鬱だ・・・・。
・・・・今日からゴールデンウィークに入るので
大学も休みになり、1人でマターリしようかなと
思っていたのだが・・・・・。
激しく鬱だ・・・・・・。
・・・・・・・・はぁ・・・・。
え?何で鬱なんだって?
そんなの・・・・見りゃ分かるだろ?
「だから鬼様は作らなくていいっつーのッ!!」
「虎羅ッ!?何ですか、御姉様に対するその口の聞き方はぁ?」
「私が作るって言ってるだろが、ゴルァ!」
「やかましいッ!あたしが作るってるだろ!!」
「あ、あんた達ッ!私が作るって言ってるでしょうが!!」
「・・・・・・やめれポイズン。」
・・・・・・・・・もうええから帰れ。
うたわれるもの〜藍より赤し〜
折角の連休なのに(まぁ、学生の俺にとっては毎日が夏休みだが・・・。)
事もあろうか、4死舞は俺の下宿先に押しかけて鬼た。
―昨晩―
「はぁ・・・・。」 ぱはは〜
「明日から大学も休校だなぁ・・・う〜ん、久しぶりに秋葉原にでも
逝って、『はじいしゃ』でも買おうかな?」
ぴんぽ〜ん♪
?
誰だぁ?今・・・22時過ぎてるぞ?
ぴんぽ〜ん♪
ま、まさかN●Kの集金か!?(汗)
ぴんぽ〜ん♪
・・・・・う〜む、嫌な予感がするから・・・居留守かますか。
・・・・・・・・・・。
し〜ん。
・・・・行ったみたいだな。
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴんぽ〜ん♪♪♪←連射
「お、おわっ!?」
ダンダンダンダンダンッ!!!
「な、なんだぁ!?」
『虎羅ッ!!早く出ろやッ!!』
!?
い・・・今の声は・・・・ま、まさか・・・・。
『こーいちー!居留守使ってんは分かってんだよ!』
『お兄ちゃ〜ん。愛の宅配便でーす♪』
『・・・・・・・・うぉんちゅ。』
「わ、わわわ・・・!!」
俺は急いで玄関に向かった。
な、何でだ?何で急に・・・!?
・・・ま、まさかな?そ、そんなはずは・・・・・。
幾等なんでも急過ぎるよな、ははは・・・。
そうだ、きっとゼミの奴らだろうな。今晩呑むって言ってたし・・・・。
パチン←ロックはずす
ガチャ。
震える指でドアのロックをはずし、扉を開けると・・・・。
そこには招かれざる客4人が・・・。
「はぁ〜い♪耕一さん♪」
バタンッ
ガチャ←ロックかける
・・・・・・・・。
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」
そんな・・・バカな・・・・・このDI・・・。
「虎羅・・・・・。何の冗談ですか?」
地の底から湧きあがる禍禍しい声が俺の心臓を鷲掴みにする。
流石に・・・このまま扉を開けないと・・・俺の命の炎が・・・・。
パチン
がちゃ・・・。
「こんばんわ♪耕一さん♪」 ぱはは〜
「や・・・やはぁ千鶴さん・・・・と、その死舞3方。」
「おっす。耕一。ったく、さっさと開けろよ。」
「あ・・・あの・・・・みなさん揃いも揃って如何なさいましたか?」 (滝汗)
「?何言ってるのお兄ちゃん。遊びに来たに決まってるよぉ。」
ゴールド・エクスペリエンス
「・・・・・・黄金週間だから・・・・黄金体験を・・・・。」
はぁ!?(;´Д`)
「いや、そんないきなりアポナシで来られても・・・・。」
「おほほ。おじゃまします。」 スタスタ
「はぁ〜、やっぱ電車はダルいわ。耕一ぃ〜、ジュースない?」 ズカズカ
「あれぇ〜、意外に片付いてるんだね♪」 トテトテ
「・・・・・・ダーリンの匂いがする。」 (ぽっ)
・・・・・・・・・。
「あらあら?耕一さん、どうしたんですか?固まってますよ?」
・・・・・・・・・。
いや・・・・その・・・・君達・・・・・。
頼むから・・・・・今すぐ帰れ。
「お、耕一!これ東京限定のジュースじゃん!ラッキー!」
「お兄ちゃん、荷物ここに置くね?」
「・・・・・何この本・・・・?『イイ!ログイン』?」
・・・・あああ・・・・。
俺の・・・・俺の楽園が・・・・侵されていく・・・。
「耕一さん?・・・耕一さんっ!」
「は、はいぃぃ!」
「どうしたんですか?涙が出てますけど?」
「え?あ・・・あれ・・・?なんでだろ?は・・・ははは。」
「もう〜♪耕一さんったらぁ〜、そんなにちーちゃんが来たのが嬉しいですか?」
「・・・・・姉さん・・・・それはない相談。」
か・・・・かえれ・・・・。
「あ、あの・・・千鶴さん。と、突然どうして?」
頼むから・・・・帰れ・・・・・。
「おほほ。実はぁ、連休は耕一さんのところで過ごそうって話が出たんですよ。」
今すぐ帰れ・・・・ほんま・・・帰って。
「ここ数年に東京来てなかったんで、久しぶりに来たかったし〜
・・・あっそ・・・・・それなら勝手に来たらいいじゃん。
「どうせなら突然行って耕一さんを驚かしてやれってみんなで決めたんです♪」
・・・・・だから・・・俺の意思は・・・?
「へ・・・へぇ・・・そ、そうなんすか・・・・。」
「って訳で、耕一さん、連休中は御世話になりますね♪」
「ッ!?れ、連休中ずっといるんですかっ!!」
「はい♪」 にっこり
イヤァァァァァーーーーーッ!!!!
「・・・・・・ダーリン、口から『たましひ』が出てます。」
―で、今朝に至る―
結局、昨夜は台所で寝るハメになってしまった。
幸い俺のアパートは意外に広いので、4死舞は俺のプライベートルームで
優雅に寝てくれやがった・・・。
うぅ・・・また上手い具合に布団をいっぱい持ってる俺が憎らしい。
まぁ・・・一緒の部屋で寝るよりは精神衛生上マシだが。
ギャーギャー!
・・・どうやら朝飯を誰が作るかで、もめているみたいだ。
「ちょっと貴方達ッ!くじびきで今日は私って決めたじゃないのよ〜!」
「ふざけんな!アレは姉貴のインチキクジじゃねーか!」
「あ、あら?おほほ・・・バレてた?」
「おまーが大体使いそうな手口じゃ!ヴォケッ!!」
うばしゃ〜〜〜!!!
乱闘するのは勝手だけど・・・・俺の食器を壊さないでくれ。
バリーンッ!
あぁ・・・・その皿で7枚目・・・・。
ガシャーンッ!!
アァッ!!由美子さんから貰った湯呑みがぁぁぁ〜〜!!!!
はぁ・・・ったく・・・連休だからここのアパートの住人も
俺以外は昨日実家に帰ってるのが唯一の救いか・・・・。
こんなに騒いでたら絶対警察呼ばれるわな。
・・・・・・・ぽてん。
ほわ?
突然右肩に重みを感じたので目線を移すと・・・。
楓ちゃんが頭を乗せていた。
「楓ちゃん・・・何してんの?」
「・・・・・らぶ。」 ぽっ
「・・・・・・。」
「・・・・ダーリン。はい。お茶。」
カタ。
いつの間に煎れたのかは分からないが、
緑茶の入った湯呑みをこたつテーブルに置く楓ちゃん。
「・・・・・朝からうるさい姉と妹ですこと。」
「そう思うんなら、止めてくれよ・・・・。」
「・・・・・その間に私はダーリンとラブラブ。」 ごろごろ
「君も、相変わらずだね・・・・。」
とりあえず、なすがままに楓ちゃんの煎れたお茶を飲んでいると
「虎羅ッ!!耕一ィッ!貴様なんばしょっとね!!」
後ろから梓の怒声が聞こえたと当時に・・・・
梓の愛国者(パトリオット)キックが俺の後頭部に炸裂・・・・。
バキャァ!!
「けろっぐこんぼッ!?」
・・・・・・・・・・・。
結局、朝食はらちがあかないのでマックで済ませるハメになり、
知らず知らず今日の日程を立てる話になってしまっていた。
4死舞は事もあろうか、俺の大学を見学したいなどとのたまったが
俺は断固反対し、結局都内のどこかへ遊びに行こうとなったが、
・・・正直、この4死舞と一緒に都内をねり歩きたくはないので・・・・。
「あ、あのさぁ・・・この近くにさぁ、すごくオシャレなカラオケが
あるんだけどさ、今日はそこで歌わない?」
へたくそな笑顔で媚びて・・・俺は誘導した。
『今時連休にカラオケはねーだろッ!?』
と、普通ならそこでツッコミが入るのだが・・・・。
如何せんこの姉妹はいなかもん。俺のねらいが良ければ・・・・。
「カラオケですかぁ?いいですねぇ〜♪」
よっしゃ!ビンゴ!
「うわ〜、カラオケ?うん行こうよ!えへへ。」
「へぇ、いいんじゃない?そういえば行った事なかったし。」
「そうかそうか!じゃあカラオケに決定〜♪・・・・て、え?」
待て。
今、何つった!?
楓ちゃんだけが冷ややかな視線で俺を見つめながら
「・・・・・・・終わった。」
と、重い一言。
「あ、あの梓さん。今なんとおっしゃいましたか?」
「ん?だから、カラオケ行った事ないって・・・
「今まで一度も!?」
「わ、悪かったな!どうせアタシたちは田舎もんですよーだ!」
「ジーザスッ!!」
「な、何だよ!?急に素っ頓狂な声出して・・・!?」
し、しまったぁぁぁ〜〜!!!
よりによってこの姉妹は全く行った事がないだって!?
・・・・それって前回の二の舞では!?
(※ 前回の特別変『コートの鬼』参照)
「ややや、やっぱりカラオケは・・・・
「じゃあさっそく行きましょうか?」
「おっし!へへへ、なんか緊張してきたぜい。」
「すっごく楽しみぃ〜!隆山じゃあんまり見かけないもんねぇ。」
・・・・・・可決ですか。(滝汗)
「・・・・・・・ダーリン。」
「な、何だい楓ちゃん?」
「・・・・・・・ホント、懲りない人。」
「・・・・・・・・・しくしく。」
―ハイセンスカラオケシティ UBASHA―
『渇いた瞳で泣いてくれ。ザ・リアルフォークブルースサウンド搭載!』
『俺の歌を聞けぇぇーー!!た、頼むよ・・・聞いてくれよぉぉ〜〜!!』
『冷やし中華始めました。あと、愛撫サウンドも導入CHU♪』
↑
お約束の宣伝旗
しら〜〜〜。
「耕一ぃ〜?ホントにここかぁ?」 ジロジロ
「な、何だよ〜、その疑いの眼差しは?」
「だってさぁ・・・なんだか・・・ダサくない?」
「お、お前なぁ!ここって、あの『漢闘Walker』に載ってたんたぞぉ!」
「まぁまぁいいじゃない梓。これが都会のセンスなのよ。」
「そ、そうかな千鶴姉ぇ・・・・私も・・・ちょっと変だと思うんだけど・・・・。」
「は、初音ちゃんまで・・・そりゃないよ〜。」
「・・・・・・・カラオケって何の略かしら?」
ウィ〜〜ン
『いらっしゃいませぇ〜!!』
意外にも店内は今風のこじゃれた雰囲気に彩られていた。
俺達は店員に誘導されて奥の5人部屋に入った。
ドリンクをとりあえず適当に注文し、店員が出て行くと
梓がニヤニヤしながら話し掛けてきた。
「へぇ〜中々いいとこじゃん。耕一の目もあながち節穴じゃなかったんだ。」
「ほら!だから言ったろ〜?」
「ねぇねぇお兄ちゃん。早く歌おうよ〜。」
「あ、あぁ・・・そうだね。」
俺が曲リストをみんなに配ろうとした矢先
「待ちなさい!」
千鶴さんの一言で場が止まってしまった。
「なんだよ姉貴?いきなり大声だして!」
「そうだよ千鶴姉ぇ・・・。」
千鶴さんは立ち上がって冷ややかな顔つきで俺を睨みつけている。
「ひっ!?」
いや、正確には俺の両隣だった。
俺の右には梓、左には初音ちゃんがベッタリと引っ付いていたからだ。
ちなみに・・・千鶴さんだけ、いっこ席のハミゴ。
「貴方達?そこは御姉様の席なのよ?」 にこ〜り
「あ?何言ってんだよ?ここはアタシの席だっつーの。」
「そうだよ、馬鹿じゃないの?」
「こ、耕一さぁ〜ん!みんながちーちゃんをハミゴにするのぉ〜!」
・・・・また俺に振る気か。
「じゃ、じゃあこうしましょう!」
俺はスクッと立ち上がると千鶴さんの席に腰を降ろし、
「俺がここに座りますんで、千鶴さんは向こうに座って下さい。」
し〜〜〜〜ん
・・・・痛い・・・3人の視線が・・・・超痛い・・・・・。
ガチャ
そこへいつの間にか居なくなっていた楓ちゃんが入室してきた。
「・・・・・・・修羅場?」
「や、やぁ!楓ちゃん!ど、どこ行ってたのぉ〜?」
俺はとっさに楓ちゃんに話を振って、その場の殺伐とした雰囲気から逃れようとした。
「・・・・・・・トイレ。」
「あ・・・そう。は、はははは。」
「・・・・・・・耕一さん。」
「ん?何かな?」
「・・・・・生理がまだ来ません。」
「・・・・・・・・・・・。」
し〜〜〜〜〜〜ん
で、この子は俺に何て答えて欲しいんだろう?
ますます場の雰囲気が悪くなってきたので、俺はマッハで曲リストをめくると
鬼のような速さで機械に入力!!
ピピピッ!
「いやぁ〜!この曲歌いたかったんだぁ〜!!」
「ふーん。歌えば?」
「誰が先に歌っていいっつった?」
「おほほほ・・・・良かったですね。」
「・・・・・・・頑張れ。」
ワハハハハ。
トイレ行く振りして、もう帰ろうかな?
ジャンジャンジャーン♪
ジャンジャンジャーン♪
『イエス! ユニバ自慰』 作詞・作曲 大神バナバ
「イエス! ユニバ自慰〜!
イエス! ユニバ自慰〜!
お客様の〜 健康は〜 私達が〜ま・も・り・ます〜♪
イエス! ユニバ自慰〜!
イェェェスゥゥゥ! ユニバ自慰〜!
迫りくる〜 女ども〜 まったくうざったいぜ〜♪
俺の魅力に虜なんだろ? だけどお前に俺はもったいないぜ〜♪
俺にゃ決めた女がいるんだ だからお前はうざいだけ〜♪
近寄ってくるな♪(もう帰れや!)
せまってくるな♪(きもいんじゃ!)
お前と契るくらいなら 自慰の方がまだましだぜ?
アフゥ〜〜!!
帰れ帰れ帰れ〜 ホンマもうええって!
マジで死んd・・・
ブンッ!
!?
「おわっ!?わ・わ・わ」←エコー
ガシャンッ!!
俺が気持ちよく歌っていると、突然灰皿を投げ付けられた。
とっさに避けたが・・・避けなきゃ顔面に当たってたぞ?(汗)
「な、なにすんだよッ!!」
!?
4死舞が物凄い形相で俺を睨みつけている。
「な・・なんでございましょうか?」
「耕一さん・・・・その歌って、私達への当て付けですか?」
!?
「ち、ちがいますよぉ〜!!!そ、そんなの被害妄想ですぅ!!」
「なーんか、すっごくアタシ達への怨念がこもってたんだけど・・・?」
・・・・チッ。
なかなか感の鋭い死舞だな・・・・。
ジャジャーン♪
「あ、曲が終わってしまった・・・。」
「じゃあ次は私が歌うよぉ〜♪」
初音ちゃんが機械に入力した。
「じゃあ次はアタシが。姉貴はどうすんの?」
「おほほ。私は最後でもかまわないわ。とっておきの美声を披露するから。」
「・・・・・・千鶴姉さん。」
「あら?なにかしら楓?」
「・・・・・・私、最後でいいから。」
「あら、そうなの。じゃあ3番目は私でいいわ。」
チャンチャンチャンチャン♪
チャンチャンチャンチャン♪
『はじめてのおいしゃごっこ』
作詞 トゥキメキュ48 作曲 ゼロコーポレイテッド
「私と貴方のお遊びは〜♪ 今日も御部屋で医者ごっこ〜♪
今日は私が患者さん♪ 何故か貴方は息があら〜い♪
(と、とりあえず体温測るから、服をぬご〜ね?ハァハァ)
・・・・・・初音ちゃんは意外に上手かった。
・・・・・・初音ちゃんは高校生のはずなのにミニモニを見てる気分だった。
・・・・・・ただ、歌が・・・・・痛かった。
ジャジャ〜ン♪
「いえ〜い♪」 きゃる〜ん
「は・・・ははは・・・・上手いね初音ちゃん。」
「えへへ、嬉しいなぁ〜。」
「初音・・・その歌、あまり他所で歌わないで頂戴。」
「なんだか、気不味いんだけど。その歌。」
「・・・・・・・ギリギリチョップ。」
続いてそのままの低いテンションに梓の番に移行。
う〜ん、梓が歌うのって・・・イメージがつかないんだが。(苦笑)
チャララ〜♪
チャラララ〜♪
『アリーヴェ・デルチ』
作詞 ブローノ・ブチャラッティ 作曲 ショバーナ・ハルノ
「ア〜リアリアリアリアリ〜ヴェ・デルチ・・・・。(さよならだ)
ア〜リアリアリアリアリ〜ヴェ・デルチ・・・・。(さよならだ)
こ〜の汗の味は〜 嘘をついてる味だ〜♪
痛ぇ〜!鋭い痛みがぁ〜 ゆっく〜りやって〜く〜る〜♪
覚悟はぁ〜いいかぁ〜♪ 俺は出来ているぅ〜♪
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・意外や意外。
まさか梓がカンツォーネ(イタリア音楽)を歌うとは思いもしなかった。
しかも、絶妙な歌い方。まじな話、上手いと思う。
凄いな・・・料理出来るわスポーツ万能だわ歌上手いわ・・・・。
やはり4死舞の中で一際高いポテンシャルを見せ付けられた気分だった。
ただ・・・歌詞の意味が全く分からんかったが。
ジャジャ〜ン♪
「すげーよ!梓!お前こんなの歌えたんだ!?」
「えへへ、ちょっとここらへんの音楽かじった事あって。」
「おほほ、引き立て役御苦労。梓。」 ずいっ
・・・またこの人は・・・すぐ人を怒らすような事を・・・・。
「後はこのおね〜さまの美声をとくと聴き入るがいいわ。」
・・・俺は・・・正直、この人が一番地雷だと思っていたが、
今までの姉妹のレヴェルから考えて、意外にいい線いくかもしれないな。
すでに千鶴さんは曲を入力済みらしく、さっそうと前の方に歩み出て
マイクを片手にポーズをとっていた。
あ、微妙にマイクを持ってる手の小指が立ってる・・・・。
チャーラーラー♪
チャララララーララーラーラ♪
『ラブ 愛 心』 作詞・超先生 作曲・シェンムー
「(すぅぅぅぅ)←息を吸い込む音
・・・・・・・。
「ボエーッ。」
!?
オーバードライブ
波紋疾走ッ!?
な、なんじゃぁ!!この超音波はぁぁ〜〜!!!
否、毒電波はぁぁ〜〜!!!!
「ボエ〜♪」
うおぉぉぉ〜〜!!鼓膜が破れるっ!?
メキョメキョメキョ
「ボエエ〜ッ♪」
や、やめてくれぇ〜!!だ、誰か止めろ〜〜!!!
「あ、梓、なんとか・・・・
!?
梓と初音ちゃんはすでに失神していた。
やばい・・・このままだと・・・死・・・・
ブツンッ
あ。
「ボエ・・・・・・
何故か演奏が強制終了した。
千鶴さんが呆然とある方向を見つめている。
俺もその目線の先を見ると・・・・・楓ちゃんが。
まさに救世主ッ(メシア)!!
右手にリモコンを持った楓ちゃんが冷ややかな眼差しで千鶴さんを見据えている。
「楓・・・・どういうつもり?」
ゴゴゴゴゴ
徐々に怒りを露わにする千鶴さん。
楓ちゃんは・・・ま、まさか・・・まさか禁断の一言を・・・・!?
「・・・・・・・下手糞。」
言ってしもーたぁぁ!!!
「か、楓・・・・死ぬ覚悟は出来て?」 わなわな
「・・・・・・てめぇは歌が下手過ぎた。」
ムードは一気に急降下、戦いの挽歌がカラオケボックスにこだまする。
そして、梓と初音ちゃんが意識を取り戻した。
「・・・・・・。」 コキコキ
「・・・・・・。」 ムクリ
「ふ、二人とも大丈夫か!?」
「姉貴ッ!!アタシを殺す気かよッ!!」
「脳膜炎になるかと思ったじゃねーかッ!!
てめぇはジャイ●ンか?ゴルァッ!!」
喧嘩上等モード全開バリバリ!
ひ、ひぃぃ〜!!俺は巻き添えですかぁ!?
うばしゃあ〜〜〜!!!
・・・・・・・・。
俺達は先程から恐ろしい叫び声や悲鳴が聞こえる部屋の前に来た。
その部屋のまわりでは気味悪がって他の客も集まっている。
「やっぱみんな集まってるよ。ここだぜ、絶対。」
「ね、ねぇ裕く〜ん!やめようってぇ〜!」
「あら、私はとても興味あるわ。さっきのってホントに人間の歌声かしら?」
「クスクス、香奈子ちゃん何気に言ってる事が酷いですよ。」
「長瀬ちゃん。この部屋、もの凄いエネルギーが溢れているよ。」
「うん。俺もそう思う。なんだろう?こんなの初めてだよ。」
「開けてみる?長瀬ちゃん?」
「ゆ、裕く〜ん!マズイって!」
「大丈夫よ、新城さん。いざとなったら私がいるんだし。ほほほ。」
「太田さん・・・君の場合は傷害事件になりかねないから止めてくれ。」
「あら!ひどい言い方ね。」
「クスクス。」
!?
「ヤバイッ!何か飛んでくるぞ!!」
ガッシャ〜〜〜ンッ!!
「おわっ!?」
「きゃああ!!」
「あら?人よ、これ。」
「男の・・・方ですね。」
ザワザワ・・・・・・。
突然飛び出てきた物体は、なんと血まみれの男の人だった。
年齢は推定20歳前後ってところか・・・。
まずいな・・・・事件だったら警察に言わないと・・・。
「もしも〜し、生きてますか?」
「あうぅぅぅ・・・・・もう・・・・お前ら隆山に帰れ・・・・。」
ぶっとんで来た男にブチ破られたドアから、部屋の中が見えたが・・・・・。
なんだか・・・・暗い部屋の中でものすごく早い何かが、交錯していた・・・。
「長瀬ちゃん、何が見える?」
「何も・・・見えない。って言うか、よく分かんないけど戦場になってる。」
「長瀬クン、貴方それじゃ具体的な事を言ってないわよ。もっとはっきりと・・・・
「おわ!?」
突然、目の前に同い年くらいのセミロングの女の子が現れた。
「・・・・・・・何か?」
「あ、あの・・・さっきからここが騒がしいですけど、何があったんですか?」
「・・・・・・あ・・・御迷惑かけてすみません・・・。
・・・・・もう少ししたら静まると思いますので・・・・。」
「そ、そうですか・・・・。」
「・・・では失礼します・・・。」
そう言って、女の子は俺の前を通り過ぎ、どこかへ行ってしまった。
「な、なあに!?今の子は・・・・。」
「さ、さぁ・・・なんだろ?・・・・だけど・・・・
「だけど?」
「・・・・かわいかったな・・・。」 にへら〜
ボカボカッ!
「る、瑠璃子さん!痛いっ!!」
・・・・・・・・・・。
『17番 空室』
キィ
バタン。
「・・・・1曲くらい・・・歌っとこうかな?」
ペラペラ・・・。
ピッポッパッ
『楓』
〜♪
「―♪」
・・・・・・・・・・・。
『あ、御疲れ様です!オーナー!』
『緒方オーナー、おはよう御座います!』
「やあ、おはよう。新居店長いるかな?新型の機器設置の件なんだけど。」
『はい、あ・・・店長は先程、お客様からクレームがあった部屋へ・・・・。』
「クレーム?」
『はい、なんでも乱闘騒ぎが起こってるみたいなんですけど。』
「ッ!?穏やかじゃないな。私の店で・・・。警察には?」
『まだ連絡してはいないみたいですが、兎に角、いま店長が確認に向かってます。』
「分かった。私も見てこよう。」
スタスタ
やれやれ・・・先月開店したばかりでトラブルは起したくないんだが・・・・。
ただでさえ、最近組織の連中の雲行きが怪しいのにな・・・・。
「―♪」
ん?
「―♪」
!?
「なっ!?なんだ!?今の歌声は!?」
確かに・・・今聞こえたぞ!?
何処だ・・・!?どの部屋だ!?
キィッ
!?
「き、君っ!?」
「・・・・・何ですか?」
「今歌っていたのは君かい!?」
「・・・・・・・・・。」
「今、『楓』って曲を歌っていなかったかい!?」
「・・・・・・・・私じゃありません。」
「そ、そうか・・・・すまない。」
「・・・・・・・。」 スタスタ
「誰なんだッ!?今の歌声の主は・・・・!?10年・・・いや100年に一度の逸材だぞ!?」
「・・・・・・・ちゃお♪」 ぺろり
パープーパープー♪
『えぇ、26号より緊急入電。世田谷●●―●のカラオケ店にて
傷害事件発生と思しき連絡あり、至急急行して下さい。どうぞ?』
『こちら19号了解しました。』
TO BE COUNTINUED?