いまや世界一の超人都市となった秋葉原、

繁栄と隆盛を極めしこの街には多くのものが集まってくる。

夢も、希望も、欲も、野望も。そして、古くから続く正義と悪の戦いも・・・・・。

「さあ、ここが秋葉原ね。噂どおり、イキの良い超人がいっぱいいそう・・・」

「ちゃんと任務はわかってるだろうね」

「わかってるわよ、その前にちょっと801の新作チェックを・・・」

周りから奇異の目で見られていることにも気づかず、訳のわからぬ独り言(?)を終えると、

長い黒髪にサングラスの美女は、雑踏の中に消えていった。

 

超人労働戦隊ハグルマン



主題歌  作詞・作曲 ときめき48000  唄 プロ串ー田アキラ&ウィーン少女合唱団

萌えろ萌えろ〜
俺の小宇宙(コスモ)が萌えているぅ〜

悶え悶え〜
それが漢の勲章〜

好きとか〜
嫌いとか〜
最初に言い出したのは誰なのかしら〜?

義理妹は好きか?な〜ら〜ば、来いッ!
2次元好きで悪かったな
カモン、ベイベー!
(せんせい大好きー!)

唸れッ!必殺の超スーパーリアルリアリティー
(せつなさぁーさくれつぅー!!)
咆えろッ!戦慄のスパイラル萌エリンスー
(感感俺俺ッ!)

越えちまった一線は〜
もう引き返せないぜ?

そうさ〜、俺達が
社会のクズ正義のヒーロー
超人労働戦隊ハグルマーーーーン!

 

【始末書その一「それぞれの覚醒」】

「あれ、いくらやっても繋がらないな、

 プロバイダーに文句いってやらなきゃ、って会社の回線なんだけどな」

その日も、男は勤務時間にインターネットでSS巡りをするつもりだった。

(本人は)当然の権利と思っている行為が出来ずに、

不機嫌そうにドクターペッパーを一気に飲みこむ。

漂う美臭に眉をしかめる隣席の同僚たち。そこに回ってくる一枚の回覧文章。

「私用でいかがわしいネット閲覧をしている社員がいるので、一部LANを外してあります・・・」

男は自分の机のパソコンから延びているはずのケーブルが無いことに気づいた、

いや、自分のパソコンだけが隔離されていることに。

さらに後ろを通りかかった総務部長が一言。

「・・・・次は無いと思ってくれ・・・・」

先々月の始末書、今までの大小のミスの積み重ね、さらに今回のこと。

これで彼の名、星元は社内リストラファイル・通称ブラックビルボードナンバーワンとなった。

「こうなったら、あそこにでも行って、運気上昇・漢買いにゃも」

 

こぢんまりとしたオフィスの隅で、先ほどからカチャカチャ音がする。

「たく、流行だからって何でも格ゲーにするこたあ無いだろうに、大体サザエの対空技強すぎなんだよ」

今回の試遊ゲーム「キングオブ長谷川町子2003」をプレイ(使用キャラ。花沢さん)しながら

つぶやく血色の悪い男がいた。

男は、常に陰鬱だった。海辺(日本海)で出会った美少女に、

「北にさらわないで、ひぃぃぃぃー」

といきなり逃げ出されたことも、今まで締め切りを迫っていた相手と逆の立場になったことも、

道端で出会ったマントを身に纏ったスーパードクターから、

「お前が感じている感情は精神的疾患の一種だ。

 治し方は俺が知っている俺に任せろ」

といきなりロシア軍の注射をされ、謎の薬剤一箱を貰ったことも。


貰った薬剤(抗うつ剤)を手掴みでボリボリかじりながらプレイを続ける、あと一口で致死量という時。

「嘘、花沢さんのエンディングって、ナカジマと結婚かよ〜」

男…名は会長という…の鬱は、頂点(パーフェクト・ブルー)に達した。

「・・・・・DVD版でも買いにいこ・・・・・」

 

男は凍えていた。氷点下の町で。

この北の街では、ともすれば余計に人のぬくもりが欲しくなるものだ。

だが、彼には超人ゲームさえあればいい、はずであった。

最近、彼の兄は結婚し、美貌の兄嫁と、同じ資質を持つ義妹が彼には出来た。

男のロマンともいえる可愛い義妹の誕生に彼の気分は檻にウサギを放り込んでもらった野獣と同じであった。

しかし、彼に一線をこえることは許されない。

世俗の倫理などどうでも良かったが、今までエイエソの愛を誓ってきた恋人達の存在(inハードディスク)、

何より同志たちにばれた時に、嫉妬の炎でジャンヌ・ダルクと同じ末路をたどることを、

今までの経験から彼は知っていた。

スポーツで鍛えた体と、超人ゲームで鍛えた妄想、さらに死事で溜まるストレスのはけ口として、

彼に宿るえちぃパワーは増すばかり。

「さむいよ、弥生ちんってば、○○たんとハァハァしたい。だけど火あぶりは嫌だからなあ」

情けない独り言に自分の名前は入れないほうがいいんじゃないかと心配になるこの男の名は弥生。

ため息をつく彼の白い吐息が、歓楽街の明かりに映えピンクに染まっていた。

「伝説の、あの街に行けば、忘れられるかなー」

 

「本日も異常なーし、もっとも2ヂャンの葉鍵板の話だけどね、ギヒャヒャ」

深夜、夜勤者のみが在勤する会社で、少々ハイで音程の外れた笑い声が響く。

「せっかくの一周年に夜勤を入れるとはなんてふざけた会社だ、大体あの人事評価は・・・、

 野郎め俺様のパロスペシャルでイチコロだ、グビグビ」

周囲に人がいないことで随分強気な発言だが、例えがロボ超人の必殺技なのが悲しいところ。

ちなみに彼はマウンテンデューを飲んでいる。

あてにしていた宝くじははずれ、自殺しようとしていた友人にまで

「金貸してくれ」

と頼む凋落振り、自称貴族の外見も今ではルン○ン呼ばわりされる始末。

「更新は後回しで、メルブラに、風呂上りは例のバスタオルで・・・」

この男は超人的思考をしている時、本当にいい顔をして笑う。

そんな彼の魂に、人間の神からレッドカード

超人の神から赤紙がきていることをこのとき彼は知らない。

召集令状には「ときめき」と書かれていることだろう。

「さて、明日はあいつを誘って聖地巡礼としゃれ込みますかね」

 

この世知辛い世の中に人間の楽園などは存在しない、が超人の楽園は確かに存在していた。

それが魔都、秋葉原である。

ただしそこは、善にも悪にも平等な楽園であった。

ここは漫画喫茶「見上げれば宇宙(そら)」、昼間だというのに休業の札が下がっている。

「よく集まってくれたな、諸君」

Kanonの制服(女子)に刀を持ち、

鉢巻には「スール募集中」とかかれた首座とおぼしき男が口を開く。

「うな〜(モクモク)もともと僕の店だから〜」

煙を吐きながら、ガリガリのタバコ体型の男が答える。

見た目の幽鬼っぽさと呑気な口調が大変アンバランスだ。

自称真人間、その実態は明日のアングラ王を目指すまさに死神博士。

「それより、いよいよ今日は記念すべき決起の日ではないですか」

にこやかな表情ながら時折異様な目の輝きを見せる童顔の男が答える。

男の目は魔眼、どんな偽乳も彼の目を逃れることは出来ない。不幸のフラグ立ても得意である。

勘と経験でパソコンや超人機獣の改造をするので、特に仲間から恐れられている。

「わたしのレアカードが必要とあらばいつでも・・・変身」

カードデッキを構え、変身ポーズの練習に余念の無い男が答える。

彼の妄想具現化能力は玩具の銃から弾を発射し、カードの中身を現象化する。

残念ながら超人ゲームには効果がないらしい。こう見えて正月は家庭的に過ごす。

「僕のコレクションも、まだまだ増えますよ。鶴来屋ハァハァ

デジカメを磨きながら、超人ゲーム背景マップを作成する若い男。

一見どこにでもいる好青年に見えないことはない。

ただしその熱っぽい目には、まだ見ぬ景色しか映っていないようであった。

彼のデジカメ捌きは投降写真の編集部からも一目置かれているとかいないとか。

その様子を壁にもたれながら皮肉っぽく見つめるアフロの男がいた。

読んでいたフルバを棚に戻すと最近やけに疼く右手をさすりながら

Kanon制服(女子)の男に一瞥し外へ出て行ってしまった。

皮ジャンの背には「世界のロ○コン」の文字が。

首座の男はため息をつく、どうやら他の幹部とは少々違う人間関係がこの二人にはあるようだ。

「65000HIT・・・83838HIT・・・84848HIT・・・85000HIT

 ・・・85058HIT・・・86000HIT・・・サクセンノジュンビガデキマシタ」

スーパーコンピューター「チエン」の子機である「PC−FX」が告げる。

「では諸君、祭りをはじめようか」

刀をかざし、首領は作戦の開始を高らかに宣言した。


ここは秋葉原の地上、漂う電子臭と超人たちの澱死臭のなか、その男、星元はあてもなく歩いていた。

「松屋の牛皿食ってから、入り口の自販のドクターペッパーで一服、ああ甘露甘露」

そんな星元に突然声をかけてきたサングラスの美女。

「ちょっと、そこの君、少し話を聞いてもらえないかしら」

だが、妙齢の女性に声をかけられたことが、宗教とキャッチセールスしか経験がなかった星元、

わずかな期待と不信感と恐怖が混ざった表情に。

「うぬぬ、お金なら、『妹でいこう』買う分しか持ってきてないチョリソー」

と慌てて逃げさった。残された美女は地団駄を踏むと

「もう、これで4人とも逃げちゃったじゃない、どういうこと、金PAPA」

すると、持っていたハンドバックの中から声が。

「おおかた姫が宗教の勧誘かキャッチセールスにしか見えな…ぶべらっ」

姫と呼ばれた女性が、コロ助に嶋田久作が取り憑いたとしか思えないようなロボの首を力いっぱい握っていた。

その時、彼女の携帯から着信音が。

「彼らと上手くコンタクトは取れたかね、コードネーム・姫よ」

ゴスロリ衣装の指令が画面に現れる。

「吟砂指令、現在地は掴んでいるのですが、なかなか一筋縄では」

「超人というのは無駄にシャイだからな。ところでナビゲーションロボは役に立っているかね」

ぐったりとした金PAPAを画面外に蹴飛ばすと慌てて

「も、もちろんですわ、それでは任務に戻ります」 ブツッ。

「さーて、少しペースをあげるわよ、金PAPA」

「ゴボゴボ」

口から、どろり濃厚を垂れ流し、うなずく金PAPAであった。

メインストリートを一本外れた裏通りから売り子の声がする。

そう、超人は秋葉原のメインストリートでは買い物などしない。

裏通り、地下、狭いビルにこそ真のお宝あり。

「はいはい、今日は季節外れの勤労感謝、社会人の方は7割引だよ〜」

そこには「屑をブタ箱の中に」と書かれた一見ハートフルな超人ショップがあった。

呼び込みに誘われ次々と入っていく社会人超人たち。そこに見た様な顔が二人。

「それにしても随分薄暗い店内だな、ときめき」

「なんせ7割引だからな、電気代をケチってるんだろう。止められちゃってからじゃ遅いってこった、会長」

「それはお前だろうが!・・・?何の音だ」

ウィーンウィーンウィーン・・・・・・・・・

広くは無い店内にぎっしりと客が入り、熱気と薄暗さへの不満がピークに達した時、

いきなりシャッターが閉まり、窓には鉄格子が。

店内に照明が点くとそこには驚愕の値札が。

「げっ、タソギャレ100万円だとッ!?」

「わくわく惑星プリソセスが96万円・・・・」

「ヴァンゲリングベイ・スペランキャー・たくぇすぃの挑戦状、時価っ!」

「7割引でもとんでもない額だ」

「ぼったくりは暴力バー、カ○ス・ゼネ…だけでたくさんだ」

「しかも何か買わないと店の外には出られないって書いてある」

「社会人の皆さん、当店へようこそ」

せりあがる床から、全身に4台のデジカメをつけた奇怪な怪人の姿が

「私は超人ゲームの背景探しが趣味の、超人機獣・デジカメコロスケ、

 愛称はでじこだにょ。皆さん、当店で有り金無くなるまで買い物をお楽しみください、

 逆らうとこれでコレモンですよ」

コロスケを取り押さえようとする数人が、シャッターを切ったデジカメコロスケに写されると、

ディスプレイに吸い込まれていく。

「ああ、東鳩の背景キャラに」

そう、コロスケは写した人間をゲームの背景に取り込んでしまう怪人なのだ。

恐怖にざわつく店内。不安のあまり互いに顔を見合わせる客たち。

「北の街からせっかく傷心旅行にきたって言うのに、ちょっとあんた、秋葉原ってのはいつもこんななのか」

「俺も首が危ないたびに憂さ晴らしには来てるが、

 こんなアコギは株価が底値のブロッ○リーでもやらんと思う

どうやら弥生と星元も店内に入っていたらしい。

混乱と恐怖に満たされる店内で、勇敢かつ貧相な漢がふたり

「お前ら一体何者なんだ、こっちは夜勤明けで眠いんだ」

「そうだそうだ、DVD版手に入れないとまた鬱が溜まっちまう」

それはときめきと会長であった。エキサイトする二人に冷や水を浴びせ掛けるように

「くくく。ル○ペンと工作員風情がいきがりおって」

Kanonの制服を着た漢が、デジカメコロスケの後ろから嘲笑とともに現れた。

「我々は超人生徒会ダブリンズ。そして我が名は総統りょっちゃん。

 暇と萌えはあるが金は無い我々学生超人が、

 貴様ら社会人超人を奴隷化してこの世の萌えを独り占めするのが目的さ、

 まずは手始めにお小遣い稼ぎをと思ってな、にははは。」

変態に馬鹿げたことを自信たっぷりに言われ、店内に監禁された超人たちは圧倒される。

暇も人並みの幸せもなくともせめてひと時の萌だけはとすがる想いで秋葉原に来た超人たちを

絶望感が包み込む。

「人生のレッドカードを受けてまでがんばってきたのに・・・雪乃たん」

「どんな鬱でブルーでも君さえいてくれれば、くーちゃん」

「こんな俺のピンクな思いも、ゆうなたんは受け止めてくれる」

「ブラックリストに載ろうとも、月夜ちゃんはパパと呼んでくれた」

その時、四人は思い出した、ポ○モンのぴかぴか事件の画面から受けたイメージを。

それはすべの超人に等しく萌をもたらせとのメッセージと過去からの記憶の継承。

パリーン

突然天井近くの窓から飛び込んできた影。

「どうやら間に合ったようね、金PAPA、みんなにアレを」

それはサングラスの美女こと、姫であった。肩に乗った金PAPAから4枚のディスクが発射され、

それぞれの手元に。まるで生まれたときから知っていたかのように、ディスクを額にあてる4人。

やがて4色の希望の光が輝く。

「萌ストール、はっぴ〜ぶり〜でぃんぐ」

「萌ストール、ナチュラル2 -DUO-」

「萌ストール、はじめてのおいしゃさん」

「萌ストール、先生だーいすき」

眩しい光が晴れたとき、雄雄しく立つ4人の勇姿が。

赤いボディスーツに金魚のヒレのひらひらがついた人生の赤点戦士歯車レッド。

右手の甲にはハートのキングが燃える。

青いボディスーツにジーンズ、青紫の髪を大きなリボンで結んだ蒼鬱戦士歯車ブルー。

右手の甲にはスペードのクイーンが煌く。

桃色のボディスーツにパジャマ&バニーの煩悩桃色戦士歯車ピンク。

右手の甲にはダイヤのジャックが光る。

黒のボディスーツにミッション系の制服のブラックリスト戦士歯車ブラック。

右手の甲には黒きジョーカーがゆらめく。

4人の額には歯車型CDドライブの中で回転するそれぞれのゲームが輝く。

 

超人労働戦隊、ハグルマン!! (ドーーーン)

 

狭い店内でポーズを取り、背後で爆発する火薬、はっきり言って迷惑だ。

「おのれ、コロスケ、やってしまえ」

炸裂するコロスケの撮影攻撃、だがハグルマン達は店内の一般人の影に隠れて巧妙によける、

身代わりに次々ディスプレイに吸い込まれる客たち。

「おっ、ここって霧島診療所だよな」

「すげえ、生あかりだぜ」

画面の中から、意外に幸せそうな犠牲者達の声が・・・

「お前ら、正義の味方のくせに一般民衆を盾にするのか」

思わず突っ込む総統閣下、それに対しブルーが

「正義の味方といった覚えも、毎日更新といった覚えも無い」

「後者はあるやろが!!」

「そんなことよりいつまでも逃げている訳にもいかんぞ」

すかさず突っ込むレッドを無視するブルー、やはり根性が曲がっている。

「奴はデジカメと超人の合成、だから水に弱いわ」

姫のアドバイスを受け、炸裂する4人のコンビネーションアタック。

キュピーン!!

「焼きうどんウイップ、カルボナーラ」

ぐるぐる巻にされ動きを止められたコロスケに

「ゆうなスク水ビーム」

「生徒と一緒にお風呂、シャンプーハーット」

「ぐあっ、やめろ、水は〜」

虫の息のコロスケに近づくレッド、どこからともなく出したスクール水着を着用

「俺の水着が真っ赤に萌える、勝利をつかめと滴り濡れる。

 フォォォォォォ、雪乃たん初登場、びしょ濡れアターック

びしょ濡れのレッドにボディアタックを受けるコロスケ、全身から煙を噴き出し

「元町の雪、ありがとう・・・・うぐぅ」

ドカーン

コロスケ、再起不能(リタイヤ)。

「おのれ、ハグルマンとかいったな、店ごと吹き飛ばしてやる」

変態総統閣下は自爆スイッチを押すと隠し扉から逃走した。

「姫、あと1分でここは爆発するよ!」

叫ぶ金PAPAに

「みんな、急いで逃げるわよ」

姫が飛び込んできた窓から飛び出す一同、彼らが走り去った背後で大きな爆発が。

ド――――――ン

西部警察ばりに吹っ飛ぶフェアレディZ。

「皆さん無事ですか」

尋ねるブラックに

「我々は無事のようですけど、ところで店内にいた人たちは?」

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピンクの質問に、彼の故郷にも劣らぬ寒い風が吹く。

一瞬の沈黙、顔を見合わせる一同、だが

「それじゃあみんな、帰還するわよ」

「了承(1秒)」

心なしか早足だ。


「ところで例のポケ○ン騒動、お前らが犯人か」×4色

「ええ、いい歳をしてポケ○ンを見ているおっきなお友達なら、ハグルマンかもしれないと思って」

「それで、ハグルマンの超人メッセージを受けた子どもは耐え切れずショックであんなことに、

 お前ら少しはちっちゃなお友達への悪影響は考えなかったのか」

詰め寄るときめきに

「え〜、姫なんのことだかわかんな〜い、多くの命を救うには、少数の犠牲は必要なの。

 それが、英雄の条件なのよ」

いつ自分たちがその少数にされるか、恐怖に怯えるハグルマン&金PAPAであった。


ハグルマン、初戦救出人数、0人。

 

次回予告

4人を秘密基地で待っていたのは、ゴスロリ指令吟砂と謎のスーパーコンピューターGZM。

リーダーを決めろといわれても4人の心はひとつ

「俺がこいつらより変態の訳が無い」

醜い擦り付け合いの結末やいかに。

次回、始末書その二「リーダーはお前だ」。


 

中略サブタイトル集
始末書その三「消えたセーブデータ」
始末書その四「一人ぼっちのブルー」
始末書その五「敵か味方かY2y」
始末書その六「第五の戦士その名はイエロー」
始末書その七「レッドはイケメン」
始末書その八「義妹上京」
始末書その九「クリスティーヌ7変化」
始末書その十「姫さまの休日」
始末書その十一「百合と柚子」
始末書その十二「新入りバイトは敵幹部」
始末書その十三「初回限定版を追え」
始末書その十四「吟砂指令の秘密」
始末書その十五「ブラックのお見合い」
始末書その十六「逆襲のD」
始末書その十七「ピンクの彼女は○学生」
始末書その十八「東映マンガ祭り危機一髪」
始末書その十九「夏コミに消えた恋」
始末書その二十「僕は本屋のおじきさん」
始末書その二十一「結成・ハグルマンバンド」
始末書その二十二「偽ハグルマン登場」
始末書その二十三「盗まれたカードデッキ」
始末書その二十四「復活、Zコロスケ」
始末書その二十五「初めての敗北」
始末書その二十六「老師東萌腐敗」
始末書その二十八「新必殺技誕生」
始末書その二十九「レッドの里帰り」
始末書その三十「ブルー収監」
始末書その三十一「タバコ絶食4日目」
始末書その三十二「雪と初恋と初萌」
始末書その三十三「ブラックは迷コック」
始末書その三十四「忍び寄る暗雲」
始末書その三十五「戦いの真実」
始末書その三十六「かみ合わぬ歯車」
始末書その三十七「世界の車窓から」
始末書その三十八「誰が為の萌え」
始末書その三十九「秋葉原崩壊前夜」

 

前回のあらすじ

秋葉原を己だけのものにしようと企んだりょっちゃん総統は、

飛行石で秋葉原を空中に持ち去ろうと「天空の城作戦」を実行する。

大空に飛び立とうとする秋葉原、

「風の味なんてしねえよ、このジュース」と嘆く超人労働戦隊。

だが、ダメもとでブルーが呟いた「バルス」の一言で飛行石の力は失われ、秋葉原は救われた。

失敗を悟った総統はすべての超人ゲームのセーブデータを破壊するコンピューターウイルス、

「児ポ法X」を武器に、最後の戦いを挑む。

 

【始末書その四十「最終話・それでも歯車は回り続ける」】

「こんなところにあったのか」

驚きを隠さずに語るレッド。

「俺、何度も来てるよ、握手の列に並んで何回か係員につまみ出されたけど。

 まさか仮面ライダーショーをやっている地下で悪事を企んでいたのか」

「ブラック、今後は控えたほうがいいぞ・・・。

 それにしても地下闘技場というのは聞いたことがあるが、地下秘密基地か」

たしなめながら何かを握るアクションをするイエローことY2y、握撃ですか?

そう、ここはちいさなお友達のメッカ、後円楽遊園地だった。

この地下に、ダブリンズの幹部たちが逃げ込んだ秘密基地がある。

「やつらが児ポ法Xを完成させたら、世界の超人は超人生徒会の言いなりだ、

 雪乃たん、俺を守ってくれ」

愛する人に祈りをささげたときめきが、意を決して叫ぶ

「みんな、最後の戦いだ、死ぬなよ」

「「「「応っ!!!」」」」

一方その頃、ハグルマンの秘密基地・萌エルギアベース

傷ついたスーパーコンピューターGZMが、最後の起動をしていた。

「GZM、無茶だ、おとなしくしていろ」

「ありがとう吟砂指令、だがやつとは私が直接決着をつけねば」

GZM本体から黒い影が分離し、後楽園遊園地へと飛び立っていった。

無言で敬礼をする吟砂指令。その目には二度と会えぬ友を見送る熱い涙が溢れていた。


地下空間にそびえたつ塔、そこが超人生徒会・ダブリンズの秘密基地

『18歳未満だってばれたらどうしようの塔』であった。

もちろん17階建て(総統の誕生日のたびに増築来年いよいよ、成人の塔に)。

「げっ、よく見たらこの塔ソフマッピとかレオックス、どらのあなにまんたらげ・・・

 とにかく超人が一度はお世話になったお店のポイントカードで出来てやがる」

蒼白な顔で語る会長、そのとき

「よくここまで来たな、ハグルマン」

そこには総統以下、幹部全員が並んでいた

「みんな、変心だ」

「萌ストール、はっぴ〜ぶり〜でぃんぐ」

「萌ストール、ナチュラル2 -DUO-」

「萌ストール、妻みぐい」

「萌ストール、はじめてのおいしゃさん」

「萌ストール、先生だーいすき」

「「「「「超人労働戦隊ハグルマン」」」」」 ドーーーン

「ふん、俺のパロスペシャルで葬り去ってやる、どうした、かかってこいよ」

強気なレッドの顔が、だが総統の手にあるものを見て急に曇る

「ついに完成させたよ、児ポ法X発生装置。これが恐ろしくはないのかね、にはははは」

哄笑するりょっちゃん、くるりとイエローのほうを向く、その顔はもう笑ってはいない。

「そんなことよりも歯車イエロー、いやさY2yさん、どうして僕を裏切ったのさ、

 傷心のあまりすっかりマリみてにのめり込んじゃったじゃないか」

「話を聞け、広瀬、これには訳が・・・」

「えーい五月蝿い、お前なんか登校日間違えて死んじゃえ、ものども、このチキン達をやってしまえ」

一斉に襲い掛かる4幹部の必殺攻撃。

タバコの魔煙(ゴールデンバットとわかば)

「煙っ、吸ってる方がおかしくならないか、普通」

Dの自称魔眼殺法(カッターナイフを振り回しているだけという説有)

「シャレ抜きで一番危ないよ、これ、うわっち」

V−X2はマ○ナバイザー(バン○イ製)で仮免ライダーゾルダーマンに変身

「虎羅、いきなりファイナルベント出すな、グワーッ」

Zコロスケの6連装防水デジカメ

「水掛けても効かないよ、さすがデジカメ現場監督(対塵・対衝撃・耐水の最強デジカメ)」

激しい攻撃に、ハグルマンは押されまくった。

「このままじゃまずいわ、頼むわよ、金PAPA。レッツ、特攻〜」

「俺はボールボーイじゃねェ、イヤヤヤヤヤヤアアアア

物陰から突然、白色の物体が飛んでくる。それは総統の手にあった「児ポ法X発生装置」を粉砕した。

金PAPAは今までの人生が走馬灯の様に去来していた。

一同が物体の軌跡を逆にたどると、そこには投球動作を終えた姫の姿があった。

「姫ってトルネード投法だったんだ・・・こえー」

スピードガンには160kmの文字が。自称スポーツマンのピンクと野球好きのDは戦慄を覚えた。

額からドクドク血を流している金PAPAを誰も気にしないのはお約束。

「さあ、これで五分と五分よ、思う存分殺しあいなさい」

姫の物騒な言葉に煽られ、乱戦に突入する両陣営。そこにイエローの鋭い声がこだまする。

「双方剣を引け、俺たちが殺しあう必要なんてないんだ」

「なにっ」

「裏切り者の世迷い事か」

「ちっ、せっかくのいい見世物が」・・・姫......(;´Д`)y−0゜


「よく聞け、超人生徒会。俺が何故貴様らを裏切ったのか。」

「う、うぐぅ、聞きたくなんか無いんだよもん」

涙目になるりょっちゃん、語尾がメチャクチャだ。構わずに続けるイエロー

「お前らだっていつかは就職して社会人になるのに、学生>社会人のいじめ組織作ってどうするんだよ、

 一体いつまで学生やってるつもりなんだ!!」

「あ・・・」

「そういえば」

「はじめて気づいた・・・」

「うな〜」

驚愕と果て無き虚脱感が超人生徒会を覆う。がっくりと膝をつく総統。

「ちょっと待て、お前ら本当に気づいてなかったのか?」

イエローの眼前で、泣きながら球場の砂をすくっている超人生徒会。

ちょんちょんと肩を叩かれ振り返るイエローに、仲間たちが

「お前、頭いいな、いつから気付いてたんだよ、このこのっ」

「いや、俺ら真剣わかんなかったよ」

「流石は大卒、違うねぇ」

「やっぱりプロレスは知的な大人の楽しみだな」

独り、やじ馬で見に行った喧嘩が意外と面白くなかった時のような顔をする姫を除いた味方の大絶賛に

「なんだこいつら、本物か、本物なのか?俺はこんなやつらと…誰か違うと言ってよ」

おそらく全員の合計IQは53くらいだろうとY2yは思った。

「ありえへーーーーーん!」

そこに轟音が重なる。


スーパーコンピューター、チエンの外装がわれ、中から白銀の人影が分離した。

それはりょっちゃん総統、いや、今はもうただの百合狂い少年広瀬の前に立つ。

「意外と役に立ってくれたが、もう用済みだな。おかげで随分キリ番が取り易かったぞ」

冷酷に振り下ろされる剣、そこに黄色い影が走る。

「ぐあっ」

「ああっ、Y2yさん」

幸い急所は外れていたが、かなりの深手のようだ。

「Y2yさん、何で僕なんかをかばったのさ」

「一度はお前を裏切ったんだ、これくらいでは償えない・・・がはっ。

 なあ、俺じゃダメかな、お前のスール?

「・・・(ポッ)いいよ、僕のスールはY2yさんだ」

黄薔薇&つぼみの誕生で甘酸っぱい空気が漂う地下空間、姫が何処からともなくエチケット袋を取り出す。

目の前で繰り広げられる倒錯した世界に耐えかねるかのようにチエンは叫ぶ。

「茶番はそこまでにしてもらおう、さあ、二人とも死ね」

ドシリアス(?)な展開に、慣れていないメンバーは誰一人動けなかった、

再び振り下ろされる剣、そのとき、黒い影が剣を受け止める

「貴様は・・・」

カメラ目線で自分を指差し

「俺じゃないぜ」

「わかっとるわい」

かつての敵味方全員渾身の突っ込みが歯車ブラックに集中。ブラック、金PAPAの隣で昏倒。

出来ればその攻撃を俺でなくチエンに(ブラックの遺言状より抜粋)。

「久しいな、シャドームーン、いや、チエンよ」」

「貴様、ブラックサン、フッ、GZMと呼ぶべきか」


一万年前、アトランティスとムゥの超人たちの間で超人の聖地、

モエルドラドをめぐっていさかいが起きた。

アトランティスの超人リーダーはチエン、ムゥの超人リーダーはGZMであった。

二人の間のキリ番ゲトー千日戦争は僅差でGZMが勝ったが、

この戦いが元でアトランティスとムゥは滅亡した。

「悲劇を繰り返してはならんのだ」

そういって自らをスーパーコンピューターに封じたGZMに対し

「やつに、必ず勝って見せる」

その想いからチエンも自らをスーパーコンピューに改造した。


GZMが取り出した謎のジャムを、蒼白な顔でイヤイヤをするイエローの傷口に無理やり塗る。

「超人の特効薬だ、もう大丈夫、さあ、後は任せろ」

激しい戦いを始める二体の魔神、必死の形相でGZMが叫ぶ。

「ここはもうすぐ爆発する、みな早く逃げろ」

「なんだって、いったいどうして」

GZMはジト目で

「こいつとこいつが爆薬大量に仕掛けたから」

Dと姫を指差す。

「いやね、もしも我々が負けた時に、ハグルマンを道連れにしようかと思いまして、

 トゥルーエンドのフラグをですね・・・・はははは」

すまして言うD、あんぐりと口を開けて呆れる超人生徒会の面々。一方、

「あのね、もしもみんながやられた時にね、仇を討ってあげようかと、あはははは」

「絶対俺たちを信じてなかったな・・・」

「多分もろとも粉々にする気だったんじゃあ」

「ああ、金PAPAを見てれればわかる。手柄も独り占めだからな」

「前にさ、『多くの命を救うには、少数の犠牲は必要なの。それが、英雄の条件なのよ』なんて

 言ってたもんな」

「あのー、ですね」

「みんな話を聞いてよ〜」

信用のない二人を置いて逃げ出す一同、去り際にGZMに向かって

「お前あのGZMなのか」

問うピンク。

「そうだ」

チエンと激しく争いながら答えるGZM。

「お前にひとつ言っておかなきゃならないことがあるんだ」

思い出をかみ締めるように話すブルー、頷く全員。

「なんだ、最後に聞かせてくれないか」

やはり懐かしそうな目で答えるGZM。

「せーの」

「「「「「「お前ス−パーコンピューターならメルブラぐらい正常動作させろ、ば〜か」」」」」」

byハグルマン一同・・・

言うと皆Bボタンダッシュで駆け出していった。

チエンの哀れむような目に

「そんな目で私を見るな」

GZMは涙目だった。

轟音がとどろき、後円楽遊園地が燃え上がっていく。チエンも、GZMもすべてを包んで。

「確か第一話もこんなだった気がするわね〜」

「そういえばブルー、遊園地に避難勧告出しといてくれたか」

問うレッドに

「えっ、ははははは、でもイエローに俺が忘れてたら頼むって言っておいたし」

「おいおい、俺昼飯まだだったから代わりにピンクの机にメモ貼っといたんだよ」

「イエロー、俺をWWEの券買いにパシらせたじゃないか。ま、一応ブラックのPCにメールしといたけど」

「俺のハグルマン用のアドレスに来るメールって面倒な頼みごと多いから、

 レッドのケータイに転送するように設定しちゃった」

「俺のケータイ、料金滞納で止められてる・・・」

気不味い沈黙、心なしかカラスの鳴き声が、「カランバー、カランバー」と聞こえる。

「ま、まあ戦いは終わったんだし、いけね、今日夜勤だ」

「そうそう、明日からはまた試遊とお死事の日々」

「まだクビも繋がってるようだし」

「俺は北の街に帰るとするか」

「俺、まだ就職決まってない・・・」

夕日を浴びながら、急に姫がみんなの手を取り明るく言う。

「なんだかんだあったけど、結構楽しかった。みんな、それじゃあまたね」

「「「「超人祭典で会おう!」」」」

再び、彼らは別々の方向へ歩き出した。


彼らには、これからも死事の日々が待っている。

だがこの世に超人ゲームが、日本に秋葉原が、心に萌えがある限り、彼らは決して負けない。

働きながらやるせない思いをしているあなた、負けないでください。

我々働く超人全員が、ハグルマンなのだから。

伝説が終わり、黒歴史が始まる

 

超人労働戦隊ハグルマン 完


 

ハグルマン、トータル救出人数、0名。