「では・・・・新球団名は・・・・仙台ジェンキンスでぇ可決致します!」 カンカンッ!!

全議題が終了した事をしめす合図がクンネカムン國会議事堂執政の間に響き渡ると、

定例評議会に参加している元老院達の表情に安堵と疲れが浮かんだ。

しかし、いつまで経っても肝心の皇の声が聞こえてこない。

中央に鎮座したクーヤはコクコクと船を漕いでる真っ最中・・・・。

それに気付いたサクヤが慌ててクーヤに耳打ちした。

 

(クーヤさま・・・!)

(むにゃむにゃ・・・・もっと食べた・・ほぇッ!?)

 

呆けた表情のクーヤが何事か?とサクヤの方に首を傾げる。

 

(もう終了しましたよぉぉ〜)

(えッ!?)

 

恥ずかしそうに肩をすぼませるサクヤを見て、あ!と我に返りクーヤは慌てて声を張り上げた。

 

「ほ、本日の議会はこれにて解散ッ!!」

 

・・・ガヤガヤ

 

「さて・・・家に帰ってチキソラーメンを・・・ゴホゴホッ」

「すまんな婆さん、わしゃあ今からゲートボールじゃああ。メシはぁいらんよってぇ」

 

ヨロヨロと老人達が議場を去っていく最中、左大将のヒエンが苦笑しながら歩み寄ってきた。

 

「聖上。少しお休みになられては如何ですか?」

「いや・・・よい。余とした事が少し昼食を取り過ぎてしまったようだ」

 

そう言いながら、バツが悪そうに顔を少し赤らめて、若き皇は咳払いをしながら席を立つ。

ピタリ

 

「・・・・ところでハウエンクァはどうした?」

「そう言えば・・・私も途中から見かけてないですね。サクヤ、お前は知ってるか?」

「え?右大将様なら議会開始5分後くらいにトイレに行くと言って出たきりなんですがぁ・・・」

「「「・・・・・・・・」」」

 

ドカドカドカ

【スターの部屋】

 

「ハウエンクァ!」

ガラッ!

「てめぇ!また議会サボリやがったなッ!!ぶっ殺死ッ!!!

 

こめかみに血管を浮かべたヒエンが怒声を張り上げながらハウクエンクァの部屋の襖を開けた。

 

ボンクラジョブは〜PTに参加しないで下さいね〜♪プークスクス。って・・・あ”?

「・・・・・・・・・」 ・・ズズ

 

すると、何盛ってんだお前は?という表情のハウエンクァの隣に見知った顔ではあるが、

ここに居るのはおかしいんジャマイカ?という人物が茶を啜っているではないか。

 

「あ・・・あれ?えっと・・・あんた、どっかで」

「・・・・・どうも、お邪魔しています」

 

シレっと湯飲みを置いて会釈するベナウィに首を傾げるヒエン。

 

「ど、どうしたの?お兄ちゃん」

 

怖いもの見たさ(と、言うかヒエンのハウエンクァ人誅シーン見たさw)

ついてきたサクヤがおずおずと兄の袖元から顔を覗かせて声をあげた。

 

「え!?ベ、ベナウィさん!?」

「ベナウィ!?思い出した・・・お前は確かトゥスクルの!」

「どうも、ご無沙汰してます。サクヤさん」

「他國の侍大将(オムツィケル)が堂々と不法入國とは、良い度胸してるじゃないか―!」

 

ヒエンはあっという間に抜刀すると、ベナウィに刀の切っ先を向けて声を荒げた。

 

「ちょっとお兄ちゃん!危ないよぉ!」

「・・・不法入國はお互い様でしょう」

 

ズズッと飽く迄ベナウィは冷静に再び茶を啜る。

 

「ゔ、それとこれとは別であってだなぁ・・・」

 

痛いところを突かれてヒエンが顔をしかめる。

 

「ベナウィさん、どうして右大将様のお部屋に?」

「えーっと・・・・どこから説明すれば良いのやらw」

 

脱力した声でベナウィは苦笑すると、コポコポと急須でお茶を注ぎ足した。

 

「取り合えず我が國(トゥスクル)は手遅れです。明日まだ國が存在するのであれば

 聖上とあの阿呆(オボロ)をどうお仕置きするか考えてるところです」

 

そう呟くとベナウィは溜息をついた。

 

「あぁ!もう!取り合えず俺はクーヤ様に報告してくる。サクヤ、その間頼んだぞ」

 

ガリガリと頭を掻きながら刀を収めてヒエンはその場を去ろうとする。

 

「と、まずはお前が議会をサボった事を追求するとしよう」

ぐわしッ

「あーん。だから髪は止めてって言ってるじゃないか」 じょび〜ん

 

ヒエンに髪の毛を掴まれて、ハウエンクァはズルズルと廊下を引き摺られていった。

し〜ん

結果、部屋にはベナウィとサクヤだけが残された。

 

「えっと・・・その・・・」

「・・・・・・・」

「あの、またこんな早くにお会い出来て嬉しいです」

「・・・私もです。サクヤさん」

 

少し俯き加減で頬を紅潮させたサクヤがそう呟くと、ベナウィも優しい笑みを返すのだった。

 

「ウォイ!アブ・カムゥで折檻は止めてッ!!氏ぬからッ!!ぎゃあああああ

 

遠くの方で誰かの悲鳴が聞こえた。

・・・カッポーン ←鹿威し



愛と幻想のふぁしずむ エピソード3(第24話)

逆襲の殺ァ - Vol.4 -




じ〜〜〜〜。

 

「・・・・・・むぅ」

「・・・・・・・・」

 

じ〜〜〜〜。

 

「・・・・・・うぅ〜」

「・・・あの、お姉ちゃん?」

 

大人アルルゥを真正面から穴が空く程見つめるエルルゥ。

 

「うぅ・・・確かにこの子、間違いなくアルルゥです・・・」

 

そう言うと、ガクッとその場に跪いた。

 

「だから、まろが最初からそう言っておろうに!」

 

腹を包丁で刺されたハクオロが血の涙を流して抗議する。

 

「ったく、世界の奴、こんなに深く・・・刺しやがって・・・少しは加減しろっての・・・ゴフッ」

 

意味不明な台詞を言って吐血。。。。

 

「でも、信じられないです。この双六みたいなもので、アルルゥが・・・」

 

そう呟きながらエルルゥはアルルゥの豊満な胸にチラチラと視線を移す。

 

「・・・アルルゥが・・・w」 ゴクリ

 

改めて自分の胸元を見た後、納得いかなさそうに再びアルルゥの胸を見る。

 



〜〜〜〜〜エルルゥ魂のルフラン〜〜〜〜〜

ど、どういう事なの?

ハクオロさん達から聞いた話だと、これがアルルゥの数年後の姿って事だけど・・・。

信じられない・・・現実にそんな事が起こっちゃう事自体が信じられないけど、

何よりも本当にこんな風に成長しちゃうって訳?

身長・・・高いわ・・・ウルトリィさんと同じくらいじゃないかしら。

何?そのくびれた腰・・・いえ、何よりもその胸よ!胸!w

何なのよ、その漫画みたいな胸!自己主張激し過ぎじゃない?

普段リンゴとかお菓子しか食べてないくせにどうしてそうなるのYOッ。

ちょっと待ってよ。私はお姉ちゃんなのよ?

どうして私よりもスタイル良くて胸が大きいのよぉぉ〜〜www

ハッ!?そう言えばドラ●もんとド●ミちゃんって兄妹よね。

確か二体共通のメカニックオイルか何かを分けて作られて、

ドラえ●んが上半分の薄いオイルで、

ドラ●ちゃんが下半分の沈殿した濃厚オイルだったはず・・・。

だから二体は兄妹なんだけど、ドラえ●ん性能はヘボイって

って、もしかして私ってド●えもんなのッ!?

じゃ、じゃあ何?アルルゥはド●ミちゃん!?

嫌ァァァァ―――――ッ!!!


 

「・・・ちゃん、お姉ちゃん・・・!」

「ハッ!?な、何アルルゥ?」

「・・・・・・お姉ちゃん、どうして私の胸ばかりみるの?」

「ギクッ!」

「・・・・・・・?」

「・・・・・うぅ・・あは、あははアルルゥ、その服じゃ胸、キツクない?」

 

姉が思うところに気付いたのか。アルルゥが自分と姉の胸を見比べた。

アルルゥの胸>>>>越えられない壁>>>>エルルゥの胸

「・・・・・・・・・・・・・」 ニヤリ

Σ(´=`|||)

「ッ!!笑った!今笑ったでしょッ!!(iдi)」

「・・・・・・・ワラってないよ」 ニヤ

「笑ったー!絶対笑ったー!wwww」

 

涙目になりながら地団太を踏んで、ヒステリーを起こすエルルゥ。

 

「なによ!お姉ちゃんだって今から大きくなるんですよーだッ!」

「おっほっほ。何ならまろがマッサージを

「うるっさいッ!」

バキャ!!

「馬鹿ち●こ〜〜〜!?」

「って言いますかぁ!駄目じゃないですか!こんな危険なもので遊んじゃ」

「遊びやあらへん」

「―ッ?」

「うちはマジやねん。邪魔せんといてくれへん?エルルゥはん」

 

目の据わったユズハがマックスコーヒーを飲みながらドスを効かせた。

 

「え・・・ちょっとユズハちゃん。一体何を・・・」

「うちはハクオロ様と勝負してんねん」

「勝負・・・?」

「そや。うちがこの勝負に勝ったらハクオロ様にうちと子

「わ―ッ!!わーッ!!」

 

言葉の途中でハクオロが大声を出して遮った。

 

「―ピクッ」

「そそそそそそうでおじゃるんば♪

 ち〜〜とまろとユズハは賭けをしててだなぁ。

 いや〜全くユズハには困ったものでおじゃるよ。ここまで負けず嫌いとはオーッホッ

「ハクオロさん、少し黙って下さい」

ゴキンッ。

「マグネロボガキンッ!?」

 

エルルゥに片手で首を180度回されてハクオロは悶絶する。

 

「・・・・ユズハちゃん。勝ったら何ですって?^^」

「うちと子供を作って貰うんや」

 

ひゅおおおおおおお。

部屋の気温が30度下がった。

カミュは張り詰めた空間に耐え切れず既に石化。

 

「・・・・ハクオロさん」

 

ゴキンッ。

再びエルルゥは片手でハクオロの首を180度回転させる。

 

「ゲフォア!!今360度回さなかったでおじゃるか!?」

「どういうおつもりですか?^^^^^^」

「ヒッ!?ま、まままままろは全力投球で断ろうと思ったでおじゃるが、

 亜苦死図が発動するとゲームが終了するまでどうしようも無いでおじゃるよぉぉぉ!」

 

亜苦死図を指差しながら半泣きで釈明するハクオロ。

 

「こんな賭け今直ぐ無効です!!だったら私が壊して―

「無駄やで」

 

バチィ!!

 

「きゃ!」

「エルルゥ!」

 

エルルゥが呪われし遊具を叩き割ろうとしたが、謎の力で弾き飛ばされた。

それと同時に何処からともなく声が聞こえてくる。

愚かなり人の子よ、我・・・・無敵。

「な、なんなんですかぁ・・・これぇ・・・」

 

ヨロヨロとハクオロに抱きかかえられたエルルゥが力無く呟いた。

 

「フッ、我が一族に代々伝わる亜苦死図を止めれる者などいないのさ」

 

偉そうにほざくオボロの傍でユズハは袖を捲くった。

 

「さぁ、再開しましょう」

「ハ、ハクオロさぁん・・・あの二人、今日絶対変ですよぉ〜!」

「安心しろ、まろは負けん。それにこいつらが変なのは元からだ・・・・・」

 

上ずった声のエルルゥの頭を良い子良い子しながら、ハクオロは扇子を握り締めた。

(とは言うものの、ユズハはゴールまで@10マスか・・・)

いきなりワープされて絶体絶命の状態に、冷や汗が流れ落ちる。

順番は現在までの運びを鑑みて

ハクオロ→ユズハ→カミュ→オボロ

と、なれば、次回は自分の番。

・・・・もしかすれば逆転の可能性もありえるのでは?と一抹の希望を抱く。

努めて冷静に賽を振るった。

シャアアア〜〜〜

コロコロコロ・・・・

出た目は4

白い駒が動き始める。

【イベント発動(エンゲージ)!ウィツァルネミテアカードを引いてください】

「またかよ・・・」

 

先程のオボロの分と合わせて3回目のウィツァルネミテアカード発動。

 

「お〜兄者スゲェな。連続で歌詠みか」

「クッ・・・人事だと思って」

渋々カードを引いて浮き上がる文字。


心に溜め込む細波は
やがては大きな波紋となりて
行き場を失い零れ落つる


「は?」

「え・・・?」

「なんだそりゃ?」

「・・・・・・」

 

相も変わらずの意味不明な文章に、周囲が首を捻っていると、

突然ハクオロが素っ頓狂な声で叫んだ。

 

「エロティックな話ィィ〜〜〜〜♪」

 

し・・・・ん

 

「プッ、なんだよ兄者変な声だしやがって」

「・・・・・・クス」

「嫌だハクオロさん。何ですかその変な裏声は・・・クスクス」

(え、私が言ったのか?)

「おとーさん、もう一度言ってみてぇ」

「おじ様、新手のギャグ?アハハ!」

 

さむさむかと思いきや意外にウケる面々。

ちょっとオイシイからいいかwとハクオロもつられて笑う。

荒んでいた場の空気が和んだかに思えたが・・・・

 


「えー、トウカは今まで12回ほど抱きました」


 

 

 

 

 

 

し・・・・・・・・ん


「・・・ハクオロ・・・さ・・・ん」

 

エルルゥの声が今まで聞いた事もないような声色になった。

余りの衝撃の事態にハクオロに眩暈と失禁感が起こる。

 

「ち、違うッ!?今のはまろが言ったんじゃない!!」

 

動揺で声が震える。

明らかに自分の口から出された声。

そして、明らかにその内容が事実だからである。

 

「ジョーク。いっつあジョークでおじゃるよ。おほ、おほほほ」

 

誤魔化そうとするがカチカチと震える顎のせいで歯が噛み合わない。

周囲はみな黙ったままである。

 

「いや〜〜、参ったなぁ〜〜ちょっと悪ノリしたでおじゃるよ。

 思いっきりスベっちゃったなぁ〜コレがw」

「ハク・・・オロ・・・さん」

「は、はいでおじゃる!」

 

物凄いエルルゥの声にビクンとその場で敬礼。

 

「そのギャグ・・・笑えないですから・・・」

「そ、そうですか!そうで御座いますよね!!」

「私、そういうの嫌いですから・・・二度としないで下さい」

「申し訳ないッ!ほんっとまろはすぐチョーシに乗ってしまって

 もう〜ダメダメ人間ですな!チョメチョメ!」

 

肩で呼吸するエルルゥを見て泣きそうになりながら、

必死にその場を取り繕うハクオロ。

事態は収束するかに思えたが・・・・・

 


「ちなみにカルラは15回です。酔った勢いが大半です。

 最初は媚薬を一服盛られてやっちゃいました。その時は中出・・・・


 

 

 

 

 

 

 

!?!?

「ま、待て!?何じゃこりゃー!?私の口が勝手に!11!」

 

半狂乱になりながら、ハクオロが叫ぶ。

とうとう誤魔化しきれず自分の異変を素直に吐き出した。

ちなみに今のも遺憾ながら事実である。

慌てて立ち上がろうとすると足がもつれてその場にひっくり返った。

ドンガラガチャーン

足元にあった湯呑みやおつまみやらが散乱する。

アルルゥは一体何を喋っているのか良く分からないといった具合に首をかしげる。

ユズハは沈黙を続け、オボロは顔面蒼白状態。

カミュはこの場の空気に耐え切れず、とうとう座布団を頭からかぶって

初号機のシンジ君みたいにガタガタ震えている。

エルルゥは・・・エルルゥはもう恐ろしく視界に入れる事自体不可能だった。


 

 



「ウルトは意外に回数少ないです。

 一番燃えたのがエルルゥの部屋でやった時です。

 いつ本人が来るのか来るのかとドキドキ学園でした。

 後処理には細心の注意を払いました。」


 

ギャアア嗚呼嗚呼嗚呼あああああああああああああああああああ


「だ、誰か止めてくれええええええ!!!」

 

残念ながらこれも事実である。

 

「ひぃぃぃぃ〜〜〜〜」

 

カミュの悲鳴が座布団から聞こえてくる。

オボロは既に目を開けたまま気絶していた。


 

 

 

「さて、エルルゥとですが、彼女意外にもア

 


ごしゃ!!

 

 

物凄い音が部屋に響き渡った。

エルルゥの壮絶な殴り落としにハクオロはグルングルンとスピンしながら部屋中をのた打ち回った。

 

「モsdgjdうlgkjダdfwqめfwlzzgpgqqぽ!?」

 

尻からラーメンでも食ってるのか?と言うような不気味かつ不快な断末魔・・・・。

 

「わーいわーい」

 

無邪気に駒のように回るハクオロを喜んで追いかけるアルルゥ。

子供は素直で大変宜しいwwww

部屋中を散らかしてようやくハクオロの体の回転が止まる。

 

「ひぃ・・・・ひぃい〜〜」

 

殴られた顎は既にモダンアートと化していた。

泣きながら這いつくばって部屋から逃げ出そうと頑張るハクオロ。

そんなハクオロの前にエルルゥが立ち塞がる。

 

「へ、へるるふ・・・・」(エルルゥ)

「・・・・・・」

「は、はなひをひいてふれ」(話を聞いてくれ)

「・・・・ニコリ」

 

エルルゥはゾッとするような薄笑いを浮かべた。

彼女がマジで怒っている証拠である。

こ、殺されるッ!?

じょおおおおおおw ←失禁

 

「何か言い残す事はありませんか?旦那様」 にっこり

「こ、こ、これは亜苦死図のせいなんだ!今のは私が言ったのではない!!」

「じゃあハクオロさんが言った言葉は何ですか?」

「だ、だから亜苦死図の魔力によってだなぁ」

「事実を言ってますよね?」

「ち、違います違います!!」


「エルルゥが一番落ち着ける。まるで生まれた時を思い出すのは何故だろう?」


「い、今のも私が言ったんじゃないぞ!?」

「・・・・・・・・」

「・・・クーヤさんとの回数は?」


「0です」


「ウォイ!!w」

「・・・・そう」

 

心なしかエルルゥの機嫌がマシになったような気がした。


【アクシデント発生。プレイヤーに致命的なダメージ。本イベントは現時刻を以ってドローされます】


しゅううう・・・

ハクオロの体から憑き物が抜けたような気がした。

 

「た・・・助かったぁ・・・」

 

ヘナヘナとハクオロはその場に伏した。

 

「まだ私の話は終ってませんが?^^^^^^」

「ひぃ!?」

 

スパァンッ!

 

「おだまりッ!人が寝てるのにギャーギャー騒いで、首へし折るわよ!!」

 

突如部屋の襖が豪快に叩き開けられ、怒りの形相のカルラ様が吼える。

 

「カ、カルラ・・・・」

 

天の助けと一瞬思ったが、カルラまでこの場にいられては

マジでシャレにならない事が起こるのではと一層の恐怖がハクオロを包む。

 

「って・・・何をしてますの?」

 

不穏に感じたカルラが髪を掻きあげる。

 

「別に・・・何もしてません。ちょっとハクオロさんと口論になっただけで」

「ふぅ・・・ん」

 

マジマジとエルルゥとハクオロを交互に見た後、カルラはフッと薄笑いを浮かべた。

 

「お邪魔したみたいね。また寝直す事にしますわ。五月蝿くしないで頂戴」

「・・・・・」

 

怪訝な表情を浮かべるエルルゥにカルラが気付くと欠伸をしながら言葉を続けた。

 

「あら、不満そうね?どうかしたのかしら?」

「・・・・やけに、今日は素直に引くんですね」

「私、別に痴話喧嘩に口を挟むほど野暮じゃなくてよ?」

「―ッ!」

 

かああとエルルゥが顔を紅潮させて怒りを露にした。

 

(・・・・ふふ、真っ赤にしちゃって、子供ね)

「痴話喧嘩・・・とか、そういうのじゃありません!」

「あら、そうなの?じゃあ私も気にせずに眠れるわ」

「え?」

「ところで人それぞれ愛し方というのは違うものよ。ではおやすみ・・・アフ」

 

パタン。

カルラは眠そうにヘコヘコと去っていった。

 

(フッ・・・カルラらしいな)

「な、何よ・・・!余裕ぶっちゃって・・・私は・・・」

 

そう言ってしばらく黙りこんだエルルゥだが、大きく深呼吸した後、

スタスタと部屋を出て行こうとした。

 

「お、おいエルルゥ?」

「何だか馬鹿らしくなっちゃいました」

「え?」

「・・・そろそろ晩御飯も準備しなきゃ」

 

振り返ったエルルゥは微笑を浮かべていた。

 

「そっか・・・いつもすまないな」

「じゃあ私、戻ります。その馬鹿な賭けさっさと終らせて、皆さんを解放してくださいね」

「あぁ。夕飯、楽しみにしてるよ」

 

ハクオロの言葉にピクリと反応すると、エルルゥはにっこり微笑んだ。

 

 

「・・・・ハクオロさんは、今日は抜き決まってるでしょ」

 

○∠\_ → ぷ〜


 

エルルゥが部屋を去った後、周囲を見回すと、

カミュが恐る恐る押入れから外を伺っていた。

 

「・・・・小動物かよ、お前はw」

「もう・・・・おじ様、シャレにならないよ!」

 

プンスカと怒りながらゴソゴソと押入れから出てくる。

 

「あんな暴露っちゃって、自殺願望としか思えないんだから」

「いや、だからさっきのは私の意志ではなくてだなぁ・・・」

(クッ・・・なんて危険極まりない代物だ。さっさとこの勝負を終らせて必ず廃棄処分にしてやる!)

「オボロ、ボロボロ〜〜?起きてよぉ〜?」

 

ゆさゆさとアルルゥがオボロの頭を抱え上げて揺する。

 

「うぅ・・・ん、イデが・・・イデが・・・ん?」

 

頭部に感じる気持ちい感触。

 

「こ、これはァー!?」

 

クワッとオボロは目を見開くと、頭部にはアルルゥのパイオツが。

 

「我が人生!一片の悔いなし!!!!」

 

号泣するオボロの首根っこを何者かが掴むと、物凄い勢いでオボロが宙に浮かぶ。

 

「うわあ!?」

 

オボロの首を掴んだのはユズハ・・・・そして

ポキッ、パキャ、メキャ、カコン

アッと言う間に空中でオボロの全関節を外し、

ありえない力でオボロの体を折り畳んで?いく。

 

「・・・・・・オボロが」(汗

「ひ〜〜〜」

「ボロボロが・・・あ、これは〜!?」

あっという間にオボロ体はタバコ大の長方形に圧縮された。

不気味なレゴブロック人形みたいに変わり果てたオボロ・・・・

しかし、その姿は何処かで見たような容姿である。

そう、ゴールドライタンの誕生である。

「・・・・・・・」 ←オボロ


変〜わるんだ♪ 変わるんだ〜♪ 無敵のローボーにー♪


「こ、こらユズハ、オボロは仮にも兄だろ?w」

「・・・・・・・・・・・ぶつぶつ」

 

困惑した表情を浮かべるハクオロを尻目にユズハは俯いて何か呟いている。

 

「・・・・・・・・・へん」

「あのぉ・・・ユズハ?」

 

ハクオロも漸く彼女の異変に気付く。

 

「・・・・うち、まだハクオロさんに一回も抱いてもらってへん」

「ゲッ!?」

 

今まで沈黙を保っていたユズハ。だが、ハクオロの暴露は彼女にとっても

薄々感じていた事ではあるが耐え難い屈辱であったのだ。

 

 

――― 愛がある

――― 哀しみもある

――― しかし

「― 陵辱がないでしょッッ!!」

「ひぃぃぃ!?」

 

ユズハ咆哮。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「・・・・絶対、契る」

「ぶっ契りですか!」

 

ユズハヒートアップ。飛ばすぜ!波紋のビート!

依然としてユズハとの差は埋まっておらず、このままではハクオロの負けは避けられない。

どうする?ハクオロ?

輝け!勇者皇ハクオロッ!!

 

(やむをえん・・・!やるしかないか)

「わーい、これ変形するのかなぁ〜むふぅ♪」

「・・・・・・変形シネーヨ!w誰カ戻シテクレーw」








 

つづく




この物語はフィクションであり
登場する人物名、団体名等は
実在するものとは関係ありません