鬼兵般家長


                                                           
DIE29話 禁忌鬼ッズの衝撃 〜硝子の少年時代よ〜

 

ブロロロ〜

俺達をのせた黒塗りのリムジンは海沿いの街道をひた走る。

・・・・・・。

リムジンの中は生き地獄。

俺は前部の座席に楓ちゃんと座り、

対面の後部座席には千鶴さんと初音ちゃんが踏ん反り返っている。

ちなみにさっきから俺は楓ちゃんに羽交い絞めされ

グリグリと頭を虐められている・・・。

 

「ううぅ・・・か、楓ちゃん・・・や、やめてよぉぉ〜!」

 

「・・・・・・・浮気は許しません。」

 

「いたいよ〜!」

 

「・・・・・・・私の体だけじゃ満足できないの?」

 

「はぁ!?ま、満足も何も・・・捏造しないで下しゃいっ!!」 (汗)

 

虎羅、楓、あなただけの耕一さんじゃないのよ。」

 

「そうだぞ、楓、調子のんなっ!

 

ブロロロ〜

 

「ところで、耕一さん。あの女は何者ですか?」

 

冷たい眼で千鶴さんが訊ねてくる。

 

「ゆ、由美子さんは、だ、大学のゼミが一緒なんだよっ!」

 

「そう・・・で、耕一さんに押しかけ女房って訳ね・・・・。」

 

「な訳ねーでしょっ!!由美子さんは俺の数少ない友達だよっ!!」

 

って、言うか押しかけ女房はむしろユーだ!

 

「へぇ・・・友人にしては・・・鵜婆紗では随分とラブラブだったな?虎羅!」

 

ギュウウウ

 

ハイヒールで俺の足を踏みにじる千鶴様。

グリグリ

 

「はぎゃぁぁ!!」

 

「私達が気付かないとでも?甘いわね、耕一さん。」

 

「ちょ・・・!まさか、鵜婆紗のあの店員って・・!?」

 

「えぇ、私です。」

 

「な、なんですとっ!?」

 

「随分と見せ付けてくれましたねぇぇ〜。耕一さん。

 ・・・・思わず、殺したくなっちゃった♪

 

・・・・・・・。

 

千鶴さんに監視されてたの!?

って事は、まさか・・・。

俺は楓ちゃんをチラリと見ると、

冷たい笑みを浮かべた楓ちゃんが

 

「・・・・・アイス、毎度あり。」

 

ぎゅゅゅ♪←チョーク

 

「う、うぉんちゅっ!?」

 

対面に座っていた初音ちゃんはごそごそを黄色帽を取り出すと

それを無言のままカポッとかぶる。

 

「あ・・・・!郷土史博物館の入口付近のっ!?」

 

「そうだよ・・・遠足の小学生集団に紛れて監視してたんだよ♪」

 

・・・・・それって、自慢出来る事なのか?

 

「一体、どうなってんだよっ!?俺にはさっぱり分かんねー!」

 

「簡単ですよ、昨日からの耕一さんの態度を見れば、

 明らかに何かを隠している事くらい分かります。

 それに、梓のあの態度を見れば、ある程度は推測できます。」

 

「・・・・・えぇ!?梓の態度である程度分かったのっ!?」

 

「えぇ♪楽勝です。梓はなんといっても・・・・」

 

「・・・・・姉さん!」

 

そこでいきなり楓ちゃんが口を挟んだ。

 

「あら、私とした事が、ホホホ♪」

 

・・・・!?

 

「ま、そんな感じで、私達はあえて貴方を泳がせたの♪

 ・・・・結果は、予想通りクロだったけどねッ!!」 ギンッ!

 

ひ、ひぃぃっ!!

 

「・・・・・梓姉さんの単独行動は予想外だったわね。」

 

「チッ!姉ぇが先走るから、獲物取り損ねちゃったよ!」

 

・・・・・何なんだよ一体。

わなわな・・・。

 

「何だってんだっ!!俺が女友達と遊んじゃ悪いのかよっ!!」

 

「女遊びがいいわきゃねーだろっ!」

 

ドカァッ!!←蹴り

 

「キャプツバッ!?」

 

千鶴さんは人をボールの様に蹴ったと思えば、

急に乙女チックに変貌して、

ぎゅっ

いきなり俺の頭を自分の胸に押し当て、

 

「・・・・こんなに私が愛しているのに・・・他の女を見ちゃイヤ。」

 

「お、おわっ!?ち、千鶴さん・・・・!?」

 

「耕一さんは、ちーちゃんのお婿さんになるんだからっ。」

 

勝手に決めんな。

 

「・・・・・姉さん、耕一さんは私と結婚するのが定説よ!」

 

「ざけんなよ!お兄ちゃんはワ・タ・シと結婚するんだからっ!」

 

ガルルルルル!

・・・・一触即発。

俺の居ないところで好きなだけ殺しあってくれ・・・・。

・・・!?

車が停まったっ!?

 

「フフ、着きましたよ。耕一さん。」

 

「えっ!?着いたって・・・ここって鶴来屋じゃないかっ!?」

 

なんと、リムジンが停まった場所は鶴来屋の駐車場。

訳が分からないまま、俺はズルズルと引き摺られ、

エレベーターに乗ると、そのまま役員室の前へ。

千鶴さんは無言のまま、右足で

バァンッ!!

ドアを蹴破ると、ソファには梓が座っていて、

となりには由美子さんがお茶を飲んでいた。

 

「こ、耕一くんっ!!」

 

「ッ!?ち、千鶴姉ェっ!!・・・と、ゲッ!こ、耕一っ!?」

 

「はぁ〜い♪梓、スタンドプレーもそ・こ・ま・で・よ♪」

 

「あ、梓っ!どういうつもりだよっ!?」

 

「・・・・げっちゅ。」

 

「ゴルァ!梓ぁ!見つけたぞっ!!」

 

梓は俺と目線を合わせないように、顔を背けると

コツ・コツ・コツ

部屋の奥から、ある人物が現れた。

 

「私が・・・・彼女をそそのかしたのだよ。」

 

「あ・・・・足立さんっ!?」

 

なんと、鶴来屋専務である足立さんが・・・!?

俺も千鶴さんも呆気にとられてしまった。

 

「あ、足立専務っ!?ど、どういうつもりなのっ!?」

 

「・・・ちーちゃん、すまないね。彼女をここへ連れてくるように

 梓ちゃんをそそのかしたのは私なんだよ。」

 

「み、身内の誰かとは思っていたけど、貴方だったなんて・・・!」

 

「あ、足立さんっ!!なんで由美子さんをっ!」

 

「耕一が悪いんじゃないかっ!!」

 

突然梓が絶叫。

 

「は、はぁ!?」

 

梓はソファから立ち上がると、いきなりこちらへ駆け込んで来て、

俺の襟首を掴むと、

ダンッ

俺を壁に叩きつけた。

 

「こ、耕一が・・・!!こそこそ・・・この子と・・・・っ!!」

 

グスッ、ヒック

 

「な、なななっ!?なんで俺が悪いんだよっ!!

 って言うか、いきなり泣くなっ!!」

 

そこで初音ちゃんが茶々を入れた。

 

「お〜、お〜、イヤだねぇ〜、女の嫉妬っヤツは。」

 

・・・・!?

次の瞬間、梓の顔がみるみる真っ赤ッカになっていく。

 

「ヘ・・・・ドユコト・・・・?ナニ?ソレッテ・・・。」

 

「そうだよっ!!グスッ・・好きだよっ!!

 ・・・・・スン・・・悪いかぁぁーーー!!!!!

 

・・・・・・・・。

力強い告白・・・・有難う・・・・。

で、俺はもう寝ていいか?

し〜〜〜〜〜ん

役員室全体が静まり返る・・・。役員室全体が静まり返る・・・。

ようやく、千鶴さんの一言で沈黙が破られた。

 

「ほ、ほほほ・・・こ、これで4姉妹みな公のライバルって訳ね。」 わなわな

 

「・・・・・グス。」

 

「・・・・・・・・チッ。」

 

「ほらぁ、私が言った通りじゃんか!」

 

「・・・・・・。」←俺

 

「・・・・・・。」←由美子さん

 

「よく頑張ったな。梓ちゃん。」

 

足立さんはソファに腰掛けると、お気に入りのタバコに火をつけ、

一服すると、語り始めた。

 

「・・・・実はね、昨日、私も耕一くんがその子と話しているところを

 見てしまったんだよ。それを影から見ていた梓ちゃんもね。」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと待って下さい!見てたって・・・・・どこから?」 (汗)

 

「庭園で話していた頃からだよ。梓ちゃんも見ていたんだよ。」

 

うぎゃっ!?

 

迂闊っ!!

 

「それで梓ちゃんが、とても悲しんでてね。思わず私から声をかけてしまったんだよ。」

 

そこまで足立さんが話したところで・・・

千鶴さんが口をはさんだ。

 

「あ、足立さん・・・ま、まさかぁ・・・今回は・・・

 梓の鬼喪恥を耕一さんに伝える為に裏工作をしたのですくわぁ?」 わなわな

 

「いや、それは一部に過ぎないよ。」

 

ここで、足立さんは急に険しい顔つきになり、

 

「私の目的はそこにいる彼女に、耕一くんから手をひいてもらうのが目的だ!」

 

!?

 

はあっ!?

あ、あんた何ばいおっとねっ!!! 

 

「ちょ、ちょっと足立さんっ!!ど、どういう事なんですかっ!!」

 

「言いかね、耕一くん。私は言ったはずだ。『鶴来屋を継ぐのは君しかいない』と。

 柏木家の安泰の為には君にはそこにいる4姉妹のうち、誰かと結婚するべきなんだよ。

 彼女には悪いが、君はこの女性と付き合うべきではないっ!」

 

そこまで言った時、由美子さんの顔が曇った。

 

「な・・・!?なんだってぇ!!そんなのは俺が決める事であって

 あんたらの決める事じゃないっ!!あまりにも・・・・・

 

人が話している時にも関わらず・・・・

 

わ〜〜〜〜いっ!!

 

異様な盛り上がりを見せる4姉妹。

 

「さっすが足立さん♪分かってらっしゃいますわぁ♪」

 

「こ、耕一は・・・アタシ達じゃないと、駄目だもん。・・・スン」

 

「・・・・・他の女性に耕一さんは許容範囲外です。」

 

「耕一お兄ちゃんは、誰にも渡さないもん♪」

 

お、お、お前ら・・・・。

 

ワショーイ♪

ワショーイ♪

その時、

 

「いい加減にして下さいっ!!」

 

!?

 

由美子さんが叫んだ・・・。

 

「ゆ、由美子さん!ほ、本当に、ご、ごめんなっ!

 こいつら、頭のネジが緩んでるみたいで・・・!

 

すると、突然俺達の会話を阻止するかの如く

4死舞が割って入ってきた・・・。

 

「ひ、ひどい!耕一さんっ!!あ、あんなに愛し合った仲なのにっ!!」

 

「耕一は・・・アタシの料理、あんまり好きじゃないのかい・・・?」

 

「お兄ちゃん、私と御風呂に入った時、恍惚としてたじゃない!」

 

「・・・・・・・処女返せ。」 ぼそっ

 

!?

 

何っ!?(;´Д`)

 

待て、今誰か、とんでもない事言わなかったか!?

 

わー

わー

ぎゃいぎゃい

4死舞に囲まれて身動きが取れないっ!!

あ、あれ!?

ゆ、由美子さんは!?

由美子さんは何処へ行ったっ!!

 

 

( 色は匂へと散りぬるを 若よたれそ常ならむ 

  うゐの奥山今日こえて 浅き夢見し酔いもせず・・・・ )