申し上げます!連邦の白い悪魔がッ!!』
「は?」 (汗)
『で、ではなくて・・・クンネカムンの移動型兵器がこちらへ進行中ですッ!』
ギャーギャーワイワイ・・・ぴたり。
酒盛り(ヤケ酒)で異常に盛り上がっていたカルラ達が騒ぐのをやめる。
「・・・なんですって?」
カルラが険しい顔付きで従者に尋ねる。
「クロウ・・・!」 バサッ!
「ういっス!!」 むくり。
ベナウィとクロウが急いでその場から走り去った。
・・・・・・・・。
ドォォォーーーーンッ!!
突如、轟音と共に殿内が大きく揺れる。
すると、先程皇座の間から出て行ったはずのベナウィとクロウが
必死の形相&全力ダッシュで戻ってくる・・・。
「ベ、ベナウィ、クロウどうし・・・・
ズダダダダ。
私が声をかけ終わる間もなく2人は私の横を通り過ぎ、
「聖上・・・お逃げ下さい・・・殺されます!」
「じょ、冗談じゃね〜スよ〜!!」
と呟くや否や、一目散に裏殿の方へ向けて走り去っていった。
「・・・・・・。」 (汗)
その直後、
ドグワシャーーーーッ!!!
「おわッ!?」
凄まじい轟音と衝撃。そして爆風で皆がもんどりうつ。
「キャァァッ!」
「エルルゥッ!」
風圧で吹っ飛ばされてきたエルルゥの右腕を何とか掴むと、
もう片方の手で掴んでいた柱にエルルゥを引き寄せる。
「大丈夫か?」
「・・・は、はい・・・あ、ありがとう御座います。」 (ぽっ
そんな我々の隣で平然と立っているカルラがじろりと
「・・・あるじ様、私の心配はして下さらないのかしら?」
「いや・・・お主、素ですやん・・・・。」
グォォォォォォンッ!!
耳をつんざくような騒音と、火薬に似た何かが焼ける匂い・・・。
そして、噴煙の中で蠢く巨大な人型の何か・・・。
「ひ〜ッ!!アヴ・カムゥッ!?」
「ハクオロさん・・・な、なんですか!これは!?」
「・・・これが・・・クンネカムンの名立たる兵器ですわね・・・!」
クンネカムン製汎用人型決戦兵器『アヴ・カムゥ』。
アヴ・カムゥはシャクコポル語(クーヤたんの民族語)での読み名であり、
トゥスクルでは、またの名を『エヴア・ショゴゥキ』と呼ぶ。
「あ、兄者ッ!!」
「オボロッ!ここへ来るなッ!」
こちらへ駆け寄ろうとするオボロを制止する。
ウィィィーーーンッ!
アヴ・カムゥが大きな挙動で私達の方へ向く。
ヴヴヴヴヴヴヴヴ。
白銀の装甲に両肩に刻まれたクンネカムン皇族の刻印。
間違いなくクーヤの駆るアヴ・カムゥだ。
私は驚きと恐怖で今にも叫びだしそうなエルルゥの口を手で塞ぐと、そっと耳打ちする。
「・・・ンンッ!?(ハクオロさん!?)」
「・・・・静かにしてじっとするんだ・・・・・こいつは動くものに反応する!」
『・・・・ジジ・・・ピーーーガーーーー。ハクオロ・・・・
アヴ・カムゥを恐竜か何かと勘違いしておらぬか・・・・?』
アヴ・カムゥの背中らへんから冷ややかな口調のクーヤの声が聞こえてきた。
「こ、こらクーヤたんッ!な、なんのつもりでおじゃるか!」
『・・・・・・・・・・。』
「ま、まろの家をこんなに壊してッ・・・・!ちょっと可愛いからってやり過ぎでおじゃる!」
「【可愛い】は」 ドカッ!
「余計ですわッ!」 ゲシッ!
「賃がナイ賃ゲールッ!?」
『ジジ・・・・ハクオロ・・・・・。』
「な、なんでおじゃるか・・・・?」 (汗)
『・・・・・このうつけめッ!!』
ドグワシャッ!!
「ボブサップッ!?」
突然、アヴ・カムゥの巨大な拳がマロを襲う!
エルルゥを傍から突き放し・・・間一髪それを避ける。
「ま、まろを殺すつもりでおじゃるか!?」
『だまれ・・・・だまれだまれだまれ〜〜〜〜ッ!!』
「ふぇ・・!?」
『そ、そなたが・・・そなたが悪いのだ・・・・!』
何となくその場の空気を読み始めたカルラが、酒瓶片手にヘコヘコと
私とアヴ・カムゥの間に割って入ってきた。
「あるじ様が悪いですって・・・・?そもそもクンネカムンの皇たる貴方が
何故突然この内殿を急襲するのかしら・・・・國際問題よ?」
『そ、それは・・・・ハ・・・ハクオロのうつけが・・・・その・・・・』
「・・・・・・・・・・あるじ様。」
グィィィィッ!
「ぐえっ!?」
カルラに首根っこを引っ掴まれる。
「・・・・・どういう事かしらねぇ・・・?」 にっこり。
「な、なにがでおじゃるか?」 (汗)
「どうして・・・・クンネカムンの女皇が・・・あるじ様に妬いているのかしら?」
「へッ!?・・・・ナ、ナンノコトでオジャルか?マ、マロにはサパーリ・・・・
『そなたは・・・・そなただけは・・・余をクンネカムンの皇としてではなく、1人の女として・・・・・
ひ〜〜〜〜〜ッ!!
なしてまたこんな時に誤解を招く発言をぉぉぉぉッ!?
「・・・・・・逢引?」 ビキッ!ビキッ!
「ハクオロさん・・・・最低です・・・・他國の皇まで・・・・・。」
「ま、待つでおじゃる!!まろの話を・・・・
「サハリエ・ナトゥリタッ!!」
グワッシャーーーーッ!!
「肉体の会社更生法適用ッ!?」
ごんごろごろごろ←ころがる、はくおろ〜♪
「ク、クーヤ様ッ!御待ち下さいッ!」
そこへようやくサクヤたんが割って入ってきた。
『サクヤ・・・・。』
「どうか・・・どうかもう少し御自分に正直になって下さい!
(ゲシッ!ゲシッ!!)
(「ハクオロさんのバカァーッ!!女たらしーッ!」)
(ドカッ!ドカッ!!)
(「あるじ様・・・今のは少し女のプライドを傷つけられましてよ?」)
(「や、やめちくり〜〜!!まろはクーヤたんと御話していただけでおじゃるよ〜!)」
『・・・・・・よ、余が正直でないと申すのか!』
「そうです!・・・・・クーヤ様は・・・クーヤ様は・・・・・。」
(シャーコノヤロー!シャーコノヤロー!)
(「いつも【エルルゥ、お茶。】とか言って人をOL扱いだしッ!【でえと】もしてくれないし!!」)
(ファイッ!・・・・♪ファイッ!・・・・♪)
(「そもそもトウカを抱いている回数が私よりも多いという事事態が気に入りませんわ!」)
(「ぎゃーーーーひとごろしーーーー!!」)
『・・・・・・・・・・。』
「ハクオロ様を愛しているんじゃないんですかッ!?」
し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。
・・・・クーヤ・・・。
『よ、余は・・・・・余は・・・・・。』
―回想1―
「アムルリネウルカ・クーヤだ。」
「・・・・ハクオロだ。」
「?何故不機嫌な顔をしておる?」
「・・・・【えぶぁせぶんてぃん】もう少しで、えんでぃんぐだったのに・・・・・。」
―回想2―
「何故その仮面を外さないのだ?」
「阪神が優勝するまで外さないと誓ったからだ。っていうかお前が言うな。」
―回想3―
「遅いぞ・・・!今日は5分遅刻だぞ。」
「・・・・訪問販売よりもタチが悪いな。お前は・・・・。」
―回想4―
「ふふふ・・・・そなた面白い皇だな。」
「ははは・・・・クーヤのその欽ちゃん仮装大賞みたいな格好もなかなか。」
「・・・・・なんだそれは?」
「・・・・・気にするな。」
―回想5―
「ハクオ・・・どうしたまた不機嫌だな?」
「・・・ゲンジマルに言っておけ。まろがプリンを食べ終わるくらいは待てと。」
―回想6―
「余はこのような出で立ち故、外に出る時はこれを被ったままであったな。許せ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「ん?どうしたのだ?」
「・・・・・・・・・・・・まじ?」 (汗)
「ハクオロ?如何致した?」
「・・・・ク、クーヤたん・・・・女だったの・・・・?」 (カクカク
「お、お主は余が男だと思っておったのか!?」
「い、いや・・・・・その・・・てっきりわがままなジャリタレだとばかり・・・・。」
―回想7―
「ハクオローーーーッ!!」
「クーーーーヤーーーーーッ!!」
【ゲッハハハハ!クンネカムンの女皇は頂いたぞ〜!!】
「待てぇぇ〜〜!!竜王〜〜!!」
―回想8―
「ハクオロ隊長ー!」
「クーヤ君ッ!」
「ハクオロ隊長ッ!逝きましょう!」
「よしッ!帝國過激団、出撃だ!」
―回想9―
「お父さんッ!・・・お嬢さんを・・・クーヤたんを、ボキに下さいッ!」
「ハ、ハクオロさん!」
―回想10―
「貴方・・・・赤ちゃんの名前、どうしましょう?」
「男だったらシンジ、女ならレイと名付けよう。」
「もしもし、クーヤさぁ〜〜ん?」
『ハッ!?』
「途中からか〜〜なり妄想入ってなかったかい?」 (汗)
『・・・・・・・・・・余は・・・余はハクオロが・・・・。』
クーヤ・・・・本当に私を・・・・?
「なに嬉しそうにしてるんですか!」 ドゲシッ!
「汚JAL!!」
―シーンリプレイ―
「聖上♪某との御子の名前は如何致しましょうか?(はあと)」
如何致しましょうか・・・・・如何致しましょうか・・・・・致しましょうか・・・・・。
『・・・・・ハクオロが・・・・嫌いだ。』
「へっ!?」
『ハクオロのバカモノォォーーーーッ!!』
ヴォォォォォンッ!
「意味が分からんでおじゃる!!」
「あるじ様、年頃の娘の感情は複雑なんですわよ?」
ワオワオと暴れまくるアヴ・カムゥ。最早止める手立て無し。
「よ、よしッ!全員退却でおじゃるッ!」
振り返りてオボロやウルトがいた場所を見やると・・・・
「み、みんな逃げて居ねぇぇーーーッ!?」
がび〜〜〜ん。
嫉妬の鬼と化したクーヤたんをハクオロは止められるのか?
そして、トウカたんの出産予定日は!?
次回、愛と幻想のふぁしずむ第9話
『ザ・リアル・リアリティ』
お楽しみにッ!
・・・・最近次回予告で遊んでるでおじゃるな。